真剣に聞いているのに「反省してる?」と言われる人へ。誤解されない『指摘の受け方マニュアル』

ムッとしている女性

入社1〜3年目のうちは、上司や先輩から注意されたり、指摘を受けたりする機会が何かと多いものです。

そんなとき、自分なりに真摯に耳を傾けているつもりなのに、「本当にわかってる?」「反省してる?」と、険しい表情でたたみかけられたことはありませんか?

それはもしかすると、無意識に「反省しているように見えない態度」をとってしまっていることが原因かもしれません。しっかり指摘を受け止めていても、態度次第では相手に「話が伝わっていないのではないか」という不信感を与えてしまうことがあるのです。

職場での不要な摩擦を防ぐため、この記事では「反省しているように見えない態度」を解説し、明日から使える具体的な対処法を紹介します。

反省しているように見えない3つのNG態度

NG1 なぜか笑顔や苦笑いを見せてしまう

指摘を受けている最中に、なぜか口元がゆるんで、笑いがこみ上げてきてしまったという経験はありませんか?

本人に悪気はなく、緊張をやわらげようとして無意識に出てしまった反応です。それでも相手からは、ヘラヘラして状況を軽く見ているように映ってしまいます。

心理学では、緊張時に漏れるこうした笑いは、その場の状況にそぐわない感情が表出する「不調和な感情(incongruous emotion)」の一種とされています。緊張や不安といった負の感情が強すぎるとき、それをやわらげようとする無意識の防衛反応として、本来の感情とは逆方向の表出(笑い・苦笑い)が漏れ出てしまうことがあると考えられています。*1

NG2 固まってしまう

指摘されている緊張から頭が真っ白になり、返事がうまくできず、さらに相手を真顔で見つめ続けてしまうという人もいます。

本人は必死に話を聞いているつもりですが、「ちゃんと話を聞いているのか?」「黙って睨みつけてきて感じが悪い」と受け取られてしまうこともあります。

人は危険や脅威を感じると、闘う(Fight)か逃げる(Flight)かに加えて、その場で固まる(Freeze)という第3の防御反応をとることがあるとされています。近年の心理学研究では、このフリーズ反応が身体の停止だけでなく、思考そのものが止まる「認知的フリーズ」も含む反応であるとして詳しく検討されています。*2

NG3 とっさに言い訳じみたことをいってしまう

相手の話のなかに、事実と異なる点や納得できない部分があり、慌てて「でも」「いや、それは」と、つい訂正しようとしてしまったことはありませんか?

本人としては状況を正確に伝えたいだけでも、相手には話を遮って言い訳をしているように映ることがあります。

心理学では、自分の評価や立場が脅かされたと感じたとき、人は無意識に自分を守ろうとする「防衛反応」を起こしやすくなることが知られています。近年の研究でも、苦情や批判への対応にあたる立場の人が、話をそらす、論点をずらす、個別事情を持ち出すといった防御的な受け答えをとりやすいことが報告されています。*3

これらの態度は、決して指摘を軽んじているのではなく、いずれも真剣に向き合っているからこそ起きる反応です。それでも、相手に誤解を与えてしまうのは損ですよね。そこで次項では、状況別に使える「指摘の受け方マニュアル」を紹介します。

メモをとっている男性

明日から使える! 指摘の受け方マニュアル

相手の話を聞くときにポイントとなるのは、意外にも言葉ではなく、声の大きさや動作などの「非言語情報」であることがわかっています。心理学者アルバート・メラビアン氏が提唱した「メラビアンの法則」では、話し手の言葉と表情・声のトーンが一致しない場合、聞き手は表情や声色といった非言語の情報を優先して相手の心情を判断すると考えられています。*4

だからこそ、まずは指摘を受けたら、最初に少し大きめの声で謝ることが基本です。声のボリュームひとつで、反省の伝わり方は大きく変わります。

また、相槌をきちんと声に出しながら話を聞くのもポイント。無言でうなずくだけでは、聞いているかどうかが相手に伝わりません。

ポイント

・指摘を受けたら、最初に少し大きめの声で謝る

・相槌をきちんと声に出しながら話を聞く

そのうえで、状況別に3つのアクションを紹介します。

つい笑ってしまいそうなとき

ノートとペンをすぐ構えましょう。表情の乱れや目の泳ぎを相手の視界から自然に隠すことができるだけでなく、「メモを取る=真摯に受け止めている」という印象にもつながります。

それでも笑いそうなら、足の指にぐっと力を込めるのがおすすめです。意識を別の部位に逃がすことで、顔の緊張を物理的にリセットできます。そのうえで「(メモを取りながら)申し訳ありません、〇〇の点、承知しました」とひとこと添えれば、ちゃんと指摘を受け止めている印象を与えられます。

つい固まってしまいそうなとき

声が出せなくても、「うなずく」という動作はできるはずです。無理に声に出して返事をしなくてもいいので、首を縦に振る動作だけに集中してください。もし可能なら、事前に相槌の言葉として「『はい』『申し訳ありません』のふたつは言う」と決めておくのが効果的。フリーズしても比較的声に出しやすくなります。

また、つい真顔で相手を凝視してしまう場合は、手元にメモ帳を開き、視線を落とすことが有効です。メモ帳に視線を落とせば、「真剣に考えて固まっている」という自然な演出に切り替えられます。

説明や弁明を挟みたくなったとき

相手の言い分が間違っていたり、誤解を解きたくなったりしても、相手が言いたいことを話し切るまでは、まずじっと耐えることがポイントです。とにかく聞くことに徹し、「あなたはどう思うの?」など話を振られた瞬間や、相手が話し終えて息を整えたタイミングで口を開きましょう。

説明するときもポイントがあります。いきなり説明から入らず、「ご指摘ありがとうございます。ひとつだけ確認させてください、〇〇という認識で合っていますか?」のように、「感謝と確認」をセットで伝えます。それだけで、言い訳ではなく、説明をしているとして受け取られやすくなります。

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声や態度を少し変えるだけで、「指摘をきちんと受け止められる人」という信頼が積み重なっていきます。心のなかではちゃんと受け止めているのなら、その姿勢が相手にも伝わるよう工夫してみませんか。

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よくある質問(FAQ)

Q. 苦笑いが出てしまうのは、性格の問題でしょうか。
いいえ、性格の問題ではありません。強い緊張を受けたときに表情がちぐはぐになる反応は、多くの人に共通して起こる自然な生理反応です。
Q. メモを取ると、逆に話をさえぎってしまいませんか。
「メモを取らせてください」とひとこと添えれば問題ありません。むしろ真剣に聞く姿勢として好意的に受け取られやすくなります。
Q. 3つのアクションのうち、どれから練習すればよいですか。
状況別のアクションの前に、どの場面にも共通する基本の「最初に少し大きめの声で謝る」から始めるのがおすすめです。声のボリュームを意識するだけでよいため、もっとも取り組みやすくなっています。
Q. 指摘されて泣きそうになったときは、どうすればよいですか。
涙が出そうなときは、無理に感情を抑え込もうとせず、まず深呼吸をして「申し訳ありません、少しお時間をください」とひとこと伝えましょう。感情が落ち着いてから続きを聞く形でも、真摯な姿勢はきちんと伝わります。
Q. 「反省してる?」と聞かれたら、何と返せばよいですか。
「はい、反省しています。〇〇の点を、次は〜という形で直します」のように、反省の言葉と具体的な改善内容をセットで返しましょう。感情だけでなく行動レベルで答えることで、相手にも伝わりやすくなります。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。