「私は仕事ができない」という思い込みが、あなたを本当にできない人にさせている。

自己肯定1

仕事でミスをして、いつも上司に怒られてばかり……。
同期の仲間は、自分よりも営業成績がいい……。
先輩の企画力に、いつになったら追いつけるのだろう……。

職場では、周りからの評価や他者との比較を通じて、自分の能力と向き合わざるを得ません。「自分は仕事ができない」と自信を持てていない人も多いのではないでしょうか。

じつは、「できない」という気持ちが、あなたの仕事のパフォーマンスを大きく低下させている可能性があります。たとえ思い込みでも、「私は仕事ができる」という気持ちを持てれば、真の能力を発揮できるかもしれないのです。

今回は、そんな「思い込み」が持つ力と、自分を成長させる「いい思い込みの仕方」をご紹介していきます。

「私は仕事ができない」と考えすぎるのがダメな理由

自分の能力に疑いを持つ心理現象を「詐欺師症候群」と呼びます

オーストリアのザルツブルク大学が、卒業生238名を対象に行なった調査によれば、約70%の人がこのような現象に陥った経験があるとのこと。詐欺師症候群に陥ると仕事への意欲が削がれやすく、なかなか昇進できなかったり、仕事への貢献度が低まってしまったりするのだそうです。

オックスフォード大学感情神経科学センター教授のエレーヌ・フォックス氏は、脳は思い込みによる不安や恐怖を現実と判別できずにキャッチしてしまうと指摘します。それが結果として、自分の行動にも悪影響を及ぼしてしまうとのこと。これはノーシーボ効果(ノセボ効果)と呼ばれています。

たとえば、企画会議で「自分の提案なんか通らない……」と考えたり、資料を作成しながら「またミスをするのではないだろうか……」と考えたりしたことはありませんか。こうした心理状態は、身体に余計な緊張を強いてパフォーマンスを低下させ、本当に悪い結果を生んでしまうことにつながるのです。

自己肯定2

やっぱり「私は仕事ができる」と思い込んだほうがお得

カリフォルニア州立大学バークレー校の心理学教授キャメロン・アンダーソン氏は、学生の自信についての研究を行ないました。その結果、自信が高く、自己を肯定している学生ほど、尊敬や評価を集め、影響力も高いことがわかりました。ここで重要なのは、この自信は間違っていても根拠がなくてもよく、ただ思い込んでいるだけでよいということです。

思い込みには、前述のノーシーボ効果と反対のプラシーボ効果があります。アンダーソン氏によれば、いい思い込みによって、エンドルフィンやドーパミンといった脳内物質が分泌されるそうです。これらの物質は、やる気やひらめきを向上させる効果を持ち、仕事や学業のパフォーマンスをアップさせてくれます。

たとえば、ある顧客に営業をかける際、「たぶん契約がとれない」と思って臨むより、「きっと契約が取れる」と思い込んで臨んだほうが、より高いパフォーマンスを発揮できそうですよね。実際、営業の世界では、「売り込む商品のすばらしさに自信を持っている営業マンのほうが成績がいい」とよくいわれます。この根拠はプラシーボ効果にあるのかもしれませんね。

自己肯定3

【「私は仕事ができる」と思い込む方法1】短所を長所に捉えなおす「リフレーミング」

いい思い込みが、仕事にいい影響を及ぼしてくれることはわかりました。でも実際には、「私は仕事ができる」なんてなかなか思いづらいものですよね。そこでここからは、いい思い込みを促して自信を高め、仕事のパフォーマンスを上げる方法を紹介していきます。まずは1つめです。

仕事がうまくいかない原因は自分の性格の短所にあると考えてしまうと、普段から不安や緊張につきまとわれてしまうはず。そこでおすすめしたいのが、短所を長所に捉えなおす「リフレーミング」という方法です。ここでは、500回以上の研修実績を持つNLPトレーナーの足達大和氏がすすめる「言葉の定義のリフレーミング」を紹介します。自分が短所だと感じている部分を、長所の意味に変換して自信に変えていきましょう。

たとえば、「頑固」という言葉には、「頭が固い」「融通が利かない」といったネガティブイメージがあることでしょう。これを反対にポジティブな意味合いに変換すると、「自分の意見を持っている」「妥協しない」となります。もっと例を挙げると、「飽きっぽい」なら「切り替えが早い」「フットワークが軽い」、「せっかち」なら「行動力がある」といった具合です。

この際のポイントは、X=YもしくはX→Y(XだからY)という形をとることだそう。例として、ビジネスシーンでありそうな「自主性がない」という言葉で考えてみましょう。

  • X=Y型:自主性がない。言い換えれば、人の意見によく耳を傾ける。
  • X→Y型:自主性がない。だから、人の意見を尊重できる。

このように、自分の思う短所をどんどんリフレーミングしてみましょう。もし行き詰まったら、「〇〇(短所)って、ポジティブな意味で表現するとどうなるかな」と、人に聞いてみるのもいいかもしれません。このような作業によって、短所と思っている部分のポジティブな側面に気づき、強みに転化していくことができますよ。

自己肯定4

【「私は仕事ができる」と思い込む方法2】遠い目標を引き寄せる「アファメーション」

年収金額や独立、営業成績など、自分の掲げる目標が、現在の立場や実力と遠すぎて躊躇してしまうことはありませんか? 理想や目標を掲げるのは、本来すばらしいこと。アファメーションを使って、仕事の障害となる気持ちを取り払いましょう。

「コーチングの祖」と呼ばれる心理学者ルー・タイス氏が提唱したアファメーション」とは、「自分自身に対する肯定的な宣言」のことです。自分にポジティブな言葉を投げかけて、自己肯定感を高めます。ポイントは以下。

  • 「私」を主語にする
  • 肯定的な表現にする
    例:× 私は緊張していない → ○ 私はリラックスしている
  • 否定語(~しない)を使わない
    例:× 私は残業しない → ○ 私は仕事を早くこなす
  • 現在形か現在進行形にする
    例:× 私は10年後に独立したい → ○ 私は10年後に独立している

このように、具体的なフレーズを作って、紙に書いて見えるところに貼ったり、声に出したりするなどして、毎日自分に言い聞かせます。認知科学者の苫米地英人氏によれば、このとき大切なのは、目標を達成している情景を、臨場感を持ってイメージすることだそうです。

「臨場感を持つ」とは、自分が本当に目標を達成している世界にいるような感覚になるくらいのイメージを持つということ。たとえば、「私は10年後、独立している」というフレーズに対して、「7月7日に、新社屋で、共同創業者と2人で乾杯している」というな情景を思い浮かべ、そこに本当に身を置いていると思えるくらいリアルにイメージをします。

前述のように、脳は現実とイメージを区別して認識できません。臨場感を持てれば、現実では遠すぎる目標でも、脳に「達成している」と認識させることができます。脳がそう認識してくれることによって、あなたの目標は「当然達成可能なもの」というレベルに引き寄せられます。それにより、「やっても無駄かも」「叶えられないかも」といった目標達成の障害となる気持ちを排除し、「できる」という気持ちで進んでいけるようになるのです。

自己肯定5

【「私は仕事ができる」と思い込む方法3】不安や緊張を取り払う「パワーポーズ」

大事な商談やプレゼンの前は、どうしても緊張したり、うまくいくかどうか不安に駆られたりするはず。そんなときに「やれる」と脳に言い聞かせ、パフォーマンスを高めるのに役立つのが、パワーポーズです。

パワーポーズとは、「自信のある人がよくとるポーズ」のこと。社会心理学者のエイミー・カディ氏が、次のような実験を通してその効果を立証しました。

被験者を2つのグループに分け、1つのグループにはパワーポーズを、もう1つのグループにはローパワーポーズ(自信のない人がよくとるポーズ)を、それぞれ2分間とってもらったのです。

すると、パワーポーズをとったグループは、自信を高めるホルモンである「テストステロン」が19%上昇し、ストレスを感じさせるホルモンである「コルチゾール」が25%減少しました。一方、ローパワーポーズをとったグループでは反対に、テストステロンは10%減少し、コルチゾールは17%の上昇が見られたのです。

身体で知覚した刺激は、脳に影響を与えます。言い換えれば、自信がある身体の状態をつくることで、脳も自信がある状態になるそうです。

パワーポーズとは、具体的には以下のようなもの。ちなみに、「あごを上げる、肩を後ろに引く、胸を張る」というポイントさえ押さえていれば、どんなものでもかまいません。

  • 腰に手をあてて、胸を張る。
  • 頭の後ろで腕を組んで、足を机の上に乗せる。
  • 頭の後ろで腕を組んで、足も組む。
  • 腕を隣の椅子の背もたれにかけ、足を広げる。

大事な商談やプレゼンの前に緊張や不安に駆られたら、このようなポーズを2分間取ってみましょう。自分の本来のパフォーマンスを発揮でき、いい結果をもたらすことにつながるはずです。

***
思い込みは、方向性次第で良い影響にも悪い影響にもなります。ぜひ思い込みとのいい付き合い方を取り入れて、存分に仕事で力を発揮してください。最後に、ウィンストン・チャーチルのこの言葉をお送りします。

あなたには必要な資質も資源も全て与えられている。「できない理由」を探す必要はない

(引用元:ジェームズ・ヒュームズ編集, 長谷川喜美訳(2013),『チャーチル150の言葉』, ディスカヴァー・トゥエンティワン. ※太字は筆者が施した)

(参考)
news.co.au|New research on ‘impostor phenomenon’ shows how it can impact your career
Harvard Business Review|「詐欺師症候群」に悩む部下とどう向き合うべきか
東洋経済オンライン|人間は「思い込み」だけでも死んでしまう!NHK「白熱教室」で語られる最先端科学
Life and Mind+|【完全理解】一瞬で世界を変えるリフレーミングの効果と活用事例
ルー・タイス著, 苫米地英人監修, 田口未和訳(2011),『アフォメーション』, フォレスト出版.
エイミー・カディ著, 石垣賀子訳(2016),『〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る』, 早川書房.
ジェームズ・ヒュームズ編集 ,長谷川喜美訳(2013),『チャーチル150の言葉』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.

【ライタープロフィール】
月島修平
早稲田大学文化構想学部卒。大学時代は映画や演劇をはじめとした表現の研究を行った。好きなものは路地裏、螺旋階段、筋肉少女帯、BiSH、丸尾末広、鴨居玲、フェリーニ。

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