リフレーミングとは? 豊富な例で完全理解!

リフレーミングとは? 豊富な例で完全理解!

負の感情を手放したいときには「リフレーミング」という思考法が役に立ちます。

こういったネガティブな事象を別の角度からとらえ、ポジティブに再解釈するのがリフレーミングです。リフレーミング技法のやり方と例を詳しくご紹介します。

リフレーミングとは

リフレーミングとは、物事を別の角度から解釈し直すこと。簡単に言えば、「嫌なことをポジティブ変換する思考テクニック」です。リフレーミングという言葉は、「認識のフレーム(frame)を改める(re)」ことを意味します。

水の半分入ったコップがあります。「半分しかない」と思いますか? それとも「半分もある」と感じるでしょうか? 水の量という事実を変えることはできなくても、その事実をどう解釈するかで、感じ方は大きく変わります

  • 仕事で失敗した→貴重な経験ができてよかった
  • 上司に叱られた→指導してもらってありがたい
  • 人見知り→礼儀正しい

こんなふうにポジティブ変換(リフレーミング)すれば前向きになれますね。リフレーミングを習得すれば、物事をさまざまな角度から解釈する力(認知の複雑性)が高まり、ちょっとしたことではへこたれない柔軟なメンタルが養われるのです。

「失敗した」は「貴重な経験ができた」に、「人見知り」は「礼儀正しい」にリフレーミングできる。

「自分に都合よく事実をねじ曲げるってこと?」と感じるかもしれません。しかし、リフレーミングは “事実の歪曲” や “現実逃避” とは異なります。

×誤ったリフレーミング

「あれは失敗じゃなかった」
「大災害なんて起こるはずないんだから大丈夫」

○正しいリフレーミング

「失敗しちゃったけど、貴重な経験ができたな」
「大災害はいつか起こるだろうけど、ちゃんと対処すれば大丈夫」

リフレーミングは事実の解釈を変えるもので、事実の否定はしません。事実は認めつつ、「貴重な経験になった」「勉強になった」といい面を見いだしていきます。

「ビッグボス」の愛称で親しまれるプロ野球監督・新庄剛志氏は、信頼していた知人に20億円を使い込まれ貯金がほぼゼロになるというショッキングな経験をしたそう。およそ10年後、新庄氏はその件についてこう語っています。

お金持ちになってからは、「俺が望んでいたのは本当にこれなのか」と疑問に思うことがよくあった。だから、もしかしたら20億円を使い込まれたのは宿命だったのかもしれない。「もう一度、人生をやり直してみろ」という神様からの命令だったのかもしれない

(引用元:新庄剛志(2018),『わいたこら。 ――人生を超ポジティブに生きる僕の方法』, 学研プラス. 太字による強調は編集部が施した)

リフレーミングとは

20億円もの大金を失ったら人生に絶望し、すべてを諦めてしまいそうですよね。しかし、新庄氏はそんな出来事さえ自分の糧としたのです。リフレーミングの効用を実感できるエピソードですね。

リフレーミングのやり方

リフレーミングは頭のなかだけでも可能ですが、紙などに書き出したほうがわかりやすくなります。最もシンプルなのは、左側にネガティブな事実を、右側にポジティブな解釈を書き、表のようにするやり方です。

左側にネガティブな事実を、右側にポジティブな再解釈を書くリフレーミングノート

(画像引用元:STUDY HACKER|自尊心低めの私が「リフレーミングノート」で自分の長所を探してみました。

「ポジティブに解釈しようと言われても、それが難しいんだよね」という方に、精神保健福祉士の川島達史氏がすすめるアプローチをご紹介します。

他人を励ますことをイメージする

ほかの人が同じように悩んでいたら、どう励まそうかな?」と想像してみましょう。誰かを励ますときは、「○○だからきっと大丈夫」「○○だから心配ないよ」といったポジティブな言葉がするする出てきますよね。

相手を前向きな気持ちにしたいという思いから、物事のいい面に自然と目が向きます。人を励ますシーンだとリフレーミングしやすいのです。

あなたが仕事でミスして落ち込んだら、「もし親友のAちゃんが仕事でミスをしたら……」と想像しましょう。慣れてくれば、他人に置き換えなくても自然とリフレーミングできます。

ポジティブな人をイメージする

メンタルが強そうな人ならどう考えるかな?」と想像するのも手です。かつて、SNSで「脳内マツコ」が流行しました。マツコ・デラックスさんをイメージし、想像のなかで慰めてもらったり叱咤してもらったりするメンタルケアです。

あなた「ねぇマツコ。今日、仕事でミスしちゃったんだよ。もうダメだ……」
マツコ「アンタ、何そんなことでクヨクヨしてんのよ。まじめに生きてれば、そのうちいいことあるわよ

このような脳内対話を通し、リフレーミングを行ないます。「ミスした」という事実に対する解釈を「もうダメ」から「またいいことがある」に変えることができました。自分を励ましてくれそうな人なら、ほかの有名人や家族、友人など誰でもOKです。

何を得られたか考える

嫌なことがあったら、そこから何を得られたか考えてみましょう。失敗は成長の糧になるものです。失敗すると、私たちは「なぜできなかったんだろう?」と分析し、成功への道筋を見つけ出そうとします。

筆者は高校時代、弓道部の師範から「中(あた)っているときは成長しない」という言葉を教わりました。矢が的に中るのは、いまのやり方で問題ない証拠。つまり改善の余地がなく、成長できないのです。逆に外れてばかりの人は、自分のフォームを見直すことになり、ぐんぐん成長できます。

どんなネガティブな出来事にも、何かしらの学びやメリットがあるもの。嫌なことで落ち込んだときは、「得られたもの」に目を向け気持ちを立て直しましょう。

◆例

  • 失敗した→貴重な学びを得られた
  • 批判された→率直な意見をもらえてありがたい
  • 資格試験に落ちた→きちんと勉強し直す機会が得られた

リフレーミングのやり方:何を得られたか考える

ネガティブな割合を計算する

自分のミスは強く印象に残るもの。引きずりすぎると心が乱れ、さらなる失敗を生むかもしれません。そんな悪循環から抜け出すには、ネガティブな事態になる確率を計算してみましょう。

「1週間で2回もミスしたな……」という場合でも、1週間のタスクを500個と仮定するなら、ミスの割合はたった0.4%。99%以上は問題ありません。ネガティブの割合がいかに小さいか認識でき、自信を取り戻せます。

このアプローチは、未来への不安を取り除きたいときにも役立ちます。「試験に受からないかも……」と心配なときは、合格率や合格点を調べたり、現在の実力でとれる点を予想したりしましょう。合格の可能性を客観的に把握でき、悲観的になりすぎません。

◆例

  • 失敗した→どのくらいの割合で失敗したか計算
  • 試験に落ちないか不安→合格できる確率を概算

別の可能性を考える

ネガティブな想像にとらわれたら、その想像が正しくない可能性に目を向けましょう。「挨拶したのに無視された! 嫌われてるのかな?」というときは、「嫌われていない可能性もあるのでは? だとしたら、なぜ返事してくれなかったんだろう?」と考えます。

  • たまたま聞こえなかった
  • 何か事情があって返事できなかった
  • 考え事をしていた
  • 人と話したくない気分だった
  • 別の人に挨拶したのだと勘違いした
  • 返事してくれたものの、自分が聞き逃していた

……など、さまざまな可能性に気づけますね。ひとつの物事をたくさんの方向から見つめ直すのがリフレーミングなのです。

リフレーミングのやり方:別の可能性を考える

笑い話に変える

過去の失敗を笑い飛ばしてみたら気が楽になった……という経験はありませんか? ネガティブな事象を笑いに変えてしまいましょう。

昭和の落語名人・立川談志師匠は、「落語とは人間の業の肯定だ」という名言を残しました。落語には、ぼんやりした「与太郎」、酒好きで短気な「熊さん」、おっちょこちょいな「八っつぁん」など、欠点のある人物ばかり登場します。むしろ、欠点がなければ笑いが生まれないでしょう。

芸人さんの笑い話も、自分や誰かの失敗談がほとんどですよね。「笑い」の文化では、人間の欠陥を「おもしろみ」と解釈し、肯定しているのです。自分の欠点を自ら笑い飛ばすことで、救われる場合もあるのではないでしょうか。

「生きているだけありがたい」と考える

生きていれば、大きな不運にも見舞われるもの。もっと酷い状況と比べ、相対的に肯定しましょう。

  • 仕事で失敗してしまったが、クビになったわけではない
  • たとえクビになっても、命まで失うわけではない

明石家さんまさんの名言に「生きてるだけで丸もうけ」があります。失ったものを嘆くより、残ったものへ感謝することを心がければ、たいていの苦難をリフレーミングできますよ。

リフレーミングのやり方:「生きているだけありがたい」と考える

リフレーミングの例1:嫌な出来事

ここからは、リフレーミングの思考プロセスを詳しく解説しつつ、例文もご紹介していきます。まずは「状況のリフレーミング」です。

失敗

失敗してしまったときは、そこから得られた学びに注目しましょう。失敗を「損失」ではなく「成長の糧」と解釈すれば、ショックを引きずりません。「災い転じて福となす」「人間万事塞翁が馬」と言われるように、その失敗が役立つかもしれませんよ。

ボディビルダーは、トレーニング後の筋肉痛を「いま、まさに筋肉が成長している」と喜ぶそう。「成長の証」ととらえれば、痛みすらもネガティブではなくなるのです。

災難

自分に責任のない災難から「何を得られたか」と考えるのは難しいかもしれません。より悪い状況と比較し、「生きているだけありがたい」と現状に感謝することで気持ちを立て直しましょう。

1985年、明石家さんまさんが乗るはずだった飛行機が墜落しました。九死に一生を得た経験をきっかけに、さんまさんは「生きてるだけで丸もうけ」を座右の銘としたそう。「もしあのとき死んでいたら」という最悪の可能性に比べれば、どんな現状も「丸もうけ」というわけです。

ほかには、以下のアプローチもあります。

  • 「ポジティブな人ならどう乗り越えるかな?」と想像する
  • 笑い話にする

リフレーミングの例:災難

面倒事

面倒な仕事を頼まれ気が重いときも、その仕事を通じて得られるものに目を向け、「経験を積むチャンスだ」と前向きに解釈しましょう。

テレビゲームなら、強い敵を倒すほど報酬も大きくなりますよね。同様に、面倒な仕事から得られるものも大きいはず。

また、面倒な作業ほど達成感も大きくなります。やってみたら意外に楽しかった、ということも。仕事などが面倒で仕方ないときは、作業を楽しんでみましょう。

批判

批判や否定をされたら、いい気がしないのは当然です。しかし、指摘されて初めて自分の問題に気づけたり、他人の目にどう映っているかわかったりすることも多いもの。

意図的に傷つけようとする言葉を真に受ける必要はありません。しかし、わずかでもあなたのためを思った批判には、「言ってくれてありがたい」と耳を傾けてください。リフレーミングにより、批判されたストレスが和らぐはずです。

リフレーミングの例:批判

リフレーミングの例2:不安

未来への不安をリフレーミングする例を解説します。これまでと重複するものもありますが、4つ取り上げました。

試験

「試験に落ちるかも」と不安なときは、実際に落ちる確率を計算してみましょう。

  • 合格率
  • 合格点
  • 問題演習の正答率
  • 模試の結果

などの情報をもとに、合格できる可能性を割り出してみます。合格できる確率が70%だとすれば、落ちる確率が30%しかないことがわかり、悲観的すぎる現状認識をリフレーミングできます。

算出した合格率が低かったとしても、不安感は軽減されるでしょう。未来に不安を感じるのは、「どうなるかわからない」という不確定さがあるためです。

「災害が起きたらどうなるかわからない」という漠然とした不安には対処のしようがありませんが、「災害で食糧がなくなったらどうしよう」という具体的な恐怖には対策を講じることができます。未来について具体的に想像すれば、出来事がコントロール可能なものになるため、不安感が軽減されるのです。

就職活動

成功率を割り出しにくい物事にも、同様のアプローチをとります。就職・転職が不安なら、

  • 有効求人倍率
  • 就職・転職に成功した友人の体験談
  • 就活サイトなどの体験談

などを参考にすれば、何社くらい受ければ採用を勝ち取れそうなのか見えてくるでしょう。「20社中1社くらいなら採用してくれそう」と判断したなら、19社には落とされてもいいことになり、気持ちが楽になります。

リフレーミングの例:就職活動

商談

「失敗するかも」という不安をリフレーミングするには、「失敗していい理由」を探すのも手です。商談に臨む場合、次のような方法で心を落ち着けましょう。

  • 「失敗したら何が得られるかな?」と考える
  • 「ライバルが多いのだから、失敗してもともとだ」とハードルを下げる
  • 「失敗しても死ぬわけじゃない」と考える

「やる前から失敗を考えるなんて!」と思うかもしれませんが、強いプレッシャーでパフォーマンスが落ちてしまうよりは得策です。

キャリア

「社内でトップの業績を出したい!」
「早く出世したい!」
社会的成功者になりたい!」

そんな向上心自体はすばらしいのですが、「絶対に成功しなければ」というプレッシャーから心身の調子を崩す人は少なくありません。「頑張りすぎて疲れたな」と感じるなら、リフレーミングで生き方を見つめ直しましょう

この場合も、「ネガティブな事象から得られるもの」に目を向けます。あなたが「早く出世したい」と焦っているなら、「出世しないメリット」について考えてみましょう。「責任の重い業務をやらなくていい」「面倒を見る部下が少なくてすむ」などのメリットが思いつけば、出世や成功がすべてではないと気づけます。

このように、仕事や人生について再考したいときにもリフレーミングが役立つのです。

リフレーミングの例:キャリア

リフレーミングの例3:性格

続いて、性格上の「欠点」をリフレーミングする例です。よく「長所」「短所」という言葉を使いますが、本来、性格に良し悪しはありません。どの性格も一長一短ですし、どんな性格が良しとされるかは状況によって異なります。欠点としか思えない性格・性質も、見方や前提が少し変わるだけで長所になりうるのです。

臆病

なぜ私たちは臆病になるのでしょう? それは、嫌な出来事を回避しようとするからです。

加齢とともに冒険を恐れ、保守的な傾向が強くなるのも、それまでの経験から「この先に起こりうる嫌なこと」を想像できるため。つまり、臆病な人は想像力が豊かなのです。

あなたが臆病なら、臆病さを原動力にし、先のことを綿密に計画・準備する習慣をつけましょう。そうすれば、臆病さが「思慮深さ」「計画性の高さ」という立派な長所に変わります。

内向的

コミュニケーション能力が重視される現代、内向的な性格だと苦労するもの。しかし、「内向的」という要素も長所に変換できます。

心理学者の榎本博明氏によると、内向型には「何かに没頭できる集中力」という強みがあるそう。デスクワークに黙々と取り組め、人と話さなくても苦痛を感じにくいので、昨今の在宅ワーク環境では強みを発揮しやすいでしょう。

仕事のスキルや趣味など、物事をとことん究められるのも内向型の特長です。ほかにも、以下のようにさまざまな美点があります。

  • 人付き合いが苦手だからこそ、相手を不快にさせないよう気をつかえる
  • 不安を感じやすいからこそ、慎重に物事を進められる
  • 自分自身を見つめ直し、振る舞いを反省できる

リフレーミングのやり方:内向的

頑固

日本では、信念を貫く「頑固さ」より協調性が重視されるもの。会議で自分の意見を主張し続ければ、「空気が読めない人」とみなされかねません。

しかし、「八方美人はみんなに嫌われる」ということもあります。誰にでも同調したり自分の本音を隠してばかりでは、みんなにウソをついているようなもの。結果として、誰からも信頼されなくなります。誰彼かまわずお世辞を言う人からほめられても嬉しくありませんが、いつも率直な人のほめ言葉は信じられますよね。

「信頼される」という点では、信念を曲げない頑固な人のほうが得とも言えます。協調性が重んじられる日本でも、頑固さは美点になるのです。

飽きっぽい

「飽きっぽい」とは、マンネリを嫌うということ。同じことの繰り返しを退屈に感じ、新しいことに手を出したくなる性分です。

飽きっぽい人は、物事を究めるのが苦手かもしれません。その反面、

  • 興味の範囲が広い
  • チャレンジ意欲が強い

といった長所をもっています。企画や広報、開発などの職種では、飽きっぽさが長所となるでしょう。

不器用

物覚えが悪い……勘違いや言い間違いが多い……そんな「不器用さ」は、人としての「かわいげ」とリフレーミングできます。「デジタル大辞泉」(小学館)における「かわいい」の説明は以下のとおり。

小さいもの、弱いものなどに心引かれる気持ちをいだくさま。

「かわいい」とは不完全さを愛でる気持ちなのです。なんでも完璧にこなす人より、不器用で隙のある人のほうが親しみやすいですよね。

「おかしい」という言葉にも、「不完全」「間違い」というネガティブな意味と、「おもしろい」というポジティブな意味があります。人は工場で大量生産される茶碗より、ハンドメイドのいびつな茶碗に魅力を感じるのです。

テレビショッピングで知られるジャパネットたかたの創業者・髙田明氏も、なまりの強い独特なしゃべり方で愛されていました。アナウンサーのように完璧な標準語だったら、あれほどの人気を得ることはなかったでしょう。しゃべり方が「不器用」だったからこそ、髙田氏は支持されたのです。

このようなリフレーミングにより、あらゆる「欠点」は長所に転換できます。

リフレーミングの例:不器用

リフレーミングの例4:仕事

リフレーミングの「物事を別の角度から見て、新たな価値を発見する」という考えは、ビジネスにも応用可能です。5つの例をご紹介しましょう。

商品開発

リフレーミングは、斬新なアイデアが求められる「商品開発」のシーンで役立ちます。

有名なのが「ポスト・イット」の開発エピソード。ポスト・イットのノリは、偶然生まれた失敗作でした。強力なノリをつくる過程で、粘着力の弱いノリを生成してしまったのです。

開発者は、このノリが簡単にはがれることに着目。「貼ったりはがしたりできるしおり」――ポスト・イットの発明につながりました。「粘着力が弱い」という弱点をリフレーミングしたことで、ポスト・イットが生まれたのです。

このように、一見とるに足らない材料やアイデアも、少し見方を変えれば思わぬヒットにつながるかもしれません。

クレーム

「クレームは貴重な情報源」という考え方は、もはや常識です。クレームからは需要や問題点を発見できます。「うるさい客だなぁ」と否定的にとらえず、「貴重な意見を頂けてありがたい」と真摯に向き合い、クレームを活かせないか考えてみましょう。

日清食品の「チキンラーメン」にあるくぼみ(たまごポケット)も、クレームから生まれました。「玉子がCMのようにきれいに乗らない」というクレームを受け、玉子が安定するよう改良したそう。これが大当たりし、たまごポケットをつけた2003年、チキンラーメンは過去最大の売上を記録しました。

リフレーミングのやり方:クレーム

経営戦略

ビジネスでよく使われる分析手法に「SWOT」があります。自社の強み&弱み、市場における機会&脅威の4点を分析し、経営戦略を考えるフレームワークです。「いかに強みを活かし、弱みをカバーするか」が経営戦略のメインテーマというわけ。

しかし、弱みとされているポイントも、リフレーミングで強みに変換できるかもしれません。中小企業支援家の小出宗昭氏は、老舗メーカー・鳥居食品の例を紹介しています。鳥居食品では、製造したソースを、現代としては古いイメージのある「ビン詰め」で販売していました。プラスチック容器に切り換えたくても、機械を導入する資金がなかったのです。

そこで、ビン詰めしかつくれないという「欠点」をリフレーミングし、「ビンを回収・リユースして使うエコな会社」という長所として打ち出しました。「顧客に合わせたオーダーメイドのソース」など、小さな企業ならではのサービスも続々と展開していったそう。

  • うちは小さな企業だから、大手には勝てない
    小さな会社だからこそできることがあるのでは?
  • 大量生産できないので、価格を安くできない
    少量生産ならではの価値をつけられるのでは?
  • 田舎なので、都会の会社には勝てない
    田舎だからこそ実現できるビジネスがあるのでは?

このようにリフレーミングすることで、あなたの会社の短所が長所に変わるかもしれません。

リフレーミングのやり方:経営戦略

市場開拓

リフレーミングは、市場の発見・開拓にも効果的です。たとえばカフェ市場は、スターバックスやドトール、マクドナルドなど多くの企業がひしめいており、新規参入の余地がほとんどない状況。しかし、10年後に目を向けたらどうでしょう?

高齢化がさらに進み、高齢者にターゲットを絞っても採算がとれるかもしれません。「高齢者限定カフェ」という新しい市場なら、競合がいないブルーオーシャン。いまから参入しても勝ち目がありそうです。

このように市場を評価する基準(時間軸など)を変え、別の角度から眺めることで、競争相手の少ない市場を発見できるかもしれません。

部下・後輩の指導

リフレーミングを使えば、相手の長所を発見して励ますことも可能です。「ダメ出しばかりでつらい……」と部下が落ち込んでいるなら、このような言葉をかけてあげましょう。

「ダメ出しされるのは、伸びしろが期待されている証拠だよ」
「ダメ出しで鍛えられたおかげで、とても成長しているよ」

大切なのは、事実をベースにほめること。ウソの言葉で励ましても “甘やかし” や “おだて” でしかなく、本人のためになりません。「事実を認めたうえで解釈を変える」というリフレーミングの基本を守りましょう。

リフレーミングの例:部下・後輩の指導

リフレーミングに関する本

最後に、リフレーミングを学びたい人におすすめの本をご紹介します。

『悩まない!技術』

初心者には、組織コンサルタントの堀公俊氏による『悩まない!技術 人生を変えるリフレーミング思考』がおすすめ。仕事や日常生活の悩みをリフレーミングで解決する方法をやさしく解説してくれます。

『悩まない!技術』では、リフレーミングを3つに分類。

  1. 自分へのリフレーミング
  2. 他者へのリフレーミング
  3. 問題へのリフレーミング

各シーンでどうリフレーミングするか教えてくれます。リフレーミング練習ができる「エクササイズ」の章もあるので、リフレーミングの技術を鍛え、スキルとして身につけたい方にもおすすめです。

『NLPフレーム・チェンジ』

心理療法士のL・マイケル・ホール氏らによる『NLPフレーム・チェンジ 視点が変わる〈リフレーミング〉7つの技術』。心理学の一分野・NLP(神経言語プログラミング)に基づき、リフレーミングの理論や技術を詳しく学べます。

リフレーミングの会話モデルを、じつに26通りも収録。『悩まない!技術』に比べ難しいですが、リフレーミングを専門的に理解したいなら、ぜひ手に取ってみてください。

『マーケティング・リフレーミング』

『マーケティング・リフレーミング 視点が変わると価値が生まれる』は、リフレーミングをマーケティングに応用する方法を学べる本です。

  • 「マルちゃん鍋用ラーメン」(東洋水産)
  • 「アタックNeo」(花王)
  • 「キリンフリー」(キリンビール)

など8つの事例を分析し、リフレーミングで企業や市場の潜在能力を見つけるノウハウを解説しています。

***
リフレーミングは、仕事や日常のさまざまな問題を解決してくれるだけでなく、マーケティングや商品開発にも応用できる、たいへん優れた思考法です。この記事を参考に、ぜひリフレーミングをやってみてください。

(参考)
株式会社ダイレクトコミュニケーション|リフレーミングの種類とは,練習法やワーク一覧
加藤聖龍(2009),『手にとるようにNLPがわかる本』, かんき出版.
新庄剛志(2018),『わいたこら。 ――人生を超ポジティブに生きる僕の方法』, 学研プラス.
STUDY HACKER|自尊心低めの私が「リフレーミングノート」で自分の長所を探してみました。
ダイヤモンド・オンライン|頭が凝り固まったときこそ、「脳内に別人格」をインストールしよう!
ダイヤモンド・オンライン|ビジネスエリートに「落語」の教養が必要な理由
立川談慶(2020),『ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語』, サンマーク出版.
エムカク(2021),『明石家さんまヒストリー2 1982~1985 生きてるだけで丸もうけ』, 新潮社.
ダイヤモンド・オンライン|「隠れ内向」にとって、在宅勤務やジョブ型雇用でチャンス到来なワケ
ダイヤモンド・オンライン|不安が強くてもいい営業マンになれる「隠れ内向」の意外な強み
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ダイヤモンド・オンライン|会社の「弱み」も、捉え方次第で「強み」になる!
鈴木進介(2015),『あわてず悩まず!本質を見極める「問題解決」のきほん』, 翔泳社.
東洋経済オンライン|職場の「嫌われ上司」が今すぐ変わる5つの方法

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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