復習効果がすごい。メモ術「ツェッテルカステン」×「付箋ノート」が勉強内容の整理に最適だった

「ツェッテルカステン」と「付箋ノート」を合体したノートの実践

もしも、社会人のあなたが勉強に対して苦手意識があり、それでいて学び直しの必要性を強く感じているならば、少しでも楽しく、少しでも効率よく、そして、できるだけ負担の少ない勉強法を求めるのではないでしょうか。

そこで、大人になっても “勉強” という言葉に拒否感を覚える筆者が、すごいメモ術「ツェッテルカステン」と「付箋ノート」を合体させ、スキマ時間で楽しく勉強する方法を探ってみました。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

「付箋ノート」のメリット

法律系国家資格取得の受験指導を行なう東京法経学院の勉強法コラムには、資格試験勉強に役立つとして「付箋ノート活用術」が紹介されています。

付箋ノートとは、ノートを台紙に、要約した情報(勉強内容)を書き込んだ付箋を貼りつけて使うノート術のこと。同コラムを参考にすると、付箋ノートで勉強するメリットは次のとおりになります。

  • 簡単に貼ったり剥がしたりできるので、
    → 内容の訂正が簡単
    → レイアウトの変更が簡単
    → 新しい情報を付け足すことが簡単
    → 覚えた・覚えていないを区分しやすい

  • 付箋でカラフルな色合いを取り入れられるので、
    大事なポイントを視覚的に覚えられる

  • 書くスペースが限られるので、
    → まとめる力が身につく

  • 小さなスぺ―スにそれぞれまとめるので、
    → 学習内容の要点整理を繰り返せる

(参考:東京法経学院|資格試験勉強に役立つ! 付箋ノート活用術

また、『フセンで考えるとうまくいく』(現代書林)などの著書をもつ、アドラー心理学修士・メンタルコーチの平本あきお氏(メンタルマネジメントスクール代表)は、付箋の “いいところ” として

「いい加減」が許されること

を挙げています。

(参考および引用元:THE21オンライン|頭の中を整理する「付箋」の使い方

上記の言葉(および参考元の平本氏の言葉)と、先の内容とをあわせて解釈してみると、付箋は扱いが自由なので、きちんと書こうと身構える必要がなく、どんどん書くことができ、なおかつ学ぼうとする情報の要点に集中しやすくなると考えられます。

A4サイズの紙のノートに、アルファベットが書かれたカラフルな付箋がはみ出すほどたくさん貼られている。

それに、色つきの紙を貼ったり剥がしたりするのは、客観的に見てもなんだか楽しそうです。そうした数々のメリットは、勉強に苦手意識をもつ人にピッタリなのではないでしょうか。

すごいメモ術「ツェッテルカステン」について

一方のツェッテルカステンを説明するとすれば、メモ術というよりも、むしろ “知識を組織化・管理するためのシステム” と言えるかもしれません。つまり、こうした部分が “すごい” と銘打つ理由です。このシステムでは、ひとつの情報を1枚のカードに書き留め、それらを関連性に基づいてリンクし、一連のネットワークを形成します。

このツェッテルカステンは、

  • 個々の「情報を再利用可能なかたちで保存」する
  • 「知識のネットワーク」をつくり出す

ことが可能で、長く発明家、学者、研究者、作家などに使用されてきました。なかでも、この手法を多用したことで有名なのは、ドイツの社会学者ニクラス・ルーマン氏(1927〜1998)です。

ルーマン氏もそうしていたように、古くからある方法は手書きですが、現代ではデジタルツールで実践する人も多いようです。

ちなみに、カードには番号(あるいは英数字)を割り当てるので、手書きでリンクを行なう際には、リンクさせたいカードの番号を、メモのどこかに書いて行ないます。

(参考:Wikipedia|Zettelkasten / PRESIDENT Online|「30年で58冊の名著を量産」天才社会学者がやっていた無駄にならないメモの取り方

こちらはルーマン氏のツェッテルカステンを簡単に説明したものです。

ルーマン氏のツェッテルカステンを説明した手書きの図

※ツェッテルカステン(Zettelkasten)はドイツ語で slip box(伝票箱)を意味する言葉

(上図の引用元:STUDY HACKER|確実に覚えたい人向け。記憶定着に効く “繰り返し学習” にメモ術「ツェッテルカステン」が役立つワケ

STUDY HACKERでは上の記事以外にも、ツェッテルカステンを掘り下げ、実践にもつなげているので、よろしければ参考にしてみてくださいね。

「手書き」と「関連づけ」に焦点を当てたツェッテルカステン

(上図の引用元:STUDY HACKER|「手書き」と「関連づけ」で理解と記憶が進む。すごいメモ術「ツェッテルカステン」を勉強に活用してみた。

「ツェッテルカステン」の展開

(上図の引用元:STUDY HACKER|天才社会学者がやっていた。大量アウトプットを可能にする驚異のメモ術「ツェッテルカステン」って知ってる?

手書きの「ツェッテルカステン」のメリット

『Creative Doing』の著者でコンテンツクリエイターの Herbert Lui 氏は、自身の創造性のカギがルーマン氏のツェッテルカステン(同氏はスリップボックスと呼ぶ)メソッドであることを紹介しています。

Lui 氏いわく、ツェッテルカステンの魔法はメモを書くこと自体ではなく、あとで見直してつながりをつくることにあるとのこと。同氏によれば、Appleの共同創業者のひとりであり、同社のCEOを務めた故 Steve Jobs 氏は、生前インタビューで「創造性とはただ物事を結び付けること」だと語ったそうです。

このなかで Lui 氏は、手書きのツェッテルカステンを補完・強化し、実践するためのソフトウェアを見つけるのは難しくないとしながらも、

Aware of the distractions on my computer, I prefer to start by hand, and just write on 4x6 index cards.

(コンピューター上にある気を散らすものを認識しているので、私は手書きで始めることを好み、4x6インチのインデックスカードに書きます)

(参考および引用元:Medium|The Key to My Creativity Is This Weird Note-Taking System ※カッコ内の和訳は筆者が補った)

と伝えています。“気を散らすもの” とは、恐らくソーシャルメディアの通知や、ゲーム、電子メールなどのことでしょう。

また、脳神経外科医・リコード法(アルツハイマー病の画期的治療プログラム)認定医の濵﨑清利氏によれば、

手書きは、自分の書いた文字が正しく書けているかを確認する行為もともなうため、脳の複数の領域(前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉、視床、小脳)を同時に活性化

するそうです。指先を動かすこと自体にも、脳への刺激、血流改善が期待できるとのこと。

(参考および引用元:PR TIMES|手書き文字から認知症を見抜く! #認知症文字トレ が注目を集め、発売即重版決定!) 

「ツェッテルカステン」と「付箋ノート」の合体

これまでの内容をふまえ、勉強に苦手意識のある筆者は、手書きの「ツェッテルカステン」と「付箋ノート」の “いいとこどり” で合体させ、勉強に使ってみようと思います。さっそくシュミレーションしてみましょう。

まず、よくある大きさの付箋に、勉強した内容の要点(下図はアルファベットで代用)を書き、A4サイズのノートに貼ってみます。

よくある大きさの付箋に、勉強した内容の要点を書いて貼ったと想定したノートのグラフィック

ページが進むごとに、ノートに番号を振っていきます。

「ツェッテルカステン」と「付箋ノート」の合体ノートにページ番号を振ったもの

複数のページに情報の関連性を見いだした場合は、それぞれの付箋に同じ情報を書いて、それぞれの場所に置きます。

ページを隔てて付箋の情報が関連している場合

ちなみにルーマン氏は、もとの意味を維持しながら、自分自身の言葉を選んでメモに書いていたとのこと(参考:STUDY HACKER|「手書き」と「関連づけ」で理解と記憶が進む。すごいメモ術「ツェッテルカステン」を勉強に活用してみた。)。

したがって、同じ情報を書くにしても、一語一句違わないように書くのではなく、そのつど更新されている知識に準じ、自分の言葉で要約していきます。

また、その際には知識のネットワークを形成するべく、メモにリンク先の番号を書いておきます。ただし、本来のツェッテルカステンとは違い、ここではリンク先のページ数をそれぞれに書きます。

「ツェッテルカステン」と「付箋ノート」を合体したノートのリンクの仕方。ページ数を書く。

基本的な部分はシュミレーションできたと思うので、実際にやってみようと思います!

「付箋式ツェッテルカステンノート」をやってみた

用意したのは、カラーアソート(5色入り)されている付箋と、A4サイズのノートです。

ブルークロスの上に置かれた、カラーアソートの付箋とA4サイズのノート

勉強するのは、日常的に使用していながら、ほとんど知らない「電気」について。好きな海外ドラマで、好きなキャラクターが電気機器に詳しい様子を見て興味が湧き、思わず買った本を、ただ読むだけではもったいないと感じていたので題材にしてみました。

基礎的な内容なので、初めての試み(「ツェッテルカステン」と「付箋ノート」の合体)にはピッタリではないかと思います。

ちなみに、文房具・オフィス家具・事務機器を製造・販売するコクヨ社員の方々によれば、小さいスペースの付箋に太めのペンを使用すると、さらに文字数が限られるので、必然的に短くまとめるようになるとのこと。よりいっそう、要約力が鍛えられそうなので、筆者もそうしてみました(参考:STUDY HACKER|「付箋ノート」はもう試した? 脳力アップと情報整理に役立つ “最強ノート術” のやり方)。

そして、スキマ時間を使い、とにかく失敗を恐れずどんどん付箋に勉強内容を要約していきます。もちろん図解もあり。1枚の付箋にはすぐ書ききってしまうので、これだけでも小さい達成感が積み重なります。勉強というより、なんだかゲームの段階を踏んでいるよう。

また、付箋のカラーはだいたいページが変わるタイミングで適当に変えてみましたが、色を変えるだけでも気分がリフレッシュされるので、これはおすすめです。そうしてある程度メモがたまったら、またスキマ時間を使ってノートに貼ってみたところ――

「ツェッテルカステン」と「付箋ノート」を合体したノートの実践

(メモの中身参考:有馬良知著(2012),『図解入門はじめての人のための電気の基本がよ~くわかる本 』,秀和システム.)

前後の関連を考えながら付箋を貼る際と、レイアウトを組み直す際と、リンク先用に再び自分の言葉で同じ情報を書き直す際の、【復習効果がすごい】と気づきました。なおさら、このノート術ではページ単位でリンクさせるので、何度も関連ページの情報に接触せざるをえないわけです。

すごいメモ術「ツェッテルカステン」と「付箋ノート」を合体させて勉強してみたら、何度も同じ情報に接することができ、「あ、そうか」と思い出すこともでき、否応なしに復習を繰り返すことができました

***
勉強が苦手な社会人の方は、今回の筆者のように、まずは興味の赴くところから学んでみてはいかがでしょう。勉強のハードルがグッと下がりますよ!

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