三日坊主の人必見。新年は「WOOPテクニック」を使って目標を立てよう

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新しい年を迎えるとき、1年の目標や抱負を決める方は多いかと思います。一方でこれまで、年始に前向きな気持ちで目標を立てても、「毎日の忙しさや仕事に追われ、モチベーションが薄れてしまって達成できなかった……」という経験がある方も多いかもしれません。

じつは、目標を達成できるかどうかは、「計画の立て方」が重要なポイントとなっているよう。今回の記事では、より実現しやすい目標設定の方法をご紹介しましょう。

目標を設定することのメリット

「年始だからといって1年の抱負を決めたりはしない」という人もいるかと思います。しかし、じつは、目標を決めたほうが、この1年が充実した年になる可能性が高まるのです。ハーバード大学の研究によると、目標設定をしている人は、そうでない人に比べ、成功する可能性が2倍になるということがわかっています。また、目標を書き出している人は、さらにその5倍(つまり目標のない人に比べると10倍も成功しやすいのだとか。

また、ドミニカン大学カリフォルニア校の心理学教授ゲイル・マシュー博士も、目標を書き出している人は、書き出していない人や目標を持っていない人に比べ、はるかに成功しやすいと述べています。

ここでいう「成功」は、人によって異なり、「収入を上げる」「仕事で一定の成果を上げる」「心配事を減らす」「新しいスキルを身につける」「プライベートを充実させる」など、さまざまです。自分にとって喜ばしい結果を出すことができれば、充実した年につながるのは間違いありません。

マシュー博士は、目標を書き出すのに加え、その目標を「友人と共有する」ことをすすめています。それを証明するのが、同教授が行なったこの実験です。

  1. 267名の被験者に、4週間で達成したい目標を決めてもらいます。
  2. 被験者を、目標の達成具合を毎週報告するグループと、報告しないグループに分けます。
  3. 前者には、目標の達成具合(完全に達成した、もしくは、まだ途中である)を、友人に毎週報告させました。

    →その結果、前者の70%以上が目標を達成したものの、後者の達成できた割合は、35%程度に留まったそう。

友人に共有することで、モチベーションが上がったり、危機感が生まれたりするのかもしれませんね。目標を設定したら、身近な人に報告してみてはいかがでしょう。

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WOOPを使って新年の目標を立てる方法

目標を持ち、それを書き出し、友人に共有することが、効果的であることをご紹介してきました。次にご紹介するのは、目標を設定し、それを実行するための計画を立てるWOOPというテクニックです。これは、ニューヨーク大学、およびハンブルク大学の心理学教授であるガブリエル・エッティンゲン博士が提唱したもの。

エッティンゲン博士は、目標達成のためには、ポジティブ思考を捨てることをすすめています。ポジティブ思考だと、成功した自分を思い浮かべ、それだけで満足してしまうのだそう。それよりも、目標に向かっている途中で起こりうるネガティブなことを想像し、対策を立てるほうが、目標を実現するのに有効であると述べています。

エッティンゲン博士が考えたWOOPの方法は、以下の通り。

  1. Wish(願望):まず、自分がこうありたいという目標を定めます。簡単ではないけれど、一定期間のうちに達成できそうなものを選びましょう。
  2. Outcome(成果、結果):次に、達成した場合に得られる成果について考えましょう。関連する出来事や経験を、出来る限り鮮明に想像します。
  3. Obstacle(障害):次に、その目標を達成する際に一番の障害となるものを見つけましょう。ポイントは、自分の内面的な障害を思い浮かべることです。疲労や不安かもしれませんし、行動、感情、強迫観念、衝動、悪習慣なども考えられます。
  4. Plan(計画):最後に、その障害を乗り越えるために自分ができる最も効果的なことを決めておきます。どのような場面でその障害が起きるか具体的に想像し、「障害Xがおきたら、行動Yで乗り越える」と心の中にとどめておきましょう。

同博士いわく、4ヶ月間WOOPを使って目標設定をした人と、していない人を比較したところ、たった4ヶ月で、2倍も成果が上がったそうです。さらに、2年にわたる調査が行なわれ、やはりWOOPを使った人のほうが、圧倒的に成果が上がるという結果が出たのだとか。

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目標設定の前に運動・瞑想をするべきワケ

メンタリストのDaiGo氏は、WOOPを推奨しており、さらに、目標を設定する前に、運動をしてストレスを落とし、瞑想をして心を落ち着かせることを提唱しています。

同氏は、WOOPを「イメージトレーニング」と表現しています。たしかに、頭の中で成功したところをイメージし、モチベーションを高め、さらに失敗や挫折を乗り越えるための対処方法を想定することは、まさにイメージトレーニングですね。そのため、WOOPを使う際には、想像力を高めたり、心を落ち着かせたりすることが必要となります。

運動は、部屋でもできるような簡単な動きでかまいません。ジャンプして腕立て伏せを繰り返す、いわゆるバーピージャンプのような激しい動きを30秒行ない、3分休んでまた30秒行なう……という運動をしましょう。DaiGo氏によると、運動でストレスを落とし、瞑想をして心を落ち着かせてからWOOPをすると、現実的な想像ができるのだとか。

たしかに、瞑想は集中するために有効なので、イメージトレーニングをする際に役立ちそうですね。瞑想が、集中力の向上のために役に立つのは、「今の自分」に集中することができるからです。

私たちは常に、何らかのことを考えているもの。たとえば、勉強中にSNSが気になってしまったり、仕事中にランチに何を食べるか考え出してしまったりしたことは、誰しも経験があるのではないでしょうか。これらの雑念は、今行なっている作業への集中をさまたげてしまいます。イメージトレーニングは、頭の中で行なうため、ほかのことを思い浮かべると、かなりの妨げになってしまうと考えられます。

瞑想は、「今、この瞬間の自分」に集中するものです。瞑想をすることで、頭の中の雑念を追い払うことができ、その後のイメージトレーニングに対する集中力が増すでしょう。

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WOOPを使って目標設定してみた

実際に、筆者がWOOPテクニックを実践してみました。

まず、目標を設定する前に、DaiGo氏の推奨する運動と瞑想を行ないます。家の中で運動を行なったため、下の階に迷惑にならないよう、ジャンプをして腕立て伏せをする動きを静かに30秒行ない、3分休憩し、また30秒行ないました。これだけでも体が温まり、頭がスッキリしたように感じます。

次に、瞑想をしました。瞑想にはさまざまな方法がありますが、今回は、瞑想を脳科学に基づいて改良した「マインドフルネス呼吸法」を実践しました。方法は以下の通りです。

  1. イスに座り、背筋を軽く伸ばして背もたれから離し、お腹はゆったりさせる姿勢をとる
  2. 足の裏や手、お尻の感触、身体が重力に引っ張られる感覚に意識を向ける
  3. 空気が鼻を通る感覚、肺が膨らむ感覚、呼吸の深さなど、呼吸を感じる
  4. 雑念を消し、他の考えが浮かんだらすぐに呼吸へ注意を戻す

運動と瞑想が終わると、集中力が増した感覚がありました。

次に、いよいよWOOPの実践です。私が考えた目標は以下の通りです。

WOOPをやってみた02数年前から、体重と体脂肪を落としたいと思っていましたが、なかなか実践できずにいました。日々の忙しさの中で頭の片隅にずっとあったものを、今年こそ目標として設定したいと思います。

具体的には体重を6キロ、体脂肪を5%落としたく(Wish)、それを実現すれば着たい洋服が増えたり、趣味のランニングが捗ったりして、生活がより充実すると考えました(Outcome)。それによって、仕事へのモチベーションも上がり、1年の満足度も上がるように思います。障害となりうることは、疲れるとついつい暴食してしまうこと(Obstacle)。それを防ぐために、つい食べすぎそうなときは食事前にお茶やお水を500ml飲むことを、自分の中でのルールにしたいと思います(Plan)。

WOOPの実践を通して、たしかに発案者のエッティンゲン博士が述べていたように「私なら目標を達成できそうだ」などとポジティブにとらえるよりも「こういう失敗をするかもしれない。それを防ぐためにはこうしよう」と具体的にイメージトレーニングするほうが、より達成の可能性が高まりそうだと感じました。

***
みなさんも1年の始まりに、目標を立ててみませんか? その際はぜひWOOPを使ってください。数年後に振り返ったときに、充実した年だったと思えると良いですよね。

(参考)
DaiGo(2018),『倒れない計画術』, 河出書房新社.
Dominican University of California|STUDY FOCUSES ON STRATEGIES FOR ACHIEVING GOALS, RESOLUTIONS
sidsavara.com|Why 3% of Harvard MBAs Make Ten Times as Much as the Other 97% Combined
ガブリエル・エッティンゲン著, 大田直子訳(2017), 『成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則』, 講談社.
@DIME|スティーブ・ジョブズもやっていた!瞑想こそ前向き脳を作る第一歩
ダイヤモンド・オンライン|「過去と未来」が頭を占めると、脳疲労が溜まる-なぜ「呼吸」に注意するだけで脳が回復するのか?

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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