「朝一の会議で頭が回らない……」
「大事なプレゼンなのに、うまく考えを言葉にできない……」
そんな “朝の不調” に悩まされていませんか?
コーヒーを飲んでも、シャワーを浴びても、なかなか切り替わらない頭。まわりは次々と案を出し、テキパキと動いているのに、自分だけが取り残されているような焦りを感じる朝の時間。
じつは、その不調……いまの「夜」の過ごし方に、新しい習慣を少し取り入れるだけで大きく改善するのです。
今回は、「絶好調の朝」を手に入れるための、たった3つの習慣をご紹介します。今の生活にほんの少しプラスするだけで、あなたの朝は驚くほど変わるはずです。
リラックス読書
米ハフィントン・ポスト創業者として有名なアリアナ・ハフィントン氏がすすめるのは、ベッドでのリラックス読書。*1
彼女は、「小説や詩など、仕事に無関係のもの」を特に推奨します。毎日仕事に真剣に取り組んでいるからこそ、寝る直前まで仕事のことを考えていないと不安だ、と思ってしまいがちなものです。しかし、ハフィントン氏のように成功したビジネスパーソンでさえ、仕事と睡眠の切り替えが重要であると考えているのです。であれば、「寝る直前まで仕事で頭がいっぱい」という状況は本来避けるべきなのかもしれません。
また、ハフィントン氏は「紙の本か、青い光の出ない電子書籍リーダー」にもこだわります。スマホなどのブルーライトが睡眠に悪影響を与えるのはすでに有名な話ですが、研究によればスマホなどを就寝前にメラトニンと呼ばれる睡眠ホルモンの夜間分泌は55%減少し、さらに入眠も10分程度遅れるとされています。
近年、枕やパジャマなど、「睡眠の質」を高めるための寝具が注目を集めています。でも、行動を変えないことにはその効果も減少してしまうことでしょう。
朝のパフォーマンスをあげる質の高い睡眠は、ちょっとした行動の変化で手に入るものなのです。
「前向きリフレクション」の一言をプラスする
「今日の企画提案はもっとよくできたはず」「あの場面でもっと適切な発言ができたのに」「部下への指導がまだまだ足りない」——。一日の終わりに、自分を責めてしまう瞬間はありませんか?
しかし、慶應義塾高校を107年ぶりの甲子園優勝に導いたメンタルコーチである吉岡眞司氏は脳には「事の最後を重要視し記憶する」特徴があると述べ、「寝る前に反省はしない」ことをすすめています。
特に、就寝前の10分間は「脳のゴールデンタイム」と言われ、その間に脳にインプットしたこと、イメージしたことは強烈に記憶されてしまいます。よって、寝る直前の「ダメ出し反省会」は避けた方がよいのです。*2
また、心理学研究では就寝前にネガティブな思考を巡らせると入眠が難しくなることが指摘されています。*6
とはいえ、夜になると今日の失敗ばかりが頭をよぎって眠れない経験がある方もいるはず。
そんなときに、吉岡氏がすすめるマジックワードが「だからこそ」。同氏は、「だからこそ」で切り替えてプラス面を見いだすことを習慣化するのをすすめています。*3
たとえば……
「新しいプロジェクトで戸惑っている。だからこそ、視野を広げるチャンスになる」
「部下との関係に悩んでいる。だからこそ、リーダーとして成長できる機会だ」
「新規案件で苦戦している。だからこそ、新しいスキルが身につく機会になる」
このように、ネガティブな状況をポジティブな学習機会に転換することで、脳に建設的なメッセージを届けることができます。これが翌朝のパフォーマンスを大きく左右するのです。
朝学習の「準備」
「やっと静かになった深夜の時間だから」「この時間なら集中できるはず」——。夜遅くまでデスクに向かう人は少なくありません。しかし、その努力は実は裏目に出ているかもしれません。
朝活の第一人者で株式会社朝6時の代表取締役社長 池田千恵氏は「夜中に勉強をしていると、時間が無限にあるような」気がしてしまうと言います。*4 それゆえに関係ないことをしてしまったり、別のことを考えてしまったり、なんとなくダラダラしてしまったり……せっかく机に向かったのに、効率よく時間を使うことができなかったという経験がある方は多いのではないでしょうか。
実際、疲れた状態での学習は、内容の理解も記憶の定着も難しくなります。また、「まだ時間がある」という感覚から、つい予定以上の時間を使ってしまい、睡眠時間を削ることにもなりかねません。
そこで、夜の時間を「朝の学習準備」にあてるのはどうでしょうか?
朝から勉強をする、となるとなかなか大変そうです。ですから、夜のうちに「朝になったら何から着手するか」を決めておき、参考書や資料をデスクにセットする。
これだけで翌朝はすぐに学習モードに入ることができ、創造的な発想や集中力がフルに働きます。
池田氏は朝の時間に「創造的な作業が伴う勉強」をすることをすすめます。脳がクリアな状態である朝のうちに、頭をフル回転させるような勉強をするのがいいそうです。
夜の内は準備にとどめ、朝は集中を引き出す——。池田氏の指摘は、夜の時間を過ごすうえで大きなヒントになるはずです。
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- 読書タイムをプラスする(ブルーライト断ちで良質な睡眠)
- ポジティブな一言をプラスする(ネガティブ反省を前向きに変換)
- 朝学習準備をプラスする(深夜勉強をやめ、朝の効率化)
この3つの「プラス」が、あなたの明日の朝パフォーマンスを大きく高めます。夜にほんの少しの新習慣を足すだけで、翌朝はよりスッキリとした頭と集中力で一日をスタートできるはずです。ぜひ今夜からトライしてみてください。
*1 日経ビジネス|寝室からスマートフォンを追放せよ!
*2 現代ビジネス|「夜寝る前に反省する」のはなぜダメなのか? 「真面目すぎる人」がハマる「危険な落とし穴
*3 現代ビジネス|今日が「最悪な一日」だったとしても大丈夫…「真面目すぎる人」がマイナス思考から抜け出す「ちょっとしたコツ」
*4 東洋経済オンライン|「だらだら過ごす夜」の罪悪感と決別する方法
*5 Chang, A.-M., Aeschbach, D., Duffy, J.F., & Czeisler, C.A. (2015). Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness. PNAS, 112(4), 1232–1237.
*6 Harvey, A.G. (2000). Pre-sleep cognitive activity: A comparison of sleep-onset insomniacs and good sleepers. British Journal of Clinical Psychology, 39(3), 275–286.
橋本麻理香
大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。