なぜあなたはいつも流されるのか? “最低1回” は疑う習慣を持つべきワケ。

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「A案にしようと決めていても、会議などに出席すると、ついついB案にしてしまう」あるいは「△△△だと決めてかかっていたら勘違いで、〇〇〇だった」といったことが多いと感じている方は、文脈効果に影響されやすいのかもしれません。

最良の意思決定ができるよう、疑うクセを身につけるといいですよ。説明しましょう。

文脈効果とは?

【文脈】とは、文章(物事)と文章(物事)のつながり、あるいは文章(物事)の筋道や背景のことです。

そして【文脈効果】は、代表的な認知バイアスのひとつです。周辺の状況や、前後にあるものの影響で、人間の「知覚・認識・理解・判断」が変化することを指します。情報がどのような文脈で示されるかによって、わたしたちの行動は変化してしまうのだとか。

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文脈効果の例

十文字学園女子大学の池田まさみ教授らは、文脈効果の例に、日本相撲協会が所有する両国国技館の所在地を挙げています。所在地の住所は

東京都墨田区横網1丁目

相撲協会だけに、太字部分を「よこづな」と読んでしまった方もいるのではないでしょうか。しかし、実際には「よこあみ」と読みます。

これが文脈効果です。

また、株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長で経営コンサルタントの横山信弘氏は、「〇〇〇すると、△△△をしたくなる」といった状況も文脈効果だと説明します。たとえば、

  • 映画館へ行くと、ポップコーンを食べたくなる
  • 新幹線に乗ろうとすると、駅弁を買いたくなる
  • 海水浴に行くと、カレーラーメンが食べたくなる
  • 大ヒットした映画は、好みじゃないのに観たくなる

などです。同氏いわく、こうなる原因は、「集団がつくり出す空気」のせいなのだとか。

  • 映画館といったら、ポップコーンでしょ
  • 新幹線といったら、駅弁でしょ
  • 海水浴といったら、カレーやラーメンでしょ
  • 大ヒット映画は、観るもんでしょ

といった空気が、通常以上の購買力をつくるのだそう。そのため、営業やマーケティングにおいては、「集団がつくり出す空気」を、決して無視してはいけないと横山信弘氏は述べています。

ちなみに、こんな文脈効果もあるのではないでしょうか。

美味しそうな料理を楽しみながらイタリアを旅する番組の合間に、パスタソースのCMが何度も入った。そのあと買い物に行ったら、思わずスーパーでパスタ麺とパスタソースを購入してしまった。今日は昨日のカレーの残りを食べようと思っていたのに。

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こうして、わたしたちは文脈効果に影響され、ついつい消費しているのです。

ビジネスシーンの文脈効果

また、ビジネスシーンには、困った文脈効果があります。

たとえば、使う頻度が多いA~Fの資料と、滅多に使わない10~15の資料があるとします。上司が手書きのメモをあなたに渡し、「これらをコピーして、急いで会議室に持ってきて」と頼んだとします。

上司がコピーしてほしかったのは「A、13、C、F、D」。しかし、思いついたまま急いで書いたため、そのメモが、こんな状態だとしたら、

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使う頻度が多いことや、メモに書かれた順番の影響で、あなたは「A、B、C、F、D」をコピーして持っていってしまうかもしれません。

これも文脈効果です。

また、たとえばあなたが、企画の方針を決める会議に出席したとしましょう。あなたはA案がいいと思っていましたが、10人の出席者のうち最初に発言した3人がB案に賛成し、途中あなたが中立的な発言をしたあと、やはりB案に賛成する人が1人いた場合です。

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あなたは、この会議の出席者ほとんどがB案に賛成していると思い込み、面倒なのでB案でいいという姿勢を見せてしまうかもしれません。ところが蓋を開けてみたら、A案がいいという人が5人もいたわけです。

あなたが「えッ!? そ、そんなぁ……」と思っても後の祭り

結論を出すため話し合うなか、上司に「B案の、どの部分がいいか説明してくれるかな」と指示されたあなたは、「本当はA案が良かったんですぅ~」などとは今さら言えません。

そんな、「トホホ」と言いたくなるような状況にならないように、最低1回は疑ってみることを習慣づけましょう。つまり、クリティカル・シンキングを身につけるのです。

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クリティカル・シンキングが身につくコツ

クリティカル・シンキングとは、批判的思考のこと。何かを判断したり決断したりする際に、「本当に正しいのか」と疑問を持ち、最適解を導き出していく思考術です。物事の本質を見抜く助けになるのだそう。

  • 本当に正しいのか?
  • 本当にこれだけか?
  • 本当に必要なことか?

こう自分に問いかける習慣を持つことで、文脈効果に影響され、いつのまにか自分の意志とは違う選択をしてしまう事態を避けられるようになります。

ちなみに、筆者のおすすめは、イギリスの作家アーサー・コナン・ドイル氏が創り出した架空の探偵、シャーロック・ホームズ風のセリフを頭の片隅に置いておくこと。

そうとも考えられるが、そうではないこともあり得る
常に思い出せるよう何かに書いて、職場の席の見えやすい場所に貼っておくといいかもしれません。すると、

  • B案が多数とも考えられるが、そうではないこともあり得る
  • いつも使う資料を指定されたようだが、そうではないこともあり得る
  • これで間違いないと思うが、そうではないこともあり得る

と、あらゆる場で思い出しては、その案件を当てはめて考えることができます。

ただし、エンドレスに疑い続けていると疲れてしまい、むしろ誤判断してしまうかもしれません。疑ってかかるのは3回くらいまでにとどめておきましょう。

***
ぜひ最低1回、最高3回まではクリティカル・シンキングを行い、良き意思決定をしてくださいね!

(参考)
錯思コレクション Collection of Cognitive Biases|意思決定・信念|文脈効果
Yahoo!ニュース|「映画館のポップコーン」はなぜ高くても売れるのか?(横山信弘)
STUDY HACKER|「疑う習慣がない人」がずっと二流止まりなワケ。
コトバンク|文脈とは

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