「言葉にできない」では仕事ができない。もやもや思考を “結晶化” する、3つの言語化トレーニング

みなさんは、自分の考えを自分の思ったとおりに言葉にすることができますか。話しているうちに何を言おうとしていたのかがだんだんよく分からなくなる、といった経験がある人は意外に多いかもしれません。

自分の思考をきちんと言語化して伝えられるということは、仕事をするにあたって重要な能力のひとつであると言えるでしょう。そこで今回は、普段の仕事に活かすことが可能な言語化トレーニングについてお伝えします。

言語化できる能力は、ビジネスでは必須スキル

法政大学ビジネススクール教授である高田朝子氏によれば、様々な人が仕事を一緒にしたいと考えるビジネスパーソンは、本人が意識しているかどうかにかかわらず、物事を明確に伝える能力に長けているという特徴があるのだそう。

確かに、説明がうまい人は自分の意見や相手の欲しい情報を正確に伝達することができるため、協働が不可欠とされるビジネスの世界ではかなり重宝されるに違いありません。また、部下や後輩を上手に動かすことができるような人物であれば、より責任のある立場を任されたとしても心配は必要ないでしょう。きっと周囲から頼りにされるはずです。

なぜ言語化がうまくいかないのか

しかし、たいていの人は、自分の思考を言語化することが難しいと感じているように思います。それはいったいどうしてなのでしょうか。

1. そもそも考えていない 自分の意見を急に尋ねられて動揺したことはありますか。もともと考えがないものを言語化することはできません。自分では考えているつもりであっても、それはただぼんやりしているだけに過ぎないのです。

物事に感銘を受けたり疑問を感じたりすれば、選ぶ表現が稚拙であるかどうかはともかく、言葉で表すこと自体はできるはずです。その練習をサボってしまっていると、意見を求められたときに自分の思考を言語化するのは難しくなります。

2. 語彙力がない 自分が扱える語彙の範囲が狭いと、考えていることに合う適切な言葉が見当たらず困ることがあります。

例えば、ある製品について営業を行う場合、「とにかくすごいのでぜひ使ってみてください」と言うよりも「性能は自社のこれまでの製品より約30%も向上し、カラーバリエーションも豊富なのでお気に入りをきっと見つけることができますよ」などと伝えるほうが、相手は手に取ってみたくなるでしょう。

自社にとって重要な仕事であればあるほど、「自分の考えていたことと相手が理解したと思っていたことが違った」という状況は問題ですよね。語彙力がなければ抽象的な表現になりやすく、誤解を招いてしまう可能性があるのです。

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言語化トレーニング

では、私たちはどのようにして思考を言語化できる能力を身に付けることができるのでしょうか。具体的な方法をご紹介します。

1. 具体的な言葉に表す ある状況において自分の意見とは少し違うと感じたとき、「違和感がある」という言葉だけで済ませてしまってはいませんか。それは、言語化トレーニングのチャンスをみすみす逃していることになります。

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授である楠木建氏によれば、「違和感がある」という言葉は、自分の考えと何が違うのか、何に対して反対なのかということが言語化できていない証拠なのだそう。そのせいで相手と感覚を共有できず、また話を前に進めることもできないと言います。

ただし言語化するとは言っても、「これはカワイイ」、「これはヤバい」などと一言に省略するのではなく、「このデザインは、人々にインパクトを与えるにはちょっと色味が弱い気がする」というようにできるだけ具体的な意見として表すようにしましょう。まずは、自分の好き嫌いに関することから言語化トレーニングを始めると取り組みやすくオススメです。

2. 思考を逐一書き出す 頭の中でただ思っているだけだと、いざ言葉にしようとしたときにできないということがあり得ます。その対策として、実際に書くという作業を行ってみてください。

紙でも付箋でも、スマホのメモ機能でも構いません。自分の思ったことをひとつひとつ書き出してみましょう。その際、上手に表現しなければならないというプレッシャーを感じず気軽に言語化ができるよう、単語か文章かという指定はしないでおきましょう。

思い当たる言葉が浮かばない場合は辞書を引くのも有効です。類語辞典を使えば、語彙量も増やすことができ、ちょっとしたニュアンスの違いだって上手に使い分けられるようになるかもしれませんよ。

3. 「T字型思考法」を用いる 『「言葉にできる」は武器になる。』の著者であり、株式会社電通のコピーライターである梅田悟司氏は、「T字型思考法」というフレームワークを用いることを勧めています。

「T字型思考法」とは、「なぜ?」「それで?」「本当に?」の3つの問いかけによって思考を深めていく方法です。例えば、頭の中で「仕事の効率が悪いなぁ」と思い浮かんだとします。そこで先ほどの3つの問いかけを当てはめてみると、「なぜ仕事の効率が悪いのか?」「仕事の効率が悪い、それで自分はどうしたいのか? もしくはどうすれば良いのか?」「本当に仕事の効率が悪いと言えるのか?」というように広げていくことができるわけです。

自分の意見がどこか物足りない、十分に言語化できていないと感じる人は、簡単な言葉からこのフレームワークを利用して様々な方向に思考を整理してみてください。そうすれば言語化の幅が広がるのみならず、自分の思いが明確になることでしょう。

*** 地道な練習がカギとなります。言語化のトレーニングを1日10分でも積めば、自然と自分の思考が適切な言葉で表せるようになりますよ。

(参考) 電通報|「言葉にできない」ことは、「考えていない」のと同じである。 DIAMOND online|「違和感がある」は、思考停止のことば ITmediaエグゼクティブ|言語化能力が人脈を広げる リクナビNEXTジャーナル|思考を深めるプロセスがあるからこそ、「伝わる言葉」が生まれる STUDY HACKER|思考がどんどん深くなる! 電通の人気コピーライターおすすめ『T字型思考法』を試してみた。

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