私たちは毎日様々な情報に触れながら生活しています。テレビの報道もそうですし、ツイッターの呟きや、友達から聞いた豆知識もその一つです。そんな中で、
「情報が全て正しいとは限らない。大事なのは“取捨選択”だ。」
といった主張をよく耳にしませんか? 確かに、これら玉石混交の情報の中から「正しい情報」を見分けなければ、ビジネスの世界で先に立つことはできないでしょう。
ですが、「どうやって」情報の取捨選択をすればいいのかについては、よく知らないという人もいるのではないでしょうか。情報が多すぎて、取捨選択したくてもうまくできないという人もいるかもしれませんね。そこで今回は、情報の取捨選択を正しく行う方法を、皆さんにご紹介します。
取捨選択は「技術」である
情報の取捨選択の仕方について話をする前に、理解してほしいことが2つあります。それは、
①情報の正しさは、100か0かではない ②情報の取捨選択は、「技術」である
ということ。
①は、情報の中には「正しい部分」と「正しくない部分」が同時に存在するということです。ゆえに、その情報自体が「○」か「×」かで仕分けるのではなく、その中身の「○」の部分を抜き出して、自分のものにする必要があります。
②は、情報の取捨選択は身につける技術なのであり、テンプレート的な答えはないということ。情報の種類は多岐にわたりますから、型にはめて考えることはできません。何かチェックリストのようなものがあって、それと情報を毎回照らし合わせればいい、というものではないのです。
では、どうすればその技術が身につくのでしょうか?
“NIE”で情報を取捨選択する力を鍛える
NIEという学習法をご存じでしょうか? これは“Newspaper in Education”の略であり、教育に新聞を取り入れるという意味。近年、メディア・リテラシーを鍛えるために小・中学校や高校でも取り入れられています。
NIEでは、複数の新聞社が発行している新聞を用意します。それらを読み比べた上で、情報の違いに関して、複数人でディベートを行うのです。ディベートを行うことで、各社の情報の共通点や相違点がはっきりしてきます。そうすると、共通部分は「事実」、違う部分は「記者の意見」など、情報の中身が信憑性によって分類されるのです。
新聞社ごとに異なる部分には、その新聞社の色や記者の主観が混じっています。そういった色は、一つの情報源だけ見ていてもわからないものであり、他と比べて見て初めて見えてくるもの。NIEには、それを見分ける力を養う効果があります。新聞の読み比べと情報の分類を繰り返しているうちに、情報の中の「信憑性がある部分」と「そうでない部分」がわかるようになってくると、情報の中のいらない部分を切り捨て、正しい部分だけを抜き出すことができるようになります。これが、情報の取捨選択をする「技術」が身につくということなのです。
将棋棋士の羽生善治氏も、情報についてこう語ります。
山ほどある情報から自分に必要な情報を得るには 「選ぶ」より「いかに捨てるか」のほうが重要なのである。
(引用元:名言のウェブ石碑|羽生善治)
いらない部分を切り捨てて残ったものが、あなたの糧となる情報だということですね。
簡単にできるNIE
NIEが有効だとは言っても、そんなにたくさんの新聞を用意するのはちょっと大変という方もいるでしょう。そんな方には、何か一つテーマを決めて、複数人で調べてみるのをお勧めします。
ペースは週1回でかまいません。それぞれが違う新聞を読むのでも良いですし、「ぼくはNHK」「俺は日経新聞」「私はgoogleで検索してくる」というように、それぞれが異なるソースから調べてきて、その情報を比較してみるのも良い方法です。集めた情報の違いや共通点を洗い出し、信憑性のある部分はどこなのか考えましょう。
これなら、通勤の時間+週1時間程度でNIEのような学習ができて、メンバー同士でお互いの取捨選択能力を上げることにつながります。
また、朝出勤したときにその日のニュースについて話し合ってみるのも、小さなNIEですね。読んでいる媒体によって異なる情報に巡り合えるかもしれません。
そういう同志を探すのが難しいとなれば、SNSを使ってみるのもアリ。ある情報についての意見とソースを書いてみて、他の人の見解をうかがうのです。その際は、比較するために、相手の方にもソースを提示してもらうとよいでしょう。
いかがでしょうか? 情報の取捨選択をする方法は簡単に身に着けられる「技術」であり、その力は確実に伸ばすことができる「能力」なのです。そのためには、それを向上させるためには日々の積み重ねが大事。情報を正しく収集して、ライバルに差を付けましょう!
(参考) NIE 教育に新聞を|NIEとは 名言のウェブ石碑|羽生善治 Wikipedia|メディア・リテラシー 日本経済新聞|私のメディア活用術~情報を取捨選択するために DODA|日本経済新聞社元記者に学ぶ、情報活用術3つの極意