人の話、ちゃんと聞けてる? 知らない人は損をしている『傾聴 4つの基本』

初対面の人に話しかけたものの、会話が続かず気まずくなってしまった経験はありますか? 仲良くなりたいという感情はあるのに、言葉にできなくてもどかしい……こういった悩みを抱える人は少なくないはず。

でもそれは視点を変えると、自分が話している相手だって同じように感じているかもしれないってこと。とすると、好意を持ってもらうためには、まずはこちらから相手を受け入れてあげればいいということになりますよね。

では、会話の中で相手を受け入れるには、いったいどんなことをすればよいのでしょうか。今回は、会話の相手をリラックスさせながらうまく話を引き出し、相互に気持ちのよいコミュニケーションを行うために必須の「傾聴」のスキルについて、すぐに実践できるTipsをご紹介したいと思います。

傾聴の大前提。とにもかくにも相手の言葉を受け止める

傾聴とは、相手を理解することを最大の目的としたコミュニケーション技能の一つです。相手を理解し、尊重することに重きを置くため、とにもかくにも相手の言葉を受け入れるのが基本姿勢となります。とはいっても、具体的にはどうすればいいのでしょう。4つの重要な点をまとめてみました。

(1)微笑みながら聞く 緊張を司っているのは交感神経という神経系です。対して、安心を司っているのが副交感神経。人は、交感神経が優位になると緊張し、副交感神経が優位になるとリラックスします。

笑顔には、副交感神経を活性化させリラックスを誘う効果があることが分かっていますので、笑みの表情を心がけましょう。大げさに笑うとわざとらしいので、微笑む程度の笑顔を意識します。話す側の心情からすると、相手の表情に余裕が感じられるほうが、気持ちよく話せますよね。

(2)相手の言葉を否定しない 相手の意見が自分と違っていても、絶対に否定しないでください。「その考えもいいですね」と受け入れましょう。さらに、「なぜそう考えるのですか」と質問することで、相手の考えを理解しようとする姿勢を見せましょう。

傾聴における目的は相手を理解すること。否定ではなく、掘り下げていくスタイルで相手からどんどん話を引き出してあげましょう。そうすることで、「あなたの意見に興味があります」という意思表示になります。話している相手は、自分の話を聞いてもらえているという実感から心地よくなるわけです。

(3)相手の話を遮らない 頭の回転の早い人やせっかちでおしゃべりな人が陥りやすいのがこの点です。相手の話が冗長で無駄が多いと、「つまりそれってこういうことだよね」と話が終わらないうちにまとめてしまいたくなりますよね。また、相手の話との共通点を見つけると嬉しくなって、話の途中で自分のエピソードを語りたくなるものです。

しかし、傾聴においてそれはNG。相手の話が終わるのを見計らってから話し始めるようにします。話を途中で遮ってはいけない理由は、自分がどう思っているかに関係なく、相手にとっては否定されたと受け取られてしまうからです。ここでの「否定」は、必ずしも話の内容の否定でなく、話の主導権を奪われたという心象からくる嫌悪感を指します。特に、面識が薄い人との会話中に話を遮ってしまうと、自己中心的な人だなという印象を与えかねません。それだけは絶対に避けたいところですよね。

(4)相手の話題を盗まない 「この間、~に行ってきたんですよ」 「自分もいったことありますよ。あそこは……」

こういった会話には問題点があります。それは、話題を相手から奪っているという点。相手がなにかエピソードを話し始めようとしている時に、自分のエピソードを語るのもNGです。

とはいえ、相手との共通の話題はコミュニケーションする上で絶好の材料。ですから、相手のエピソードを聞き終えてから自分の話を出すとよいでしょう。会話が途切れそうになる時に次の話題を提供できると、相手をリラックスさせられます。話すべきタイミングを見極めていれば、比較的自然に自分のエピソードを語ることができるでしょう。

オウム返しは、相手のことばに少しアレンジを加えて

ここまで、相手の話を聞くときの姿勢について話してきました。でも、コミュニケーションは言葉のキャッチボール。実際は何か自分も言葉を発して、返答をしなくてはなりません。その際はどんな言葉を返せばいいのでしょう。ここで、覚えたい技術が「オウム返し」です。

オウム返しとは読んで字の如く、オウムが人の喋った言葉をそのまま繰り返すのと同じように相手の言葉を一字一句違わず相手に返すことを指します。例えば、

「この前の連休で沖縄に行ってきてさ、海が綺麗だったよ。」 「へ~、沖縄に行ってきたんですね。やっぱり海は綺麗でしたか。」

とこんな感じです。しかし、これを多用すると馬鹿にしているような印象を与えてしまいますよね。そこで、一捻り加えるのがコツ。次の例をご覧ください。

「この前の連休で沖縄に行ってきてさ、海が綺麗だったよ。」 「へ~、沖縄ですか。透明な海で潮風を浴びれば疲れも吹き飛びますね。」

どうでしょうか。この例もオウム返しをしているのですが、「綺麗な海」という言葉を「透明な海」と変えています。また、「海」という単語から連想して「潮風を浴びる」を付け足しています。このように、相手の話の中のキーワードを言い換えたり、そこから連想して内容を付け足したりするだけで、ただのオウム返しよりもボリュームのある返しになっています。こうすることで、話し手の記憶の中から内容を引き出してあげる効果もあるのです。

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具体的かつポジティブな言葉で肯定する

オウム返しといつつも相手の言葉をすこし変えるとなると、言葉のセンスが問われてきますよね。気の利いた一言が思いつかないと返せないじゃないかとツッコミがきそうです。しかし、練習次第でボキャブラリーを増やすことは可能。では、どう練習すればいいのでしょうか。コツは日常的な単語からその肯定的な面を連想することです。例として「雲」の肯定的な面を書き出してみました。

例:雲 ・もくもくとしていて可愛らしい ・雄大な感じ ・入道雲、ひつじ雲、うろこ雲などいろいろな形があって面白い ・飛行機に乗った時、雲を通り抜ける瞬間がワクワクする ・空の青との色彩的なコントラストが綺麗 ・掴みどころのないアンニュイな感じが素敵

いかがでしょうか? みなさんはもっと他に雲のいいところを見つけられましたか? このように、普段から暇な時間に目についたもののいいところを考えておき、オウム返しをする際に織り交ぜていくのです。自分なりの視点を伝えることができれば、独創的な人だという印象をあたえることもできるでしょう。日常の会話の中ですこしずつ練習してみてくださいね。

*** 傾聴というと、カウンセラーの業務スキルのイメージがあるかもしれません。しかし、相手をリラックスさせながらうまく話を聞き出しつつ、会話の最中や話し終わった後に好印象を残すというメリット面に注目すれば、私達一般人にも習得する価値のあるスキルだと言えますね。傾聴のスキルを身につければ、ビジネスでもプライベートでも、より良いコミュニケーションが取れるようになるでしょう。ぜひ実践してみてください。

■この記事が連載『Study Hacker Days』でマンガになりました! 「仕事上手は聞き上手」 ゆるクス漫画家 木下晋也のマンガ Study Hacker Days【第6回】

(参考) コミュニケーション能力向上 7つのコツ|1、傾聴というコミュニケーション Direct Communication|13 : 傾聴トレーニング 基本のオウム返し 東洋経済ONLINE|本当の「傾聴力」は、内容の9割を聞き流す力だ 特定非営利活動法人しごとのみらい|話を聞く効果を最大化する2つの傾聴技法と6つのポイント 賢者の就活|科学でわかった!面接で緊張しないための5つの方法

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