「コミュニケーション能力が大切!」とか「リーダーになれる人材を!」などのおきまりのフレーズが声高に叫ばれている今の時代。外向的な人の方が内向的な人よりも望ましいとされ、加えて評価されもやすくなっているのが現状です。

そういう風潮の中で、肩身の狭い思いをしている内向的性質を自覚する人たちは少なくないでしょう。なかには、内向的性質を自覚しているのにも関わらず、がんばって外向的らしく社交的に振る舞おうとしている人たちもいます。しかし、本当に内向的性質は望ましくないものなのでしょうか。

外向的性質は内向的性質よりも本当に望ましいのか?

「コミュニケーション力」、「社交性」、「リーダーシップ」。外向的性質をよく表したこれらの要素を兼ね備えていることが大切だとよく言われますが、そもそもなぜそんなに外向的であることが望ましいとされるているのでしょうか。

『内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力』の著者であるスーザン・ケイン氏はその理由を、多くの人が、創造性や独自性がグループでの活動から生まれると考えているからだと指摘します。しかし、現代心理学の知見によると、それが単なる幻想に過ぎないことが分かるそう。なぜなら、グループの中にいると、他の人の意見を無意識的に真似るようになってしまうからです。さらには、どんな人に魅力を感じるのかといった個人的で主観的なことまで無意識に他人の影響を受け、それに追従してしまう傾向さえあるのです。

そのため、グループでの活動があまりにも多くの時間をしめ、ひとりで考える時間を十分に確保できないと、創造性やユニークなアイディアは逆に生まれにくくなってしまいます。外向的な人たちがグループでの活動を得意とする一方、内向的性質を持つ人たちは一人で考えることが好きな人が多いため、クリエイティブな発想をするのが得意だったり、枠にとらわれずに柔軟な思考ができたりすることが多いといいます。よって、外向的性質の方が内向的性質よりも優れている、望ましいなどと決めつけることはできません。

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内向的な人には優れたリーダーになれる素質がある

外向的であることが評価されるこの世の中、口が達者でリスクを恐れずすぐに行動する外向的な人がリーダーに選ばれやすい傾向があります。さらに、「内向的な人はリーダーの素質を兼ね備えていない」、「優れたリーダーになるためには外向的性質を持っていることが必要だ」という声も頻繁に聞かれます。しかし、内向的な人の方が優れたリーダーになりうるという研究結果を、スーザン・ケイン氏が次のように説明しています。

ウォートン・スクールのアダム・グラントが、興味深い研究結果を残しています。内向的なリーダーは、外向的なリーダーよりも物事に良い結果をもたらすのです。これは彼らが積極的な人々を上手くマネージして、彼らに自分達の思うようにアイディアを出させるからです。これが外向的なリーダーであると、自分の考えが一番だと信じ、人のアイディア・意見を聞かずに独りよがりになり、新しいアイディアが他のメンバーから出てこないからです。

(引用元:logmi|“コミュ力至上主義”に異議あり! 優れたリーダーが皆「内向的」な理由が明らかに

外向的なリーダーは自分の意見に説得力を持たせることがうまいことが多い一方で、周りの人が自分のアイディアや意見を出すことをやめてしまい、結果的に効率が悪くなったり、うまくいかなかったりするということが起こりがちです。一方、内向的なリーダーは、外向的な人よりもじっくり考えてから発言するため、口数が少ないという特徴があります。それはしばしばネガティブなこととして捉えられがちですが、内向的リーダーはその特徴のおかげで、周りの人の意見を柔軟に取り入れ、十分に検討した上で実行にうつすので、良い結果を生むことができるのです。

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内向と外向的、両方の素質を兼ね備える人は成果をあげやすい

また、グラント氏は、340人のセールスパーソンを性格テストによって「外向型」「内向型」「両向型(外向型と内向型の中間)」に分けたうえで、3カ月間の営業成績を記録するという研究も行いました。すると、両向型の営業成績が一番良く、内向型に比べ24%、外向型に比べ32%売上が高かったのです。

この実験は営業という職種に限った研究ですが、外向型の押しの強い性格が裏目にでてしまうと、仕事の成果が上がらないことがあることを証明した研究結果です。

ちなみに、ここで言う両向型とは、

定期的に友人と飲み会を開くぐらいの社交性を持ちつつも、町中で知り合いを見かけても積極的には話しかけないレベルの人見知り、といったイメージ

(引用元:ハーバー・ビジネス・オンライン|外向的な性格な人ほどビジネスが上手い、はウソ!

だそう。内向的な性格だと自覚する人の中には、両向型かも、という心当たりがある方もいるかもしれませんね。そんな方は、自信を持てばきっと良いパフォーマンスにつながるでしょう。

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内向的な人は全体の1/3から半分程度をしめていると言われています。できるだけ外向的に振舞わなければ、とプレッシャーを感じている内向的な人は少なくありません。しかし、外向的性質が内向的性質よりも優れているとは限らず、内向的な人には内向的性質の良さがあります。自分が内向的だと思う人は、ぜひ自分の内向的性質が持つ優れた点に目を向けて、自信を持ってください。

(参考)
logmi|“コミュ力至上主義”に異議あり! 優れたリーダーが皆「内向的」な理由が明らかに
TED|スーザン・ケイン 「内向的な人が秘めている力」
スーザン・ケイン著・古草秀子翻訳(2013),『内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力』,講談社.
Harvard Business Review|The Hidden Advantages of Quiet Bosses
ハーバー・ビジネス・オンライン|外向的な性格な人ほどビジネスが上手い、はウソ!