評価を「上げる人」「下げる人」の話し方。プレゼン順番の黄金法則 “PREP” ってなに?

「あなたは結局、何が言いたいの?」

商品の説明をしたあなたに、取引先からこのような一言を言われたことはありませんか? 必死に説明したつもりなのに、自分の言いたいことが相手に伝わっていないと、つらいですよね。

どうしてあなたの言葉は相手に届かないのでしょうか? 今回は、あなたの言葉が届かない理由と、言葉を届ける方法について紹介します。

理由その1:使う言葉が難しいから

あなたの言葉が相手に伝わらないのは、使う言葉が難しいからです。難しい言葉を多用すると、相手は話の内容を理解できません。

カタカナ語や専門用語には、特に注意が必要です。2018年9月に文化庁が発表した『国語に関する世論調査』では「外来語や外国語などのカタカナ語の意味がわからずに困ることがあるか」との問いに、83.5%が「よくある」「たまにある」と回答しています。

専門用語・カタカナ語の分かりにくさは、新聞記者ですら戸惑うほど。熊本日日新聞の記事で、ある記者が次のように書いています。

(熊本県の)道路整備課は、同戦略(熊本復旧・復興4カ年戦略)の「災害に負けない基盤づくり」の項で「道路ネットワークの整備などリダンダンシーの確保」と明記。リダンダンシー? 国土交通省の用語解説ページによると「冗長性」「余剰」を意味し、災害時の代替機能を指すとのこと。同課は「5年くらい前から使っていて、専門用語という認識は薄れている」とあっさり。「私が知らなかっただけなのか?」と自信を失いかける。

(引用元:熊本日日新聞|わかりにくい行政のカタカナ語 “役所では普通”…ずれ実感)カッコ内は筆者にて補った

したがって、何かを説明する際には誰もが知っているような言葉を選ぶことが大切です。カタカナ語や専門用語を使う場合、あなた自身にとってはよく知る言葉も相手にとっては意味不明であることがあります。できるだけ他の言葉に置き換えましょう。先ほどの「道路ネットワークの整備などリダンダンシーの確保」であれば、「災害時にも使用できるだけの道路ネットワークの整備など」と言い換えれば、聞く方は理解しやすくなりますね。

普段からよく口にするカタカナ語や専門用語は、別の言葉でも説明できるよう準備しておくと、より分かりやすく説明できるようになりますよ。

理由その2:要点を押さえられないから

相手に話が通じないのは、伝えたいことの要点を押さえられていないから。要点のない説明は、ただの言葉の羅列であって、そこに意味はありません。

例えば、営業担当者であるあなたが、自社の新商品の良さを取引先に売り込む場合について考えてみます。

この新商品は日本の○○という地域で作られたもので、その○○という地域は××がさかんな所で、××の経験則を用いることで、この商品ができたのです

こんな風に商品の説明をしても、ほとんどの場合、相手は「ふーん、すごいね。大変なんだね」という感想くらいしか持たないでしょう。この説明では、「どうしてその新商品を勧めるのか」という要点が抜け落ちているがために、「いい商品だから買ってほしい」というあなたの意図が伝わらないのです。

ですから、話をする際には「1つだけ伝えられるならば、これだけは伝えたい」ということを意識しましょう。

先ほどの売り込みなら、「この新商品は、○○の性能が他社のものと比べて×倍良いから、おすすめです」という具合に、シンプルに一言で伝えます。これだけで、話の要点をはっきりと相手に伝えることができますよ。

理由その3:話の進め方が冗長だから

要点をきちんと押さえているつもりなのに、言葉が相手に伝わらない場合は、話しかたが冗長なのかもしれません。つまり、情報を伝える順番が悪いということです。

例えば、新商品を売り込むために次のような説明をしたとしても、相手には内容が伝わりません。

この新商品は日本の○○という地域で作られたもので、その○○という地域は××がさかんな所で、××の技術を用いることで、従来品に比べ大幅なコストカットに成功しています。だから、質の良いものを低価格で提供できるのでコストパフォーマンスがよくおすすめです

この説明で一番大切な情報は、「コストパフォーマンスがよいからお勧めだ」ということですよね。しかし、この説明が出てくるのは一番最後です。それまで聞き手は「なんで○○なんて地域の話をするのだろうか?」と思いながら説明を聞かなければなりません。話の本筋から離れたことを述べてしまうと、最も大事な情報を相手の記憶に残すことができないのです。

したがって、伝わる話し方をするためには、最初に要点を伝えることが大切です。その際に使えるのが「PREP(プレップ)法」という文章構成のテクニック。PREP法では、P:Point(結論)→R:Reason(理由)→E:Example(具体例)→P:Point(結論)の順序で文章の内容を組み立てていきます。

先ほど例に挙げた話を、やや簡略的にではありますがこのPREP法を使って再度組み立ててみましょう。

P:この新商品がおすすめです。 R:コストパフォーマンスがよいからです。 E:従来、同等の質のものを提供するには○○円という価格設定をする必要がありましたが、この度××円でご提供できるようになりました。 P:ですから、この商品がおすすめです。

伝える順番に注意すれば、自分の主張をうまく伝えることができるはずです。

理由その4:普段の会話から聞き手を気にしていないから

説明下手になる3つの理由を紹介してきました。いずれの場合においても共通するのは、相手のことをよく理解できていないということです。

話をする前に相手の知識量を把握すれば、適切なレベルの専門用語を使用でき、より簡潔に説明することができます。話の最中で、相手の表情がポカーンとしていたり難しそうだったりすれば、自分の説明が分かりにくいのではないかと推測できます。「相手は要点を理解していないようだ」と把握できた時点で、再度説明しなおすことが可能になりますよね。逆に、うなずいていたり、こちらを見て次の言葉を待っていたりするようなら、説明が通じたということが分かるはず。

ですから、伝わりやすい説明をするためには、それだけ相手のことを理解しなければなりません。そのためには相手をよく観察することが大切。「話し方研究所」会長である福田健さんは次のように述べています。

話すときには「これを言ったらどう思われるだろう」「相手に嫌な顔をされたら困るな」などと自分に意識を向けるのではなく、周りをよく観察し、相手について考えることが大切になる

(引用元:Precious.jp|一目置かれて信頼度もアップ!賢い人がよくやっている「相手の心に響く話しかた習慣」4選

話をしながら相手の状態を観察してみてください。後は相手に合わせて説明をすれば、分かりやすい説明をすることができるでしょう。

とはいえ、相手を観察しながら説明をするということは、一朝一夕でできることではないかもしれません。ですから、普段から相手の状況に気を配りながら会話をする癖をつけるようにするといいですね。

*** 今回は、説明が下手になる4つの理由について考察しました。

あなたの説明が伝わらないのどの理由のせいでしょうか? 思い当たる節がある方は、ぜひとも改善してみてください。

(参考) 熊本日日新聞|わかりにくい行政のカタカナ語 “役所では普通”…ずれ実感 マナラボ|文章に説得力をもたせるPREP法を徹底解説 ハッケン!リクナビ派遣|自分の考えを相手に伝えるのが苦手な人必見!頭の中を「言葉」にしてうまく伝える5つのステップ Precious.jp|一目置かれて信頼度もアップ!賢い人がよくやっている「相手の心に響く話しかた習慣」4選 東洋経済ONLINE|話がヘタな人に教えたい「たった2つ」の原則 PRESIDENT Online|すぐできる! 要点を「3行」でまとめる書き方 PRESIDENT Online|なぜバカは"カタカナ語"を使いたがるのか

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