休憩時間は歩きまわれ!? “仕事脳” が休まる効果的な休憩のしかた

どうも仕事が捗らない……、と感じたら、「休憩時間」を見なおしてはいかがでしょう。「早くこの仕事を仕上げなければ」と全く休まなかったり、あるいは「脳が休まらない休憩」をとったりしていると、仕事の能率はますます悪くなってしまいます。脳を上手にリセットして、仕事の能率をグンと上げてしまいましょう!

仕事において休憩は必要不可欠

仕事仕事で心身を壊してしまうビジネスパーソンは決して少なくありません。そうした背景から、多くの識者は仕事の合間に休息をとるよう指導しています。

それに休憩は、仕事の能率アップにおいても必要なことです。

厚生労働省が定める「VDT作業(※)における労働衛生管理のためのガイドライン」では、1時間以上作業を続けない、ほかの作業を組み込むといったことが指導されています。“休む”という本来の目的以外にも、休憩することによって仕事の能率が上がると実証されているからです。

企業で人材育成にかかわる山田容子さんも、「休息をとらずに仕事をするというのは、長いスパンで考えると時間的にも経済的にも無駄が多い」と述べています。

(※)VDT作業:一般的にはパソコン作業

脳の休憩は単純ではない?

でも、実は体と違い、脳を休ませるのは意外に単純ではありません。

米ワシントン大学M.E.レイクル教授によれば、「なにも考えずぼんやりしているときでも、人間の脳は重要な活動を営んでいる」とのこと。しかも、このときの活動に費やされるエネルギーは、意識的に作業しているときの20倍にも達するのだとか。この脳活動の中心となっているのは、「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれる脳のネットワークなのだそう。

これについて、精神科医の西多昌規氏は、「自動車で言うならアイドリング状態」と表現しています。これから起こりうる出来事に備えているような状態です。

つまり、休憩時間に同じ席に座ってボーっとしていると、むしろ脳を疲れさせてしまう可能性があるのです。では、いったい、どんな風に休憩したらよいのでしょう。

異なる行動で、異なる脳領域を刺激しよう

「体のどこを使うかで、脳の活動領域は決まっている。同じ部分を使い続けると疲れるのは、脳も体と同じ」という京都大学文学研究科教授の櫻井芳雄氏は、脳を休ませるには「異なる行動で、異なる脳領域を刺激することが必要」と述べています。

脳に関する著書が数多くある米山医院院長の米山公啓氏も、「脳を効率的に働かせる一番のポイントは、上手に休ませてあげること」だとし、「別の作業をしたり、体を動かしたりすることで、脳の違う回路を刺激するのが有効」だと述べています。

つまり、脳の休憩は「休む」という一般的な解釈とは全く違うということ。別の作業に切り替えて脳の回路を切り替えさえすれば、仕事自体は継続していたとしても、脳の一部の領域は休憩できるというわけです。

そうであれば、もちろん仕事を中断して違う行動を起こすことも有効ですよね。例えばパソコンワークなら手を止めて足を伸ばしストレッチする、目を閉じて目からの刺激を止めて音楽を聴く、といった具合です。でも、もっとおすすめの休憩があるんですよ。それは「歩き回る」こと。

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休憩時間は「歩き回る」がおすすめ

休憩時間は歩き回るのが有効だと述べる識者は数多くいます。例えば心理学ジャーナリストの佐々木正悟氏も、休憩タイムは歩くのがいいと話しており、「歩いていると目を休めることができ、気分転換にもなる。デスクに座ったままより体を動かしたほうが休息の効果は高まる」といいます。

米山医院院長の米山公啓氏も、「歩いたり、ストレッチをしたりすると、かなり頭がすっきりする。お茶やコーヒーを味わったり、外の景色を眺めたりして、五感を刺激するのもいい」とすすめています。

それに、国際行動栄養学・身体活動研究誌(IJBNPA)に発表された、コロラド大学アンシュルツ医学センターと、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)ヒューマン・パフォーマンス研究所などが共同で取り組んだ研究によれば、仕事をしている1時間ごとに5分ほど立って歩き回ると、頭が軽くなり、やる気を持続しやすくなることがわかったそうです。

トイレ休憩に行くついでに販売機で飲み物を買ったり、外の景色を眺めながら歩き、少し足を止めてストレッチしたり、たまには違うフロアに行って他部署の人と会話してみたり、コンビニエンスストアに行きおやつを物色したりと、歩き回る方法はいくらでもあります。脳をリフレッシュしたうえに血流も良くなるので、席に戻った頃には頭がフルパワーでスタンバイしてくれているはず。

休憩は「スリープ状態」で

休憩時間から仕事に戻ったあと、すぐに集中力を高めるためには、休憩をとるタイミングを考慮する必要があります。

ポイントは、「キリの悪いところで休憩」すること。

なぜならば、区切りがいいところで終え休憩に入るということは、パソコンをシャットアウトしてしまうようなものだから。そう表現するのは、脳科学者の中野信子先生。パソコンをシャットアウトしてから、再び起動させようとすると非常に時間がかかりますが、「スリープ状態」にしておけば、すぐに立ち上げられますよね。休憩時間をとってから再び仕事に集中するためには、そのような状態でいることが理想的なのだそうです。

それに、人間には「ツァイガルニック効果」という心理学的な効果も働いています。それは、「まだ終わっていない課題についての記憶は、もうやり終わった課題についての記憶より思い出しやすい」というもの。いわゆる“途中で終わったことが気になっている状態”です。だから、キリの悪いところで休憩に入ってしまえば、キリ良く終わって休憩するよりも簡単に仕事モードへ戻れるというわけなのです。

*** 仕事が捗らないと感じたら、だいたい1時間ぐらいをめどに5分間の休憩を入れ、歩き回って脳の別領域を刺激してあげましょう。もちろん、休憩前の仕事はキリが悪いところでストップですよ。ぜひお試しください。

(参考) シティリビングWeb|シティウェーブ京都版|自分のために、仕事のためにデキる女は、休憩をとる!〜なぜ休憩が必要ですか?〜 PRESIDENT Online|効果的な休憩タイミング“キリのいいとき”vs“ノっているとき” 日経サイエンス|浮かび上がる脳の陰の活動 NHK テストの花道| - 過去の放送 -「集中力を支配する!」 NIKKEI STYLE|WOMAN SMART|仕事の集中力と効率が上がる、脳の活性法 Study Hacker|休憩する時はキリの「悪い」ところにしましょう。東大生の休憩の取り方。 東洋経済オンライン|The New York Times|仕事中の「5分間ほっつき歩き」の意外な効用

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