みなさんは、自分の思いもよらないことが起こった時、ちゃんと冷静に対処することができますか?
自然災害であっても人災であっても、もし全く準備をしていなければ、焦ってしまって何もできずオロオロするばかりになってしまいますよね。
今回は、そんな想定外の状況に打ち勝つための考え方についてお伝えしたいと思います。
「想定外」は想定可能か
東日本大震災において事故調査・検証委員会に参画していた柳田邦男氏は、一口に「想定外」と言っても大きく3つのケースがあると言います。
A 本当に想定できなかったケース。 B ある程度想定できたが、データが不確かだったり、確率が低いと見られたりしたために、除外されたケース。 C 発生が予測されたが、その事態に対する対策に本気で取り組むと、設計が大掛かりになり投資規模が巨大になるので、そんなことは当面起こらないだろうと楽観論を掲げて、想定の上限を線引きしてしまう。
(引用元:情報システム学会|連載 プロマネの現場から|第56回 「想定外」を考える)
ただし、実際に過去に起こった災害事例がAのパターンであったことは極めて少ないのだとか。確かに、「もっと〇〇していれば大丈夫だったのに」と思うことはよくありますよね。
つまり、たいていのことは想定可能なのです。したがって、問題が解決できるかどうかは自分がどこまで対策を練っておくのか、ということに左右されるということになります。
自分の「想定」に問題はないか
「想定外」が生じるのは、そもそも設定した「想定」そのものに問題があることが多いのだとか。問題がある「想定」を設定してしまうのには、理由があるようです。そのうちのいくつかを挙げてみることにします。
1)思い込み 人間は、先入観や過去の経験によって無意識・無自覚なうちにさまざまなフィルターをかけてしまうことがあります。したがって、複数の人が同じものを見ても、同じように事実認識ができるとは限りません。
2)「人は忘れる」 人間の忘れっぽさには法則がある、と東京大学名誉教授であり工学者でもある畑村洋太郎氏は言います。
3日 (個人)飽きる 3月 (個人)冷める 3年 (個人)忘れる 30年 (組織)途絶える・崩れる 60年 (地域)地域が忘れる 300年 (社会)社会から消える 1200年 (文化)起こったことを知らない
(引用元:情報システム学会|連載 プロマネの現場から|第56回 「想定外」を考える)
もし「想定外」のことが起こったとしても、それを後世に伝えていくことがなければ、結局人間はそれを忘れてしまうのです。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざもありますよね。反省点を次に活かせるようしっかりと覚えておくことが重要です。
「想定外」にはトラブルシューティング力が必要
ある程度のことを想定していて、対策を取っていたにもかかわらず「想定外」のことが起こってしまった時には、臨機応変に対処することが求められます。では、どのような行動を取ると良いのでしょうか?
まず、「全体を把握する」ことから始めましょう。普段から周囲を観察し、自分の守備範囲以外にも目を向けておくと、想定外の事態にもパニックにならずに済みます。
また、「どうやればいいか」というマニュアルに従うだけではなく、「どうしてこうするのか」ということを理解しておくことで自分の頭で対策の選択肢を考え、「今できること」に集中して取り組むことができるようになるでしょう。
トラブルシューティング自体も経験を重ねる事によってその精度を上げる事が出来ます。また、ひとつひとつ手順を踏んで考える事によりパニックせず、より良い結果に繋げる事が出来ます。
(引用元:(株)チームビルディングジャパン|第96回『想定内に収めるよりも、想定外に立ち向かう知恵を持つ』)
たとえ想定外のトラブルに対応しきれなかったとしても、その経験を次に活かすことでトラブルシューティング力は次第に身についていきます。
何が起きても対応できる力はぜひ持っておきたいもの。みなさんも想定外に立ち向かうことができるよう、常にまず自力で考えるよう心がけてみてください。
(参考) 情報システム学会|連載 プロマネの現場から|第56回 「想定外」を考える (株)チームビルディングジャパン|第96回『想定内に収めるよりも、想定外に立ち向かう知恵を持つ』