回り道は無駄じゃない。「指輪物語」のトルーキンに学ぶ、成功の法則。

heart shape

今、自分がしたいことをできずに、回り道をしていると感じている人はいませんか? その回り道、全てが無駄じゃないんです。 昨年三部作の完結編が上映されたばかりの『ホビットの冒険』。 その作者であるJ.R.R.トールキンも、様々な回り道をして、思わぬところで愛すべきホビット達の冒険を思いつくこととなったのです。 今回は、トールキンの人生をヒントに、回り道をした分、思いがけない成功へとつながる、『階段の法則』についてご紹介します。

badge_columns_1001711テストの採点中に生まれた物語

1955年に、トールキンがW.H.オーデン(20世紀最大の詩人のひとり)にあてた書簡の中で、『ホビット』誕生の際のエピソードがつづられています。 トールキンは、『ホビット』が誕生した1930年の初め、アングロ・サクソン語教授としてオックスフォードで教鞭をとっていました。彼は、学業終了検定試験の採点中に、白紙の解答用紙を見つけ、ふと思いついてそこに

In a hole in the ground there lived a hobbit.   —地面の穴のなかに、ひとりのホビットが住んでいました。  
(引用元:goloHobbit)
(参照訳:ホビットの冒険 上/岩波書店/瀬田貞二訳

と書いたのです。

これが、現在も多くの人々に愛され読み継がれている、『ホビット 生きて帰りし物語』『指輪物語』の始まりでした。 こうした、突然の着想から世界中の人に愛される物語が生まれた秘密は、なんだったのでしょうか。

badge_columns_1001711トールキンのキャリアと回り道

トールキンの父は、トールキンが幼い時にリューマチ熱で亡くなってしまい、その後10年足らずで、母も糖尿病で亡くなってしまいました。トールキンは孤児となり、バーミンガムオラトリアム会の司祭に育ててもらうこととなりました。その時に暮らしていたのが塔の陰で、その頃の住環境が、作品中にしばしば登場する様々な暗い塔のイメージにつながったと言います。 幼い頃は風景と木を描くのが好きだったほか、好きな科目は言語で、4歳までにはラテン語を習得しました。

その後、学生時代は語学で優秀な成績を修め、第一次世界大戦の軍役を解かれて以後は、オックスフォード英語辞典の編纂作業に携わったり、英語教師や語学の教授を務めたりしました。そうした中でも、詩作品や、自身の子どものクリスマスにプレゼントとして物語を書いたりと、創作活動を行っていました。 また、トールキンの若い頃の第一の創作意欲としてあったのが架空の言語の創造で、15の人工言語を完成させており、それらが『ホビット』や『指輪物語』でも、エルフやオークの言語として活かされています。

こうして見てくると、トールキンは幼い頃から言語的なことに興味を持っていたものの、最初から物語を書くと意識してきたのではなかったように見えます。 では、ホビットのような物語を思いついたのは偶然だったのでしょうか?こうした成功の形の陰には、『階段の法則』がありました。

Business woman climbing up on hand drawn staircase concept

badge_columns_1001711夢を実現する人は皆当てはまる、『階段の法則』とは

『階段の法則』というのは、AKB48やモーニング娘。の振り付けを担当した、日本を代表する振付師の夏まゆみさんが、『エースと呼ばれる人は何をしているのか』の中で、使っている名称です。

夢をかなえている人には二つのパターンがあります。 一つは、階段の最上段に夢を設定したら、それを叶えるためにどうすべきかをどんどん考えて行って、現在自分が立っている地面と最上段をつなげるというもの。 もう一つが、明確な夢はないけれど、あらゆる可能性に取り組んでみて、自分が一番登れそうな階段を上るうちにどんどんステップが見えてきて、階段が積みあがるというもの。 トールキンの夢の実現の形は、まさにこの後者の形であると言えます。 言語や詩に興味があったトールキンは、言語に携わる職についたり、遺跡の発掘作業を手伝ったりするうちに、いつしか壮大な物語が完成する素地を自ら作り上げていたのです。

夏さんは、正しい努力をしている人には運も自ずとついてくるということも言っています。

トールキンが不意に『ホビット』を思いついたのにも、それまで自分のできる分野にどんどん手を付けてみて、積み上げてきた可能性があったからではないでしょうか。(ちなみに幼少期、絵が好きだったトールキン、初版では挿絵も自分で描いています!)

回り道をしても、それは自分の可能性を探る大事な回り道です。 自分が他より遅れているかも、何をしたいかもわかっていない、と焦らなくても大丈夫。 その回り道を抜けると、採点中に生まれた『ホビット』のような、開けたところにでるはずです。 最後に、指輪物語の第二部、「指輪の仲間」 The Fellowship of the Ringより、引用

Not all who wander are lost.   さまよっている人すべてが、失敗するわけじゃない。  
(引用元:good reads )
(引用元:名言集

参考サイト wikipedia/J.R.R.トールキン wikipedia/W.H.オーデン wikipedia/ホビットの冒険 wikipedia/指輪物語 goloHobbit 名言集 good reads >”J.R.R.Tolkien>Quotes>Quotable quote

参考文献 夏まゆみ/サンマーク出版/2014/『エースと呼ばれる人は何をしているのか』


京都大学文学部所属。長野県立松本深志高校卒業。ぱんだとししまいがとても好き。在学中は京都でしか見られないししまいを見てまわりたい。

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