「仕事を頑張っているのに、なぜか出世や評価につながらない……」
「業績を上げているわりに、上司からほめられることが少ない……」
なぜか評価されないという悩みを抱えるあなたは、次の4つの “残念な思考” に陥っているのかも。それらを改めるだけで、社内での評価を大きく変えられる可能性があります。望ましい評価を得るための考え方・仕事の取り組み方について、ご紹介しましょう。
【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。
- ×「上司に出世させてもらおう」⇒ ◎「上司を出世させよう」
- ×「アウトプットをアピールしよう」⇒ ◎「アウトカムをアピールしよう」
- ×「上司に認められたい」⇒ ◎「上司を認めよう」
- ×「評価されずガッカリ……」⇒ ◎「そのうち評価はついてくる!」
×「上司に出世させてもらおう」⇒ ◎「上司を出世させよう」
頑張っているのに評価されない原因は、上司に「期待感を持たせられていない可能性が高い」から。――そう語るのは、テレビ東京『ゴッドタン』『あちこちオードリー』など数々の人気番組を手掛ける敏腕プロデューサー・佐久間宣行氏。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンドオンライン|「評価されやすい人」と「されにくい人」の決定的な違い)
「期待感を持たせる」とは、具体的にどういうことでしょうか? 佐久間氏は次のように解説しています。
上司の上にもまたさらに上の人間がいるわけで、上司だって評価されたいじゃないですか。評価される人はきっと、同じ仕事でも「上の人間が評価されたいポイント」をしっかり押さえた仕事や言説ができるんだと思うんです。自分に仕事を任せてもらえたら、あなたが評価されるような成果を出せますよ、と提案することができる。
(引用元:同上 ※太字は編集部が施した)
つまり評価されるのは、上司が何を求めているのか先回りして考え、「この部下に仕事を任せたら、自分の出世にもつながりそうだ」という期待感を上司に与えられる人。いわば、
- 「上司を出世させる」ところまで読んでいるのが、評価される人
- 「出世させてほしい」と受け身に構えているだけなのが、評価されない人
というわけです。
佐久間氏によれば、上記のような「期待感」を与えるには「相手の『辿り着きたいゴール』がどこなのか、常に想像」するのが大切だそう。(カギカッコ内引用元:同上)
日頃から上司の言動や働きぶりをよく観察し、
- 上司が何を目標に仕事をしているか?
- 上司はどんな理念やポリシーをもっているか?
- 上役や社長など “上司の上司” は何を求めているか?
などを察知できるよう心がけてみましょう。
たとえば、あなたの上司であるA部長が「大ヒット商品を生み出して実績を出したい」と望んでおり、上役や社長からもそれを期待されていると考えられる場合。
私にお任せいただけたら、商品を大ヒットさせられるよう全力を尽くす所存です。「わが社を代表するようなヒット商品を生み出したい」というA部長の念願も成就できるよう、お力添えできればと考えております。
というようにアピールすれば、上司はあなたを ”自分のために働いてくれる可愛い部下” と認識してくれるはず。きっと、あなたへの評価も高めてくれるでしょう。
×「アウトプットをアピールしよう」⇒ ◎「アウトカムをアピールしよう」
評価を勝ちとるためには、自分の成果を正しくアピールするスキルも重要です。そのために「アウトプット」と「アウトカム」の区別を正しく理解すべきだと述べているのが、人材育成コンサルタント・清水久三子氏。
両者は以下のように区別されるそう。
アウトプット=仕事を通じて実際に作り出したもの
アウトカム=作り出したものによって発生した効果やよい状態
(引用元:東洋経済オンライン|「奴はできる」と評価される人の"言葉の選択")
アウトプットの一例は、自分が企画した新商品。アウトカムの一例は、その新商品によって出た利益です。
英語で言うところの成果は「アウトカム」を指すのにもかかわらず、「アウトプット=成果」だと勘違いされやすい、と清水氏。その問題点をこう指摘しています。
「当プロジェクトの成果」として発表されるのは、実際にやったこと、つまりアウトプットが延々と述べられていることが多いのです。人は自分がやったことに対して思い入れもありますから、やり遂げたこと=すごいこと=成果となってしまいがちです。残念ながら、それだけでは成果を報告される相手も何がよいのかが実感できません。
(引用元:同上 ※太字は編集部が施した)
つまり、どんなに頑張って仕事をしてアウトプットを必死にアピールしても、それによってどんな成果(アウトカム)が出たのかを理解してもらえない限り、評価にはつながりにくいと考えられるのです。なぜか評価が思わしくないのなら、それはアウトカムのアピールが足りていないためかもしれません。
ですので、自分の価値をアピールしたい場面では、たとえば
「新商品をリリースし、500万円の利益を出せた」
「業務効率化のためITを導入し、作業効率を10%向上できた」
というように「アウトカム」を伝えることを心がけましょう。あなたの頑張りを正当に評価してもらえるようになるはずです。
×「上司に認められたい」⇒ ◎「上司を認めよう」
私たちは「評価してもらいたい」「認められたい」と願いがちですが、そう受け身で考えているだけでは、いい評価は得られないかもしれません。
精神科医のゆうきゆう氏によれば、「人はだれでも『自分を認めてほしい』『評価してほしい』という欲求」である「自己是認欲求」をもっているそうです。注目すべきは、その欲求が満たされたと感じると、「ほめてくれた相手に好意を抱く」という点。(カギカッコ内引用元:ゆうきゆう(2021),『なるほど心理学 人と自分の心を動かす!』, 学研プラス.)
つまり、相手から認められたいならまず相手を認めるのが、心理学的に有用だと言えます。上司に評価してもらおう、まわりから認めてもらおう……という姿勢でなく、自ら肯定的な言葉をかけるなどして周囲や相手を認めるスタンスをとれば、自然と好意を抱かれ、認められ、評価されやすくなる可能性が高まるわけです。
『入社1年目から使える「評価される」技術』などの著者で実業家の横山信治氏も、「上司が必要としているのは、自分のことを認め助けてくれる部下」であると解説。そんな部下であるために、「上司の依頼には積極的に応える」のは当然として、以下のことにも気をつけるといいと述べます。(カギカッコ内引用元:まいにちdoda|評価されるにはコツが必要!? 悩めるビジネスパーソン必見の「評価される方法」とは 以下カギカッコ内も同じ)
1. 上司の言動をなるべくポジティブに解釈する
横山氏は、上司に対する「ネガティブな仮説」「誤った思い込み」は「上司との人間関係を悪化させる原因」になると言います。上司との関係が悪ければ、評価してもらうどころの話ではありませんよね。
ですので、横山氏がすすめるように、上司の言動はなるべくポジティブに解釈するように心がけましょう。
たとえば、
- 上司に叱られたとき
×「きっと上司は私のことを嫌いなんだ」
→◎「私が一人前になれるよう、教育してくれているんだ」 - 理不尽に感じる指示を出されたとき
×「私にわざとつらい思いを味わわせようとしているんだ」
→◎「上司も会社の利益のために頑張って仕事をしているんだ」
上記のように、日頃ネガティブに考えがちな場面で、あえてポジティブな仮説を立ててみましょう。きっと、上司を認めようという気持ちにもなれるはずです。
2. 上司に「仕事の悩み」を相談してみる
上司に相談をもちかけるのもひとつの策。横山氏いわく「人間は自分を頼りにしてくれた人に好意を持」つものだからです。あなたが上司になにか相談すれば、きっと上司は “自分を必要としてくれた” と感じ、あなたに対して好感を抱くはず。
このとき「自分の弱みや欠点をさらけ出せるといい」と横山氏。
「セールストークが苦手で……。コツがあれば教えていただけませんか?」
「A部長のように効率よく仕事をさばくには、どうすればいいですか?」
「初めてチームリーダーを任されたものの、自信がありません。アドバイスいただけませんか?」
こんなふうに腹を割って相談されたら、突き放す上司はそうそういないでしょう。上司との関係をよくしていい評価を得たいなと思うなら、ぜひ一度試してみてください。
3. 上司の話に興味を示す
基本的なことですが、上司と会話をするときは、上司の話に興味があるということを態度で示すのも大切です。横山氏は、「相づちを打」つ、「メモを取りながら聞く」などのリアクションを示し、相手の話を熱心に聞いているアピールをするようすすめています。そうすれば、上司の自己是認欲求が満たされ、あなたに対しても好意を返してくれるはず。いい評価をしてくれるに違いありません。
×「評価されずガッカリ……」⇒ ◎「そのうち評価はついてくる!」
やれるだけのことをすべてやっても、思い通りの評価を受けられないケースもあるかもしれません。そんなときこそ、焦りは禁物。「どうせ評価されない」とモチベーションを落としてしまっては、ますます評価が遠のくばかりでしょう。
『プロフェッショナルサラリーマン』などの著者で投資家の俣野成敏氏は、「人事査定は人が行う以上、短期的には間違えることはあ」るものと指摘。そのうえで「中長期的にはその間違いは是正され」ると言います。(カギカッコ内引用元:リクナビNEXTジャーナル|出世する人が「自分の評価」よりも大切にするものとは?)
正しい努力を地道に続けていれば、そのうちあなたは適切な評価を与えらえるはずです。
「こんなに頑張っているのに、どうして評価されないのだろう?」と思うことがあったとしても、正しく仕事をしていれば、いつか必ず評価はついてくるもの。そう信じ、くじけずに粛々と仕事に取り組むようにしましょう。
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評価されないことで悩んだときは、以上4つのNG思考に陥っていないか確認してみてください。仕事への向き合い方や考え方を改めれば、いい評価がついてくることでしょう。
ダイヤモンド・オンライン|「評価されやすい人」と「されにくい人」の決定的な違い
東洋経済オンライン||「奴はできる」と評価される人の"言葉の選択"
ゆうきゆう(2021),『なるほど心理学 人と自分の心を動かす!』, 学研プラス.
まいにちdoda|評価されるにはコツが必要!? 悩めるビジネスパーソン必見の「評価される方法」とは
リクナビNEXTジャーナル|出世する人が「自分の評価」よりも大切にするものとは?