“著者の主張” は読み取れなくてもいい。読書で大切なのは「自分なりに法則を導く」ことだ

羽田康祐k_birdさん「本当に活きるビジネス書の読み方」01

ビジネス書を読んでも、実際に自分の仕事に活かす場がない——。そんなふうに感じている人も少なくないでしょう。でも、そう感じるのは、あなたの読書の仕方が間違っているからかもしれません。

著書『インプット・アウトプットが10倍になる 読書の方程式』(フォレスト出版)を上梓した羽田康祐(はだ・こうすけ)k_birdさんは、読書を仕事や日常生活に徹底的に活かすメソッドとして「視点読書」「法則読書」を提唱しています。今回は、そのうちの法則読書について解説してもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

「視点」と「法則」があって、初めて考えられる

日々、私たちは数多くのことを考えています。特に仕事をしているときなどは、考えることだらけと言っていいでしょう。しかし、具体的に私たちはどういうふうに考えているのかというと、それこそ「考えたことがない」人も多いはずです。

私は、考えるためには「何を考えるべきか」という「視点」と、「どう考えるべきか」という「法則」が必要だと考えます。そのふたつがあって初めて自分なりの結論を見いだすことができるからです(『年600冊読むよりも「1冊からの学び」を最大化する方法。読書で得るべきは “この2つ”』参照)。

前回の記事では、そのうち視点を得るための「視点読書」について解説しました(『本当の意味で「役に立つ読書」をしたいなら、まずは本から “これ” を探し出しなさい。』参照)。今回は、法則を得るための法則読書をメインに解説しましょう。

ここで、法則読書がどういうものかをみなさんが理解しやすくなるよう、以下に実践例を示します。これは、ビジネスコンサルタントである細谷功さんの著書『メタ思考トレーニング』(PHP研究所)を読んで私が得た視点と法則、そこから考えられる応用先を示した例です。

◆視点読書・法則読書の実践例

『メタ思考トレーニング』(PHP研究所)

●主張

  • 何か理解できないことや自分の価値観と反する事象に遭遇した際には「相手がおかしい」と思うのではなく「何か自分の理解できない世界がある」と自分を疑ってみるべき

●視点

  • 相手を責める視点
  • 自分を疑う視点

●抽象化した視点

  • 否定する視点
  • 肯定する視点

●法則

  • 否定から入ると自分の世界が広がらず、肯定から入ると自分の世界が広がる

●応用先

  • ミーティングでの議論
    意見が異なる相手の主張をいったんは肯定して咀嚼すれば、相手の意見と自分の意見を融合した新たなアイデアが生まれやすい

羽田康祐k_birdさん「本当に活きるビジネス書の読み方」02

 

著者の主張をベースに、応用範囲が広い「法則」を見つける

本のなかには、「こういうときはこうすべきだ」とか「こういうときはこうなりやすい」といった主張が必ずあります。メッセージと言ってもいいでしょう。これがなければ本はできません。これが、私が言う「法則」のベースとなります。

ただ、そのままでは、仕事や日常生活のなかで応用しづらいことも多いものです。この例で言えば、「何か理解できないことや自分の価値観と反する事象に遭遇した際には〜」とありますが、理解はできるものの具体的に日々のなかのどういう場面かは見えにくいですよね。

そこで、主張のなかにある「視点」を「抽象化」します。この例では「相手を責める視点」「自分を疑う視点」を抽象化し、「否定する視点」「肯定する視点」としてみました。こうして得た抽象化した視点を、先の主張に照らし合わせて得られるものこそが「法則」です。この例なら「否定から入ると自分の世界が広がらず、肯定から入ると自分の世界が広がる」といったことになるでしょうか。元の主張と比べると応用範囲がぐっと広がったように感じませんか?

この法則を、たとえばミーティングでの議論に応用してみましょう。すると、「意見が異なる相手の主張をいったんは肯定して咀嚼すれば、相手の意見と自分の意見を融合した新たなアイデアが生まれやすい」のようなことが考えられます。

このように、本から得た知識をただの知識で終わらせるのではなく、自分の仕事や日常生活、人間関係などに活かせてこそ、その読書には意味があったと言えます。

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視点読書と法則読書は、「仮説を立てる」ノウハウを得る方法

この過程は、仮説を立てるノウハウをストックしていく過程とも言えるでしょう。ビジネスとは、仮説を立てることにほかなりません。なぜなら、あらゆるビジネスは「未来」に向けて行なうものであり、そうである以上、必ず仮説が必要になるからです。「いまの状況を見ると、今後はこういう商品が売れるだろう」「これからはこういうサービスがウケるだろう」と考えることは、すべて仮説を立てることです。

ただし、その仮説を大きく外してしまえば、大きな損害を被ることにもなりかねません。だからこそ、より精度の高い仮説を立てる必要があります。その精度を高めていくために、「法則」が大いに役に立つのです。

仮説を立てるためには思考する必要がありますが、そのためには「何を考えるべきか」という「視点」、そして「どう考えるべきか」という「法則」が必要不可欠です。もちろん、視点も重要なのですが、それ以上に重要と言えるのが法則です。なぜなら、いくら視点をもっていたとしても、「どう考えるべきか」がわからなければそこで思考がストップしてしまうからです。

最後に、視点読書と法則読書をするうえでの注意点をお伝えしましょう。それは、「正解を求めなくていい」ということ。まじめな人は、視点を探すにも法則を探すにも、「これが本当に著者の主張で合っているだろうか」と正解を求めがちです。

でも、極端に言ってしまえば、得た視点や法則が著者の主張とまるで異なるものであってもいいのです。大切なのは、自分なりに得た視点と法則を、自分自身に活かせるかどうかです。著者が本来伝えたかった内容とまったく異なるメッセージを受け取ったとしても、それが実際に役立っていればなんの問題もありませんし、その読書には大いに意味があったと言えます。そう考えて、気軽に視点読書と法則読書に取り組んでほしいと思います。

羽田康祐k_birdさん「本当に活きるビジネス書の読み方」04

羽田康祐 k_birdさん ほかのインタビュー記事はこちら】
年600冊読むよりも「1冊からの学び」を最大化する方法。読書で得るべきは “この2つ”
本当の意味で「役に立つ読書」をしたいなら、まずは本から “これ” を探し出しなさい。

【プロフィール】
羽田康祐(はだ・こうすけ)k_bird
1973年2月5日生まれ、千葉県出身。株式会社朝日広告社ストラテジックプランニング部プランニングディレクター。産業能率大学院経営情報学研究科修了(MBA)。日本マーケティング協会マーケティングマスターコース修了。外資系コンサルティングファームなどを経て現職。「外資系コンサルティングファームで培ったロジック」と「広告代理店で培った発想力」のハイブリッド思考を武器に、メーカー・金融・小売り等、幅広い業種のクライアントを支援している。ハンドルネームはk_bird。著書に『インプット・アウトプットが10倍になる 読書の方程式』『無駄な仕事が全部消える 超効率ハック』『問題解決力を高める 「推論」の技術』(いずれもフォレスト出版)があり、ロジカルで再現性のある内容にこだわる姿勢が評価されている。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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