「考えすぎるな、寝ろ」──創造性を最大化する睡眠戦略

机に広げたノートやペンの横で、腕を枕にしてうたた寝する女性。仕事や勉強の合間に短い昼寝をして、頭を休めている様子

締め切りは明日。なのに、企画書は真っ白なまま。ホワイトボードに書いては消して、資料を読み返し、コーヒーを何杯もおかわりする。頭を絞れば絞るほど、何も出てこない。そんなとき、試してほしいことが「昼寝」です。

ただ眠るだけ? いいえ、最新の研究によると、昼寝は脳内で「ひらめき」を生む特別なプロセスを引き起こすことがわかってきました。

本記事では、「ひらめき」に昼寝が効く理由について解説します。

「ひらめく」には、やっぱり「昼寝」がいい理由

仕事でひらめきが必要とされる場面は意外と多いもの。しかし、いつでも最高のアイデアが出てくるとは限りません。少し調べれば、創造力を高めるハック術をいろいろ見つけることができます。

たとえば、散歩をする、まったく違うものをかけ合わせる。たしかに効果的ですが、あえて一番おすすめの方法を挙げるなら、やはり「昼寝」です。

昼寝は誰でも簡単に実践できるだけでなく、その効果が科学的に証明されています。昼寝を推奨する企業も増えており、たとえばGoogleやNASAなどは、20 〜 30分の「パワーナップ」を推奨しています。

さらに最新の研究で、睡眠とひらめきの関係ついて、新しい事実が明らかになりました。

「まどろむ」より、「しっかり寝る」ほうがひらめきやすくなる?

ノンレム睡眠は、3つの睡眠段階(N1・N2・N3)に分けられています。*1

N1は浅い眠り、いわゆる「まどろみ」の状態。N2は深い眠り、N3はさらに深い眠りです。これまでの研究では、N1睡眠(浅い眠り)のあと、ひらめきやすくなるということがわかっていました。

しかし、2025年に発表されたハンブルク大学の研究によると、従来のN1睡眠ではなく、N2睡眠(深い眠り)のほうが、ひらめきやすくなることがわかったのです。*2

なぜ先行研究と結果が異なるのかについては、まだ解明されていません。ただ、ハンブルグ大学の考察では、実験に使用した課題の違いが影響しているのではないか、と議論されています。

おなじ「ひらめき」といっても、どんな問題の答えをひらめきたいかによって、適切な睡眠の取り方が変わってくるのかもしれません。

「ひらめきたい」ときに、おすすめの昼寝の仕方

「うとうと」と「深い眠り」、どちらも「ひらめき」を助けてくれることはたしかです。

たとえば、仕事のアイデア出しで行き詰まりを感じたら、20分程度の昼寝を挟んでみませんか? 思いつかないまま悩み続けるより、短い昼寝をしたほうが解決の糸口をつかみやすくなります。

ひらめきやすくなる昼寝

  • ✔︎ 昼寝前に、アイデアを出したい課題に取り組む
  • ✔︎ 20分昼寝する
  • ✔︎ 起床したらすぐ、もう一度課題に取り組む

カラフルな絵の具で描かれた電球のイラストを両手で持つ様子

「昼寝したいけど難しい」を工夫する

昼寝は「ひらめき」をもたらす。とはいえ、なかなかうまく昼寝ができない、という悩みをもつ方もいるのではないでしょうか。

たとえば、「ちょっとだけ寝る」ができず、一度昼寝をすると数時間寝てしまう。逆に、なかなか寝付けず、昼寝のための時間が終わってしまうというケースもあります。

ここでは、そんな「昼寝にまつわるちょっと困ったこと」を解決するため、すぐ実践できる3つの工夫を紹介します。

1. 遠くに目覚まし時計を置く

スマホのアラームが鳴っても、慣れた手つきでスワイプしてストップ。そのまま二度寝へ……という経験がある方は多いでしょう。

それを防ぐため、昼寝をするときは簡単に手が届かない場所。たとえば、隣の部屋や部屋の隅に、目覚まし時計やスマホを置いておきましょう。

さらに、その横に課題に関する資料などを置いておき、アラームを止めたらそのまま課題に取り組めるようにすると「ひらめき」につながります

2. 「眠れる環境」を手軽につくる

オフィスや自宅のデスクで昼寝しようとしても、明るさや周囲の音が気になって眠れない、ということがあります。そんなときは、可能であればアイマスクや耳栓を活用しましょう。視覚と聴覚からの刺激を遮断するだけで、短時間でもぐっと眠りに入りやすく、質のよい昼寝につながります。

3. 「寝る」のではなく「まどろむ」ことにする

いざ寝ようとしても、なかなか寝付けないという場合は、目を閉じて休むだけでもOKにしましょう。というのも、前述したようにN1睡眠(まどろみ)の状態でも「ひらめき」につながることがわかっているから。

「寝た」という感覚がなくても、20分程度目を閉じてゆっくりするだけで少しずつまどろみ状態に近づいていきます。そのあと、課題に取り組めば、いいアイデアを思いつけるでしょう。

***

アイデアが出ず行き詰まったときは、焦って考え続けるより、いっそ少し昼寝をする。これは怠けているのではなく、じつは「ひらめき」を生むために最適な方法なのです。

よくある質問(FAQ)

Q昼寝しようとしても寝付けません。それでも効果はありますか?

Aはい、目を閉じて休むだけでも効果が期待できます。実際に眠れなくても、20分程度ゆっくり目を閉じていれば「まどろみ」の状態に近づき、ひらめきにつながることがわかっています。

Q昼寝の前後に何かしたほうがいいことはありますか?

A昼寝の前に、アイデアを出したい課題に取り組んでおきましょう。そして起きたらすぐ、もう一度その課題に向き合うのがポイントです。脳が睡眠中に情報を整理し、目覚めた直後にひらめきが生まれやすくなります。

(参考)

*1 エスエス製薬|眠りと睡眠の質について
*2 Anika T. Löwe, Marit Petzka, Maria M. Nicolas W. Schuck (2025)|N2 sleep promotes the occurrence of 'aha' moments in a perceptual insight task, PLOS Biology, Vol. 22, No. 8, e3003185

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

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