
※記事内の実践画像はすべて筆者が作成した
「なんとか1年を終えたけれど、やり残しや中途半端な案件が気になる……」
「年末のうちに頭を整理して、クリアな状態で新しい年を迎えたい」
こうした人に必要なのは「ひとり時間」と「タスク整理」です。
ひとりで静かに過ごしながらタスクを整理すれば、やり残したことがあっても気持ちがすっきりします。
本記事では、すっきりと新しい年を迎えるための年末リセット術を紹介します。
やり残しを整理すると、頭がクリアになる──年末の「棚卸し」の効用
年末を迎えたけれど、仕事が残ってしまった――そんな時は、やり残したタスクを整理し、年明けにどう取り組むかを計画してみましょう。
実際にタスクを済ませなくても、これだけでモヤモヤを手放せます。
株式会社ビジネスリサーチラボ代表取締役の伊達洋駆氏によると、人は「何かを始めるとそれを完了させたい」という欲求が働くといいます。
そして「完了が阻害されると、その未完了のタスクが認知的にも動機づけ的にも注意を引き続け」てしまうそうです。*1
🧠 未完了のタスクが注意を引き続けてしまう
つまり私たちには、どうしても「やりかけ」が気になってしまう性質があるということ。
やり残した仕事がチラついて休日も気が休まらないのは、このメカニズムによるものです。
そこで有効なのが「計画を立てること」。
伊達氏は、計画を立てることで「意識的・認知的に考え続ける必要」がなくなり、頭の中から外部記憶装置へ情報を移すような効果があると述べています。*1
年明けにやることをメモに書き出すだけでも、驚くほどすっきりします。
さらに作業に取り掛かるときもスムーズにいくはずです。

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静かな「ひとり時間」を年末にスケジュールする
タスク整理は、ひとりで静かに考えられる環境で行なうのがおすすめです。
ひとりきりで集中すると、思考が研ぎ澄まされるからです。
ひとり時間の大切さは、マイクロソフトの創設者として知られるビル・ゲイツが、年に二度の「考える週(Think Weeks)」を設けていたことからもわかります。
一時的に周囲の人から離れて本を読んだり考え事をしたりすることで、革新的なアイデアを生み出してきたのです。*2
さらにひとりで集中することによって、ジョージタウン大学教授のカル・ニューポート氏が提唱する「ディープ・ワーク」が可能になります。
ディープ・ワークとは「認識能力を限界まで高める、注意散漫のない集中した状態でなされる職業上の活動」のこと。
ニューポート氏によると「新たな価値を生み、スキルを向上させ」る効果があるといいます。*2
🔕 ひとり時間のポイント
- 通知/電話/話しかけられる環境を遮断する
- 短時間でも「考えること」だけに集中する
- 紙とペンを用意して思考を書き出す
忙しい年末だからこそ、意識的に「ひとり時間」をスケジュールしてみましょう。

筆者の実践|ひとり時間+タスク整理の進め方
ここからは、筆者が実際に行った「ひとり時間+タスク整理」の方法をご紹介します。
① ひとり時間をつくる
まずはひとり時間の確保です。
年末は忙しい、家族がいて難しいという人もいるかもしれませんが、長時間でなくても大丈夫。
次のポイントを意識して、ひとり時間をつくれそうなタイミングを考えてみましょう。
株式会社朝6時代表取締役・池田千恵氏によると、ひとり時間を確保しやすいのは「朝 → 夜 → 昼」の順だそうです。*3
| 時間帯 | ポイント |
|---|---|
| 朝 | 早起きすれば誰にも邪魔されない |
| 夜 | 家族の行動を見直して時間を捻出 |
| 昼 | 自分の調子のよい時間を事前に確保 |
筆者はこの中から「寝る前の1時間」をひとり時間として確保しました。
② タスク整理をする
ひとり時間が確保できたら、やり残したタスクをすべて書き出します。
ポイントは「考えなくても動けるレベル」まで具体化すること。
とはいえ、具体的な計画を立てるための土台が必要だと感じたため、まずはToDoリストの要領で残ったタスクを思いつく限り書いてみました。

続いて、それぞれのタスクを噛み砕きます。
いつ・どこで・どのように・何をするか計画を立てました。完成した紙面が次のとおりです。

📝 タスク整理の手順
- 思いつくかぎりタスクを書き出す
- それぞれを細かい行動単位に分解
- 「いつ・どこで・どのように・何をするか」を決める
全体を通してかかった時間は40分程度。
長いひとり時間を確保しなくても、タスク整理を終えることができました。
③ 実感した効果
計画を立てただけで、「ひと段落ついた」という感覚が生まれ、仕事のことを手放せる実感がありました。
また、ひとり時間によって集中力が高まり、前向きな気持ちで新年を迎えられる準備が整ったと感じています。
✨ 実践して感じたメリット
- 仕事への不安や焦りが軽減された
- 年明けの行動がイメージしやすくなった
- 「自分のための時間」が心の余裕につながった

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バタバタしがちな年末ですが、ほんの少しのひとり時間とタスク整理で、気持ちは大きく変わります。
ぜひ今年の終わりに、頭の棚卸しをしてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 年末にタスク整理をするメリットは何ですか?
A. やり残したタスクを整理し、年明けの計画を立てることで、未完了の仕事が気になり続ける状態を防げます。
頭の中が整理され、気持ちよく年末年始を過ごせるのが大きなメリットです。
Q. 忙しくて長いひとり時間が取れません。それでも効果はありますか?
A. はい。30分〜1時間程度でも十分効果があります。
大切なのは時間の長さではなく、通知や会話を遮断し「考えることだけ」に集中することです。
Q. タスク整理はToDoリストを書くのと何が違いますか?
A. タスク整理では、単に書き出すだけでなく、「いつ・どこで・どのように・何をするか」まで具体化します。
そのため行動に移しやすく、モヤモヤも解消されやすくなります。
Q. 年末以外のタイミングでも、この方法は使えますか?
A. はい。年度末や長期休暇前、忙しい時期の区切りなど、「一度リセットしたい」と感じたタイミングでいつでも活用できます。
※引用の太字は編集部が施した
*1 ビジネスリサーチラボ|未完了のリスク:心の中を漂う終わりなきタスクの影
*2 ダイヤモンド・オンライン|ビル・ゲイツも実践する生産性向上法、ディープ・ワークとは?
*3 ボンマルシェオンライン|「Me Time(ミータイム)」のつくり方
藤真唯
大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいて分かりやすく伝えることを得意とする。