誰にでも好かれる「職場の人気者」となぜか周囲から「距離を置かれる人」の3つの違い。

どこに行ってもなぜか嫌われてしまうビジネスパーソン

「チームの人たちには親切にしているつもりなのに、なぜか距離を置かれている気がする……」
「みんなから信頼されて輪の中心にいる人と、そういう人を外から見ているだけの自分とでは、いったい何が違うんだろう……」

職場での人間関係が思うようにいかず、居心地の悪さやもどかしさを抱いている人はいませんか? じつはあなたは、知らぬ間にNG行動をとってしまっているのかもしれません。

今回は、“なぜか嫌われてしまう人” が気づけていない、本当はやめるべき3つの行動をご紹介します。ご自身に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。

【ライタープロフィール】
藤真 唯
大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいてわかりやすく伝えることを得意とする。

1.「曖昧な表現」を多用すること

「明日はミーティングがあるので “早めに” 出社してください」
「念のため、プレゼン資料を “多めに” プリントしておいてください」

“早めに” “多めに” など、曖昧な表現を使っている人は周囲に「負担や迷惑をかけている恐れがある」――そう語るのは、伝える力【話す・書く】研究所所長の山口拓朗氏。曖昧な表現を使うと「誤解やトラブルを招きやすく、効率よく仕事を進めることができ」ないと指摘します。なぜなら、情報が十分に伝わらないからです。

たしかに “早めに出社して” と言うだけでは、具体的に何分早く出社すればいいのか、相手には伝わりませんよね。自分は5分ほどのつもりで伝えたら、相手は30分も早く出社していて、待たせてしまった……というトラブルが起こる可能性も。

曖昧な言い回しによるトラブルが続くと、「周囲から信頼も得にくい」と山口氏は指摘します。“いつも適当なことばかり言う人だ” といった悪いイメージをもたれてしまうかもしれないのです。

(上記カギカッコ内引用元:リクナビNEXTジャーナル|仕事で嫌われる「あいまい文章」にサヨナラしよう!

そこで、仕事でつい使いがちな曖昧な表現は、具体的な表現にどんどん言い換えましょう。いくつか例を挙げてみますので、ぜひそれぞれ比べてみてください。

【NG例】明日はミーティングがあるので、早めに出社してください。
【OK例】明日はミーティングがあるので、午前8時半に出社してください。

【NG例】念のため、プレゼン資料を多めにプリントしておいてください。
【OK例】念のため、プレゼン資料を10部多くプリントしておいてください。

【NG例】少しお時間よろしいでしょうか。
【OK例】5分だけ、お時間よろしいでしょうか。

【NG例】A社は駅のすぐ近くにあります。
【OK例】A社は○○駅から歩いて3分の場所にあります。

山口氏によると、「副詞や形容詞」を使う代わりに「数字」「固有名詞」を活用するといいそうです(カギカッコ内引用元:同上)。上のOK例のように、数字や固有名詞があるだけで格段にわかりやすくなりますよね。

いくら仕事を頑張っても、言葉選びがよくないせいで「この人の説明はいつも曖昧で、なんだかいい加減なんだよな……」と周囲から思われてしまうのはもったいないもの。口頭でのコミュニケーションはもちろん、メールでも注意してみてくださいね。

数字と固有名詞を用いて説明しているビジネスパーソン

2. よかれと思って「アドバイス」すること

同僚が困っていたので、アイデアマンとして「こうしてみたら?」とアドバイスした――そんなよかれと思ってしたことでも、相手からは敬遠されてしまう場合があります

じつはこれは、コンサルタントとして100社以上の新規事業を支援してきた明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科客員教授の石川明氏が、若い頃に何度も経験したことなのだそう。当時を振り返り、石川氏はこう語っています。

不用意にアドバイスをしてしまうと、あたかも「私は”解決策”を知っている」「”解決策”を知らないあなたに教えてあげる」などと、”上から目線”で見ていると受け止められるだけ。当時の私は、ビジネススクールで学んだ知見にも自信があったがために、なおさら相手の鼻についたのでしょう。

どんなに的確なアドバイスでも「親切の押し売り」になりうるとのこと。「相手の自尊感情を傷つける」恐れもあると石川氏は伝えています。(カギカッコ内含む引用元:ダイヤモンド・オンライン|【要注意!】親切なのに「嫌われる人」の“残念な特徴”

では、同僚が困った様子のときはどうしたらよいのでしょうか。石川氏は、アドバイスの代わりに「『壁打ち』相手になる」ことを提案しています。

相手がぼんやりと考えていることや、悩んでいることを聞いて、「感想」「質問」「アイデア」などを打ち返すことによって、相手自身が「思考」を整理したり深めたりすることで、「答え」や「解決策」を見つけ出す手伝いをすることです。

(引用元:同上)

その際は、「5W2H」で「事実」を確認する問いかけをするとよいそうですよ。

たとえば、同僚のAさんから「企画のアイデアが浮かばず困っている」という話題が出てきた場合の、Bさんの受け答えのNG例とOK例を見てみましょう。

【NG例】

A「来週までに企画を考えないといけないのに、アイデアが浮かばなくて」
B「それならこうやって考えるといいんじゃない? ~~に着目すればいいアイデアが浮かぶよ。たとえば○○とかどう?」
A「……(ずいぶん上から目線だなぁ)」

【OK例】

A「来週までに企画を考えないといけないのに、アイデアが浮かばなくて」
B「それは大変だね。どんな企画を考えるの?」
A「新作のスキンケア商品の、PRイベントの企画だよ」
B「その商品って、どんな点が新しいの?」
A「いままでは若い女性向けの商品が多かったんだけど、これは男性も使えるのが特徴かな。だから、女性だけでなく男性も来場しやすいイベントにしたくて」
B「なるほど、いままで商品を置いていた化粧品売り場だと、男性には来てもらいにくいかもね。どんな場所だと男性に来てもらいやすいだろうね……?

OK例のように壁打ち役として質問を返せば、上から目線な印象を与えにくく、相手の自尊感情を傷つけることもありません。自然なコミュニケーションのなかで相手に貢献でき、周囲から頼られる機会も増えるでしょう。

「自分が助けてあげよう」ではなく、相手を主役にすることを意識してみてください。

壁打ち役として話を聞いているビジネスパーソン

3.「嫌われる前提」で人に接すること

「自分はどうせ、何をやっても人望を集められないだろう……」
「新しいチームやクライアントは、きっと自分に冷たい態度をとるだろう……」

こうした考えも、じつは嫌われる原因のひとつになっているかもしれません。

心理学者の内藤誼人氏は、「『私に否定的な態度をとってくるはず』(中略)などと考えていると、本当に相手はそういう態度をとって」くると述べています。このように、「自分の頭の中で考えていたことが、そのとおりの結果になってしまう」現象を、心理学では「予言の自己成就」と呼ぶそう。(カギカッコ内引用元:シェアーズカフェ・オンライン|「好かれる」か「嫌われる」かは、自分の思い込みで決まる。(内藤誼人 心理学者)

これについて内藤氏は、ヴィクトリア大学准教授のダヌ・アンソニー・スティンソン氏(研究当時はウォータールー大学)による研究を紹介しています。

その研究では、面識のないメンバーたちで5人組のグループをつくらせ、そこで架空の商品について話し合わせました。そして事前にスティンソン氏はメンバーたちに、「自分がどれくらいほかのメンバーに受け入れてもらえると思うか?」と尋ねておいたそうです。すると、質問に対する回答と実際の話し合いにおける行動に、次のような関係が現れたのだとか。

  • 「受け入れてもらえると思う」と答えた人
    →話し合いでは、快活で友好的な振る舞いをした。
    →その結果、ほかのメンバーから快く受け入れられた

  • 「どうせ受け入れてもらえない」と答えた人
    →話し合いでは、素っ気ない態度をとりやすかった。
    ほかのメンバーから拒否されがちな結果となった。

(研究内容は、前出の「シェアーズカフェ・オンライン」記事および「Deconstructing the "Reign of Error": Interpersonal Warmth Explains the Self-Fulfilling Prophecy of Anticipated Acceptance」よりまとめた)

つまり、相手から好かれるか嫌われるかは、自分の思い込みや態度によって決まってくるわけです。

たとえば、初めて担当することになった取引先を訪問するときのことを考えてみましょう。「新参者の自分なんて、どうせ軽くあしらわれる」と思っていると、無意識のうちに卑屈な態度になってしまい、本当に相手にしてもらえないかもしれません。

一方、「きっと気に入ってもらえるだろう」という気持ちでいれば、自然と温かく親身な態度になり、実際に気に入ってもらえる可能性が高まるでしょう。

よい人間関係を築きたいなら、“嫌われる前提” ではなく “好かれる前提” で人に接することが大切ですよ。

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日頃のなにげない言動が、周囲から距離を置かれたり嫌われたりする原因になっている可能性があります。今回取り上げた3つの行動に心当たりがある人は、これを機会に修正してみてくださいね。

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