自己肯定感が低いと成長できない。「自分を大切にする習慣」始めませんか?

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「周りの人たちのほうが優れていると感じる」
「自分は全然だめだ……と悲しい気持ちになる」
「いまの自分に全く満足できない」

このように、セルフイメージの低さに悩まされている方は、自己肯定感が下がっているかもしれません。

自己肯定感が低いと、チャレンジすることができなくなったり、自分の価値が低いと思ってしまったり、諦めやすくなってしまったりします。このような状態が続けば、仕事で力を発揮できなくなり、人生全体の満足感が下がってしまうことは明らかです。

では、どうすれば自己肯定感を高められるのでしょうか。以下で詳しくご紹介しましょう。

自己肯定感が低い人の特徴

心理カウンセラーで『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』の著者である中島輝氏は、自己肯定感は固定されているわけではなく、上がったり下がったりするものだと言います。同氏いわく、感情は、マイナスから一気にプラスに転じることはなく、一度フラットな状態に戻ってから上がるものだそう。自己肯定感を向上させるためには、自己肯定感が下がっていることを認識するのが重要なのだとか。

自己肯定感が低い人には以下のような特徴が見られるそうです。どれかひとつの場合もあれば、複合的に発生していることもあるようなので、当てはまっていないかチェックしてみましょう。

  1. 過去へのこだわりやトラウマがある:自己受容感とは、自分のポジティブな面もネガティブな面もあるがままに認められる感情のこと。これが低いと、失敗した経験が強く印象に残り、いつまでも悩んでしまって、自己肯定感が下がるのだそう。
  2. 他人との比較や劣等感が強い:頑張って結果を出したときも、自分より優れている人と比べて「自分なんて全然だめだ」と劣等感を感じてしまう人は、自尊感情が低く、自己肯定感も下がっていると言えます。
  3. いつも「できない」と思ってしまう:自己効力感とは、「自分にはできる」という感覚を持っていること。これが高いとチャレンジする気力が湧いてきます。逆に低いと、自分を信頼することができなくなって消極的になり、挑戦を途中で諦めてしまう傾向が強くなるのだとか。
  4. 周りへの依存度が高い:自分の意思で物事を決定していない人は要注意です。周囲への依存度が高まり、上司や先輩に言われたことを実行し、失敗しても他者のせいにする傾向が出てくるそう。このような考えが定着すると、何か決めなければならない場面で足踏みしてしまいます。
  5. 人のために頑張ることができない:自己有用感とは、「自分が役に立っている」という感覚をもつこと。大変なことでも、誰かのためだと思えば頑張れるものですが、自己有用感が低い人はそれが実感できず、力が発揮しづらくなったり継続できなくなったりします。

これらに当てはまっている人は、自己肯定感が下がっているかもしれませんよ。自己肯定感が低い人の特徴は、「自己肯定感が低い人の4大特徴×原因4つ×高め方4選」でも詳しく解説しています。

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自己肯定感が欠かせない理由

そもそも自己肯定感は、なぜ重要なのでしょうか。「マズローの欲求5段階説」を通して、自己肯定感の重要性を詳しくご説明しましょう。

この「マズローの欲求5段階説」を提唱したのはアメリカの心理学者アブラハム・マズロー氏で、人間心理学の生みの親と言われている人物。「マズローの欲求5段階説」は、マーケティングを行なううえでも重要であり、今もなお取り入れられている考え方のひとつです。

マズロー氏は、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化しました。

  1. 生理的欲求:食事、睡眠、排泄などの基本的な欲求
  2. 安全の欲求:経済的安定、良い健康状態の維持、良い暮らしの水準など安心して暮らすことへの欲求
  3. 所属と愛の欲求:家族や恋人、友だち、同僚、サークルなど共同体の一員に加わりたいという欲求
  4. 承認(尊重)欲求:自己の自己に対する評価の欲求(自己をより優れた存在と認めること、自己肯定感の欲求)に加え、他者からの評価に対する欲求
  5. 自己実現の欲求:人が潜在的に持っているものを開花させて、自分がなり得る全てのものになり切りたいと感じる欲求

4番目の「承認(尊重)欲求」が、自己肯定感にあたり、自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求を表します。欲求の階層はピラミッドで表現され、原始的欲求に近づくほど底辺にあります。

マズロー氏は、欲求階層説を発表したあとで「欠乏欲求」「成長欲求」という考え方を発表しました。

マズロー氏によると、基本的に人は、ピラミッドの欠乏欲求が満たされたうえで、成長欲求を満たす取り組みができるようです。(フィンセント・ファン・ゴッホのように、最低限の健康的な生活は実現していないにもかかわらず、画家としての自己実現を最優先した人など、まれに例外はあるようですが……)

たしかに、自分のことを評価できていない状態で、「営業成績1位になるぞ!」など大きな目標に向かって進むのは、なかなか難しいですよね。こちらの記事を読んでいる学生やビジネスパーソンは、何かしら実現したいことがある人が多いのではないでしょうか。自己肯定感は、何かを達成するためには欠かせない土台であるということです。

マズロー氏は、他者から認められることよりも、自分自身を評価できることのほうが重要だと述べています。自分で自分自身を評価し、承認することこそ大切なのです。

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自己肯定感が低いと幸せが感じられない

「日本一自己肯定感の高い不動産投資家」と呼ばれ、『手取り17万円の勤め人が「僕ちゃん天才」と言い始めたら年2400万円稼げた超成功法則』を著書に持つポール氏は、自己肯定感こそ幸せな人生を送るために一番必要なもの、と述べています。

簡単に言うと、自己肯定感とは、「自分はありのままでいいんだ」「自分は生きているだけで価値がある」という感覚のようなものです。自己肯定感が高い人は、「自分は生きているだけで価値がある。だから、自分にはなんだってできる」と考えるので、なんにでもチャレンジしていき、自分はどんどん幸せになっていいと思っています。

(引用元:Diamond Online|「自己肯定感」は幸せな人生を送るために一番必要なもの

たしかに、「何かを達成したからこそ自分には価値がある」「お金があるから自分には価値がある」など、条件付きでしか自分の価値が認められない場合、それらが達成されない間は、自分を否定することになってしまいますよね。

また、自己否定感の強い人は、成功しても「次は失敗するかもしれない」「今持っているものを失ったら自分の価値はなくなる」「ほかの人はもっとすごいから、それに比べると全然だめだ」など、あまり幸せにはつながらない考え方をしてしまうのだとか。

このような考え方では、仕事や私生活で何かをがんばっても、いつまでも心が救われない状態が続いてしまうでしょう。良い人生のためには、目標を作って達成することも大切ですが、その前に、ベースとなる自己肯定感を作るところから始めたいですね。

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自己肯定感を高める方法1:自分の気持ちに意識を向ける

自己肯定感を高めるためには、日々自分の感情に意識を向けることがポイントとなります。ネガティブなことは誰にでも起こりますが、それをどう自分の中で処理するかが自己肯定感に影響してくるのです。

つらいことが起きたとき、我慢強い人ほど、自分の感情を無視してフタをしてしまいがち。自分の感情を否定したり無視したりせず、まずはしっかりとその気持ちを受け止め、認めることが重要です。元自衛隊メンタル教官『人間関係の疲れをとる技術』の著者である下園壮太氏は、「我慢すること」について次のように述べています。

我慢は自己否定です。我慢ばかりをしていると、無意識のうちに「私の感覚、私の意見は、重要ではない」というメッセージを自分の心の中で反芻してしまいます。自分の感性を否定するのだから、「自信」を失ってしまいます。

(引用元:AERA|人間関係で“我慢”はNG 脱するポイントを元自衛隊メンタル教官が解説

我慢しがちな人へのアドバイスは、「自分の感情を無視してフタをしないこと」です。おすすめの方法は、ジャーナリング。以下で詳しくご説明しましょう。

ジャーナリングとは、自分の思っていることや感じていることを、日記のようにノートに書き出すこと。「書く瞑想」とも言われています。紙に書くことで、嫌な出来事や考えを頭の中に留まらせず、客観視できるようになります。そこから気づきや発見を得て、問題を解決することにも有効です。

グーグルで開発された脳科学とマインドフルネスの能力開発メソッド「SIY=SEARCH INSIDE YOURSELF」の認定講師として、日本の企業に研修を介して広めている、マインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)代表理事の荻野淳也さんは、ジャーナリングを実践するためのコツを5つ挙げています。

  • あるテーマについて、決められた時間ずっと書き続ける
  • 頭で考えずに手を動かす
  • 気をそらせるものがないプライベートな空間で行なう
  • 脚色せず、事実や気持ちをあるがままに書く
  • 誤字や脱字を気にしない

自己肯定感が下がっている人は、ぜひ実践してみてくださいね。

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自己肯定感を高める方法2:自己認知とセルフハグ

自己肯定感を上げる方法のひとつとして、中島輝氏は「セルフハグ」をすすめています。家などのリラックスできる場所で、楽な服に着替え、右手で左肩を、左手で右肩をぐっと8秒間、抱きしめましょう。そして、「がんばっているなぁ、私」「どんどんよくなっているぞ、俺」と自分を褒めてください。すると、3大神経伝達物質であるセロトニン(心の安らぎに関与)、エンドルフィン(一種の脳内モルヒネ)、オキシトシン(愛情や精神的安心感のホルモン)が分泌され、自分に優しくなれるのだとか。ぜひ試してみてくださいね。

セルフハグを始めとして、自分で自分を認めることは非常に大切です。脳科学者の中野信子氏によると、人間の脳には「社会的報酬」を強く求める性質があり、「誰かの役に立てた!」「みんなから評価された!」と感じることで、やる気がますます高まるのだとか。

そして、この欲求は、自分で自分を褒めていても満たされるそうです。セルフハグのほかにも、心の中で自分を褒めてあげましょう。「私は人の話をよく聞ける」「いつも遅刻しない自分は偉い」など小さなことでもいいので、意識的に良いところを探して褒めてみてください。自分の好きな部分が、意外とたくさんあることに気づくかもしれません。自分で自分を褒め続けることで、やがて「そのような自分」になっていき、自己肯定感も高まっていくでしょう。

***
忙しい日々を送るビジネスパーソンにとって、自分の状態を認識するのは難しいかもしれません。しかし、時には立ち止まって、自己肯定感が下がってきていないか確認することが、長期的にパフォーマンスを上げていく鍵となるでしょう。ぜひ、ジャーナリングとセルフハグで、自分自身をケアしてあげてくださいね。

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|「自己肯定感」は幸せな人生を送るために一番必要なもの
AERA|人間関係で“我慢”はNG 脱するポイントを元自衛隊メンタル教官が解説
日経電子版|書く瞑想、ジャーナリング 集中力高め仕事効率を改善
東洋経済オンライン|自己肯定感が低い人に表れる危ない5つの特徴
中野信子(2019),『自己肯定感が高まる脳の使い方』,セブン&アイ出版.
Very well mind|Signs of Healthy and Low Self-Esteem
Very well mind|The 5 Levels of Maslow's Hierarchy of Needs
Wikipedia|自己実現理論

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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