私の本当の長所って何……? たっぷりの付箋を使い「自分の強み」を丁寧に探ってみました。

「自分の強み」を見つけるワークをやってみた01

  • 自己評価が過度に低く、仕事に行き詰まりを感じている。
  • 弱点の克服ばかりに目が向いて、長所を伸ばせない。

このような悩みに思い当たる人は、自分の強みを知ることから始めてみましょう。そうすれば、自己肯定感が高まり、仕事で成果を上げられる可能性が高まります。

ギャラップ社の認定ストレングスコーチ(※)である瀬戸和信氏の著書『「自分」を殺すな、武器にしろ』によると、アメリカの心理学者ターシャ・ユーリック氏が「10~15%の人しか正しい自己認識をしていない」と明らかにしたそうです。

このことを瀬戸氏は、「9割の人が自分の強みを知らない」と言い換えています。

そこで今回は「自分の強みを見つけるワーク」の実践方法と、筆者が実際に試してみた結果をお伝えします。

(※強みに基づくコーチングを提供する人。自分の強みを見いだすテストを開発したギャラップ社が認定)

脳は「弱み」や「短所」に目が行きがち

悩みの種となりがちな、自分の弱みや短所。これらを気にしたり、自分に対して過度に低い評価をしたりするのは、どうやら自然なことであるようです。

なぜなら、「脳はネガティブな情報や刺激に注意を向け、嫌な記憶を長く保つ傾向にある」から(ポジティブサイコロジースクール代表・久世浩司氏著『眠れる才能を引き出す技術』より)。

そうはいっても、自分の弱みばかりに目を向けているのはもったいないもの。前出の瀬戸氏いわく「強みをもっていない人はいない」。そこで大切になるのが、自分の強みを知ることです。

自分の強みを知れば、その強みを伸ばすことに集中できるようになります。チームでは、メンバーどうしが強みを尊重し合ったうえで弱みも受け入れ、その弱みを相互に補うことも可能に。そうして、仕事で成果を上げやすくなり、自己肯定感も高まっていく――このように瀬戸氏は説明しています。

たとえば、社内コンペで落選してばかりで悩んでいる人がいるとします。アイデアの質という点で見れば、アイデアマンの同僚と競い続けても勝つことは難しく、評価を上げることも難しいでしょう。しかし、「コミュニケーション能力に長け、関係者のあいだを取りもつのがうまい」という強みに気づけたとしたら、同僚のサポートに徹することで貢献すれば、結果として自分の評価を上げられるはず。

このように、自分の強みを知れば、自分の才能や気質に合った手法を選べるようになるのです。

「自分の強み」を見つけるワークをやってみた02

強みは3つのグループに分類できる

では、自分の強みはどのようにして見つけられるのでしょう? 今回ご紹介したいのが、マーケター・戦略家の森岡毅氏が考案した、強みを見つけるワークです。

森岡氏の著書『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』によると、強みは必ず好きなことのなかにあるとのこと。ただし、「歴史が好き」といった名詞ではなく、「歴史書を読むことが好き」といった動詞で考えなければいけないそうです。

また森岡氏は、好きな行動は、ビジネスパーソンとしての基礎能力に沿った「3つの強み」に分類でき、結果以下3タイプの人に分けられると説明しています。(同著書を参照してまとめています)

  • T(Thinking/思考)の人
    【典型的な傾向】
    課題に対する知的好奇心と解決時の達成感を好むタイプ。行動するより先に考えることが習慣化しており、心配性な人も多い。
    【典型的な動詞】
    考えることが好き、問題を解くのが好き、議論するのが好き、研究が好き、作戦を考えるのが好き、分析が好き、など。

  • C(Communication/コミュニケーション)の人
    【典型的な傾向】
    人とのつながりや社交性を満たすものを好む。習い事やイベントの参加に積極的。SNSを盛んにやる人も多い。レストランの穴場や旅行先の情報にも詳しい。
    【典型的な動詞】
    話すことが好き、人と会うことが好き、話を聴くことが好き、友達や知り合いが増えるのが好き、人が集まるところに参加するのが好き、など。

  • L(Leadership/リーダーシップ)の人
    【典型的な傾向】
    挑戦することと達成することを好む。趣味も達成感を味わえるストイックなものが多い。集団のなかで目立つボス的な存在で、リーダー役を担うことが多い。
    【典型的な動詞】
    仕切ることが好き、高い目的を決めて挑戦することが好き、自分で決めることが好き、後輩の世話を焼くのが好き、人を勇気づけるのが好き、など。

ではいよいよ次の項で、強みを見つけるワークを実践します。

「自分の強み」を見つけるワークをやってみた03

強みを見つけるワークの方法と実践例

森岡氏が考案した強みを見つけるワークで用意するのは、大量の付箋とペン、A4程度の紙4枚。以下のステップに沿って行ないます。

  1. 各紙の左上に「T」「C」「L」「それ以外」と書く
  2. 50~100個くらいの「好きな行動」を付箋に書く
  3. すべての付箋を4枚の紙に仕分ける

好きな行動を書く際は、あまり深く考えすぎず、頭にパッと思い浮かんだことを書きましょう。また付箋を仕分ける作業も深く考えすぎず、どれにも当てはまらない場合は「それ以外」の紙に貼ってかまわないとのこと。筆者の実践例をお見せします。

「自分の強み」を見つけるワークをやってみた04

好きな行動を付箋に書いたら、とりあえず机に貼っていきました。全部で55個。所要時間は60分です。

なかには「写真を撮るのが好き」「風景写真を撮るのが好き」と内容が似通ってしまうこともありましたが、森岡氏いわく問題ないとのこと。

そして、付箋を4枚の紙に仕分けた様子がこちらです。

「自分の強み」を見つけるワークをやってみた05

結果はTが26個、Cが22個、Lが2個、それ以外が10個。付箋が合計60個と、当初よりも増えました。その理由も含め、強みを見つけるワークを実践した結果を次の項でお伝えしましょう。

強みを見つけるワークをやってみたら、自分の長所を自覚できた!

強みを見つけるワークを実践して感じたことや、提案を以下にまとめます。

苦手意識を払拭できて、仕事への意欲が高まった!

ワーク後は、もっと積極的に人と関わろう、新たなジャンルの仕事にも挑戦してみようという意欲が湧いてきました

筆者は「話すのが苦手」「一人で行動するのが好き」という自覚があったため、ワーク前は「C」が少ないだろうと考えていましたが、実際は「T」に並ぶほど多い結果に。

好きな行動を見直した結果、「旅先で穴場を教えてもらう」「行きつけの古本屋でおすすめを教えてもらう」というように “聞く” というかたちで積極的にコミュニケーションをとっていることに気づきました。

「決して人と接するのが苦手なわけではない」と、自分に対する認識を改めることができたのです。

強みについて周囲の人に意見を聞くのもOK

また、付箋が5つ増えたのは、友人や仕事仲間から意見をもらったから。

ワークを実践した翌日、学生時代の友人と話す機会があり、「後輩の面倒見がいい」「元気づけるのが上手」と長所を教えてもらえたのです。自覚はありませんでしたが、たしかに自分と話して元気になってもらえると嬉しいので、付箋を足すことに。

筆者はこうした偶然の産物から好きな行動を追加できましたが、周囲のフィードバックは自分の能力を客観的に認識するのに効果的であると、心理カウンセラーの浅野寿和氏も伝えています。(参考「マイナビウーマン|「自己認識」とは? 高める方法3つを解説」)

また森岡氏によると、「自分は何をしているときに生き生きしてる?」と聞けば、好きな行動を見つける手がかりになるそうですよ。

時間をかけて好きなことを探すのもおすすめ

好きな行動を一気に50個以上書けなくても、時間を空ければ、付箋を増やせるかもしれません。フィードバックをもらうことも含め、数日がかりで時間をかけワークを実践してもよいのではないかと感じました。

これは、椅子に座って考えているときには浮かばなかった好きな行動が、仕事やプライベートをきっかけに浮かぶ場合もあるからです。筆者の場合、写真撮影中に「画像編集も好き」だと気づいて、付箋を増やすことができました。

***
好きな行動を書き出す「強みを見つけるワーク」。自分の長所を伸ばす努力を始めるために、ぜひ実践してみてくださいね。

(参考)
東洋経済オンライン|9割の人が「自分の強み」を知らないという残念
Gallup|ギャッラップ・ジャパン
久世浩司 (2016), 『眠れる才能を引き出す技術』, 実業之日本社.
森岡毅 (2019), 『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』, ダイヤモンド社.
マイナビウーマン|「自己認識」とは? 高める方法3つを解説

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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