自分らしいキャリアをうまく描けない。
新プロジェクトを始めることになったけど、何をどうすればいいかわからない。
失敗するかもと思うと、物事に前向きに取り組めない。
このようにお悩みではありませんか?
軽やかに結果を出せるようになるために、まずは仕事がデキる人の考え方を参考にしてみましょう。ふたつご紹介しますので、やってみたいと思えるものをぜひお試しください。
1.「目的を果たすためにどうするか?」と考える
理想の未来を実現するために何をすべきかわからなかったり、現状に照らして「きっと無理だろう」と諦めてしまったりする……。心当たりのある方は、「バックキャスティング思考」に切り替えてみては?
一般社団法人SDGs支援機構事務局長 深井宣光氏によると、バックキャスティング思考とは、「現在から未来を考えるのではなく、『未来のあるべき姿』から『未来を起点』に解決策を見つける思考法」のこと。じつはSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、「バックキャスティングの思考で作られて」いるそうです。(カギカッコ内引用元:SDGsジャーナル|今さら聞けない「バックキャスティング」の使い方)
バックキャスティング思考は、キャリアデザインにも有効です。デジタル製品の開発・製造などを行なうアンカー・ジャパン株式会社 代表取締役CEOの猿渡歩氏は、バックキャスティング思考を活用することでハイスピードの出世を実現したビジネスパーソンのひとり。キャリアアップの秘訣を、こう語っています。
同期で1位になりたいのか、マネージャー職に就きたいのか、転職を成功させたいのか、まず明確なゴールを設定するのが大事だと思います。
ありたい姿から現状を差し引くことで、いま何をすべきかがわかるようになってくるはずです。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「バックキャスティング思考」出世する人に共通する思考法 ※太字は筆者が施した)
このとき設定する “ゴール” として、キャリアコンサルタントの岡本陽子氏は「少し背伸びした理想の私」を考えることをすすめています。(カギカッコ内引用元:マネコミ!|20代からの「キャリアデザイン」の正しい設計方法&重要性をキャリアコンサルタントが解説)
そして提案しているのが、以下の3ステップでキャリアデザインをすること。
STEP1 「心身ともに豊かで幸福な理想の自分」をイメージする
STEP2 「現在の自分」を再確認する
STEP3 「理想の自分」に近づくために必要なことを考える
(引用元:同上資料内の表)
上記をふまえ、紙に書き出しながら、バックキャスティング思考でキャリアについて考えてみました。
これまでは理想の将来像をイメージしても、漠然と「きっとムリだろうな……」と思ってしまうことがよくありました。ですが、理想像に向けてやるべきことを具体的に書き出したことで、いまの自分にできそうなことも見えてきて、夢を実現できそうな気分になりました。
キャリアデザインだけでなく、「新プロジェクト立ち上げの担当を任されたけれど、何をどう進めたらいいかわからない……」といったときにも効果的なメソッドではないでしょうか。
実現したい目標があっても「いまの自分じゃムリだろう」と諦めがちだった方。ぜひ「目的を果たすために何ができるか?」と考える習慣をもってみませんか?
2.「失敗は成功のプロセスだ」と考える
とある仕事を初めて担当するときや、前例のない仕事をしなくてはならないとき。どうしても失敗を恐れてしまい、前向きな気持ちで取り組めない……。そんな方は、「失敗は成功のプロセスだ」ととらえてみてはいかがでしょう。これが、偉大なイノベーターたちの考え方なのです。
たとえばアメリカの発明王トーマス・エジソン氏は、次のような名言を残しています。
「失敗したわけではない。それを誤りだと言ってはいけない。勉強したのだと言いたまえ」
(引用元:幻冬舎ゴールドオンライン|「現代のエジソン」イーロン・マスク氏が、失敗について語っていたこと【脳神経外科医が解説】)
また、アメリカの宇宙関連企業スペースXの創業者 イーロン・マスク氏は、こう語ったそう。
失敗の確率を納得して受け入れれば、恐怖心は薄れます。スペースXを立ち上げたときも、成功率は1割以下だと思っていました。当然、すべてを失うかもしれないと覚悟のうえで
(引用元:東洋経済オンライン|イーロン・マスクが成功率を低く見積もる理由)
加えてマスク氏は、開発中の宇宙船「スターシップ」が2023年4月20日の試験飛行で空中爆発した際、“Learned a lot for next test launch in a few months.”(今後、数か月のうちにある次の試験飛行に向けて、多くのことを学んだ)とツイートしています。(引用元:Twitter|@elonmusk ※和訳は筆者が作成した)
失敗を成長のプロセスととらえる姿勢が、成功者たちの強みなのです。
だからといって、失敗をただ繰り返すだけではなんの進歩もありませんよね。同じ失敗はしないようにしたいもの。
そこでご紹介したいのが、インターネットメディアを運営する株式会社じげん代表取締役社長CEOの平尾丈氏が書いているという「失敗リスト」です。その目的や書き方について、平尾氏はこう説明しています。
事前に想定した失敗のリストに基づいて失敗を回避して、それでも起こった失敗をリストに加えていきます。このリストをストックしていくと、失敗するパターンがわかるのでより高い可能性で失敗を避けられるようになります。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「失敗しても、学びになればいい」と思っている人は、いつまでも前に進めない理由 ※太字は筆者が施した)
あらかじめ想定した失敗を回避しようと努めると同時に、現実に起きてしまった失敗も失敗リストに書き加え、さらなる失敗回避へとつなげるわけですね。
筆者も上記をふまえて「仕事が締め切りに間に合わない」という失敗を想定した、失敗リストをつくってみました。
自分がはまりがちな失敗パターンを冷静に分析し、客観的に把握することができました。また、回避できなかった失敗もリストに追加すると、どうしたら成功できるか自然と考えやすくなるので、前向きな気分にもなれると実感。必要以上に落ち込まずにすみました。
仕事で失敗を恐れて新しいチャレンジに踏みきれない。同じミスを繰り返し、成長を実感できない。そんな方は、“失敗したらそこで終わり” と考えるのではなく、“失敗は成功までのプロセスだ” と考え、ぜひチャレンジし続けましょう。
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今回は、軽やかに結果を出すためぜひ参考にしたい、仕事がデキる人の頭の使い方をふたつご紹介しました。
- 「目的を果たすにはどうするか」を考える
- 「失敗は成功のプロセスだ」と考える
「仕事でこのように考えられる人は強い!」と言っていいはずです。これらの考え方を、あなたも賢くまねしてみませんか?
(参考)
ダイヤモンド・オンライン|「バックキャスティング思考」出世する人に共通する思考法
SDGsジャーナル|今さら聞けない「バックキャスティング」の使い方
doda X キャリアコンパス|一流ビジネスパーソンの共通点「バックキャスティング思考法」
マネコミ!|20代からの「キャリアデザイン」の正しい設計方法&重要性をキャリアコンサルタントが解説
幻冬舎ゴールドオンライン|「現代のエジソン」イーロン・マスク氏が、失敗について語っていたこと【脳神経外科医が解説】
日本経済新聞|米スペースXの大型ロケット、初の打ち上げ試験で爆発
東洋経済オンライン|イーロン・マスクが成功率を低く見積もる理由
@elonmusk
ダイヤモンド・オンライン|「失敗しても、学びになればいい」と思っている人は、いつまでも前に進めない理由
【ライタープロフィール】
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。