自分の仕事のリーダーは自分自身。日本人が誤解している "リーダーシップ" の本質

上司から簡単な仕事しか頼まれないため、イマイチやる気が出ない。“上司” と “部下” という立場にとらわれるあまり、上司に対して自分の意見をぶつけられない。そんなふうに上司との関係で悩んでいる方はいませんか?

年功序列制度こそ少しずつ崩れてきているとはいえ、「部下は上司に尽くすものだ」という考え方はいまだ日本社会に強く根づいているようです。本当は挑戦したい仕事があるのに言い出せなかったり、上司に遠慮して思うように仕事を進められなかったりと、部下という立場ゆえの “やりにくさ” は多くのビジネスパーソンが経験したことがあるかと思います。

しかし海外では、日本とは異なり「チームメンバー全員がリーダーシップを持って行動する」という考え方があるのはご存知でしょうか。たとえ後輩や部下という立場であったとしても、チームの一員としてリーダーシップを発揮することが求められるのです。

リーダーシップをしっかりと実践できれば、あなたの悩みが解決されるのはもちろんのこと、チーム全体がもっと高い成果をあげられるようになりますよ。そこで今回は、海外におけるリーダーの在り方について言及しながら、チームの一員としてリーダーシップを持ち、個人としてもチームとしてもより高いレベルに到達するための方法をご紹介します。

リーダーシップとリーダーとは?

そもそもリーダーシップとは何か、あなたは説明できますか? リーダーシップは以下のように定義されています。

集団の目標や内部の構造の維持のため、成員が自発的に集団活動に参与し、これらを達成するように導いていくための機能。この機能は、一方で成員の集団への同一視を高め、集団の凝集性を強める集団維持の機能を強化させるとともに、他方で集団目標の達成に向って成員を活動せしめる集団活動の機能の展開を促すということにある。

(引用元:コトバンク|リーダーシップ

ブリタニカ国際大百科事典によると、リーダーシップとは、集団の目的に対する、個人が発揮する「主体性」と「他者への影響力」となります。つまり「目標を達成するために、主体的に他者に働きかけること」こそがリーダーシップなのです。

だとすればリーダーとは決して集団やチームにおける役職やポジションではなく、「リーダーシップという資質を持つ人物」のことを指していることになります。例えば後輩や部下といった立場にいる人であったとしても、チームのメンバーがより活躍できるように、そしてチームがより高い目標をクリアできるように積極的な提案・提言ができる人であれば、リーダーだと言えるのです。

リーダーは1人という誤解

「チームのために積極的な提案ができる人がリーダー」という定義を踏まえて考えると、チームにおけるリーダーは決して1人である必要はありません。むしろメンバー全員がリーダーシップを持って主体的に議論や提案を交わし、自分が合意形成をリードするという意識を持ったほうが、質の高いアウトプットが生まれるはずです。実際に海外の大学や企業では全員がリーダーシップを持つべきだと考えており、リーダー(リーダーシップを持つ人)とマネージャー(チームの管理者)を分けています

さらに世界一のコンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーで採用マネージャーを務めた伊賀泰代さんもこう述べています。

全員がリーダーシップを持つ組織は、一部の人だけがリーダーシップを持つ組織より、圧倒的に高い成果を出しやすいのです。だから学校も企業も欧米では全員にリーダーシップ体験を求めるのです。
もちろんマッキンゼーのチームにも、プロジェクトマネージャーや責任パートナーは存在します。しかしそれらはチームの管理上の役割にすぎません。マネージャーは日々の円滑なチーム運営について目配りすることが期待されているし、責任パートナーは最終的に顧客企業に対する全責任を負っています。けれどそれは、他のメンバーがフォロワーとして、彼らの指示に従って動くことを意味するわけではないのです。

(引用元:伊賀泰代(2012),『採用基準』, ダイヤモンド社.)

しかし日本ではリーダーとマネージャーを同一視し、フォロワーとしてリーダーの命令を忠実に実行してサポートする人が多数を占めています。実際、就職活動時のディスカッションの場でも、ファシリテーターとして話を回すことに終始する人や、アイデアマンとしてアイデア出しに専念する人がいるようです。

しかし本来は「ファシリテーター」「アイデアマン」などの役割分けは無意味。全員がリーダーとして主体的に議論を回してアイデアを出し、時に上司の意見にも反論できる状態こそが、世界基準で結果を出せる組織の条件なのです。

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リーダーシップを鍛える2つの方法

「全員がリーダーとして主体的になる」という海外式リーダーシップを身につける上で推奨される方法として、

  1. 視点を上げて考える
  2. スタンスを取る

の2つが挙げられます。

前者は「もし自分がこの仕事やタスクの最終決定者(責任者)だったら」という1つ上の視点を常に持つことです。後者はそれを踏まえた上で、「自分はチームとして何をすべきと考えているのか」を明確に示すことです。「視点を上げる」「スタンスを取る」を繰り返すことで、チームを意識しながら主体的に意見を発信し、リーダーシップを養うことができます。

例えば取引先に提出する予定の資料を作ったなら、上司の目線でもう一度資料を眺めてみましょう。そもそもの取引の目的からそれてしまっていないか、取引先に提出する上での必要な情報がすべて入っているか、取引先が商談に応じるメリットを感じられるか……? このような意識を持って細かくチェックしていき、もしも資料の方向性が間違っていると感じたなら上司に提言してみましょう。また、取引先に提供すべき情報が他にあれば自分で追加してみて、チームで相談するのもいいでしょう。資料ひとつとっても、チームの成果を意識することがリーダーシップにつながるのです。

あるいは企画のアイデアを出した際、アイデアを生んだだけで満足するのではなく、上司の目線からそのアイデアをもう一度検討してみてください。そもそも予算的にはOKか? 数値目標を達成できる根拠があるか?  などですね。このような問題意識を持って上司の目線に立つと、これまで見えなかったものが見えてくるはず。上司の目線に立ったことで気づけた発見を踏まえたうえで、自分の意見を持つようにしましょう。

アイデアをいくつか並べて、「良いと思う案を選んでください」と言うだけの部下。アイデアをいくつか並べながら、「チームとしてこの案を推奨する」と意見を持つ部下。この2人を比べたら、どちらがよりリーダーシップを持った人物なのかは明確でしょう。

大学や会社を問わずに集団で活動する際には、ぜひこの2点を意識してみてください。

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日本では組織に1人で十分と思われがちなリーダーですが、成功する組織においてはリーダーシップは全員に必要とされています。チームの成果を高めるためにも、明日からリーダーシップを鍛えましょう!

(参考)
伊賀泰代(2012),『採用基準』, ダイヤモンド社.
コトバンク|リーダーシップ
読んで身に付く英語勉強法マガジン|上司が部下を導く英国流リーダーシップのつくり方
RULES OF SUCCESS|リーダーシップは才能ではない
STUDY HACKER|視点が平社員なら行動も平社員! 視点を “上げる” ことで見える、自分のパフォーマンスを上げる方法

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