
人脈の引きが強かったり、災い転じて福となす力が長けていたり、「この人はもってる」と感じる人が身近にいませんか?
じつは、運の良し悪しは思考や行動といった習慣の積み重ねによるもの。
脳科学者の中野信子氏も「運のいい人には共通した考え方や行動パターンがある」と語ります。*1
「運の良さは才能だから、努力で手に入れられるものではない」と諦めてしまっているのなら、それはもったいないことです。
では、どのような習慣の積み重ねが「もってる人」へと導くのか、解説していきましょう。
- なぜ1月は「もってる人」になれるチャンスなのか
- 習慣1. 「初めて」を5つ経験する
- 習慣2. 「今年の自分」のイメージをリフレーミングする
- 習慣3. 「もってる人」との接点をつくる
- よくある質問(FAQ)
なぜ1月は「もってる人」になれるチャンスなのか
理由1. 積極的になれる機会が多い
- フットワークが軽く、いろんな場所に顔を出して人脈を広げる
- 悩んだらまずやってみる
このように、「もってる人」は積極的に新しい経験を重ね、チャンスに巡り合う確率を上げています。
「試す回数が多いからこそ、成功することも多い」と話すのは、デューク大学教授で行動経済学者のダン・アリエリー氏。
たとえば「バスケットボールで、100%確実なときにだけシュートする選手と、成功率は50%だがシュートする回数が格段に多い選手」がいたら、「全体としてのゴール数が多いのは、後者だ」と言います。*2
ビジネスシーンで言えば、「会議で恥ずかしい思いをしたくない。だから確証を得られるまで発言しない」という人よりも、「臆せず自分の意見を発言していこう」という人のほうが周囲の記憶に残り、仕事を任されるチャンスが増えます。
また「資格をそろえてから」「もっと経験を積んでから」と新しいプロジェクト参加に立候補するのを先送りする人よりも、「まずやってみよう」と飛び込んでいく人のほうが成長スピードが早いでしょう。
「もってる人」のまずは行動しながら軌道修正していくというスタイルが、運に巡り合う確率を上げているのです。

理由2. 自分と向き合う機会が多い
- 「私は努力家だから、新しいプロジェクトの成功に貢献できるはずだ」
- 「異動を命じられたのは、新たな場所での活躍を期待されているからだ」
「もってる人」の思考回路は自己イメージが高く、物事をプラスの側面からとらえます。
一方で「自分はいつもついていない」と感じている人はどうでしょうか。
「こんな難しいプロジェクトを任されてしまって、プレッシャーで押しつぶされそう」
「異動を命じられたのは、この部署に自分は不要だからなのかもしれない」
このように物事をマイナスの側面からとらえてしまうのです。
「プラスの自己イメージはパフォーマンスに直接影響を与え」ると話すのは、前出の中野氏。その根拠として、次の実験を紹介しています。
アメリカで大学生を対象に行なわれた実験で、テスト前に以下のアンケートをとり、その結果の違いを比べてみました。
—前提—
- このテストは、女性よりも男性のほうが早く正確に解けると言われているもの
- 被験者の多くは有名大学の学生
—比較グループ—
A:性別を問うアンケートに答えたグループ
B:所属大学を問うアンケートに答えたグループ
| 比較 | 結果 |
|---|---|
| A:性別を意識させたグループ | 女子学生の正答率は男子学生の64% |
| B:大学名を意識させたグループ | 女子学生の正答率は男子学生の86% |
グループAでは女子学生の正答率が男子学生の64%にとどまりましたが、グループBでは86%まで上昇しました。
つまり、「自分は有名大学のエリート学生だ」というポジティブな自己イメージが生まれ、それが好成績につながったのです。*3
この実験からもわかるように、自己イメージの高さはより良い結果を引き寄せます。
このふたつの理由が、次から紹介する習慣の土台となります。

📚 もっと読みたい
習慣化のコツ徹底解説!習慣化のメリットや役立つおすすめアプリを紹介習慣1. 「初めて」を5つ経験する
「もってる人は積極的に新しい経験を重ね、チャンスに巡り合う確率を上げている」と先述しましたが、いきなりチャレンジするのは心理的ハードルが高いもの。
そこで、新年という「スタート感」のある時期を利用して、月内に5つの「初めて」を経験することを目標にしてみましょう。
小さな成功体験を積み重ねることで、2月以降も自然と行動的になれるはずです。
- 新年の挨拶回りで、いつもと違うフロアの休憩室に行き、話したことのない人に挨拶をしてみる
- 会議で質問したり意見を伝えたり、最低1回は発言してみる
- SNSでの年始の挨拶をきっかけに、いつもいいねするだけだった人にコメントして交流してみる
- 「今年こそは」と思っていたことを始める準備をする(資料を集める、申込みをするなど)
- 新年会や初詣など、この時期ならではのイベントに積極的に参加する
普段の行動を少し変えるだけでも、立派な「初めて」。
これを5つクリアすれば、それは小さな成功体験となり、自己イメージにも貢献するでしょう。

習慣2. 「今年の自分」のイメージをリフレーミングする
次に、物事をプラスの側面からとらえる「もってる人」の習慣を真似してみましょう。
年始は昨年の反省や不安が頭をよぎりやすい時期。
だからこそ、マイナスな気持ちをプラスにリフレーミングする習慣が効果的です。
- 昨年ミスが多くて、今年も同じことを繰り返しそうで不安……→ 失敗から学んだことを活かす1年にできる
- 昨年は目標を達成できなかったから、今年も無理かもしれない → 昨年の経験があるから、今年はより現実的な計画が立てられる
- 年始早々、重いプロジェクトを任されてしまった……→ 新年から頼られるということは、期待されている証拠だ
さらに、これらを紙に書き出せばマインドフルネス効果が期待できます。*4
頭のなかで完結させずに紙に書きながら気持ちを整理することが大切です。
この習慣を続けることで、「今年の自分は運がいい」という自己イメージが強化され、実際に良い結果を引き寄せやすくなります。

📚 もっと読みたい
心理学のリフレーミングとは?効果&練習法をわかりやすく解説!習慣3. 「もってる人」との接点をつくる
身近に「この人はもってる」と思う人がいれば、新しいスタートの時期にその人との接点をつくってみましょう。
新年の挨拶や新しいプロジェクトの始動など、自然に人と関わるきっかけが多いのがこの時期の利点です。
同じ仕事や課題に向き合うなかで、その人の判断や姿勢から学びを得ましょう。
その結果、「もってる人」の思考や言動が自分のなかに蓄えられ、身についていくはずです。
前出の中野氏も、「運のいい人のそばにいると、その行動パターンが似てきて、『運を呼び込む』ことができる」と述べています。
その根拠には、脳細胞のひとつ「ミラーニューロン」の働きが関係していると考えられているのだそう。
(ミラーニューロン:他人の行動を見ているときに、まるで自分がその行動をしているかのように反応する性質をもつ脳細胞 *5)
「もってる人」の言動を見ているうちにそれが自分のものとなり、物事のとらえ方も似てくる――そうすれば「自分ももってる」と思えるようになり、自己イメージが上がって良い影響を呼び込むことができます。
それは誰かを利用した結果ではなく、環境に身を置き、同じ課題に向き合った結果として身につくもの。
とはいえ、いきなり関係性を築こうとするのも難しいですよね。
次のような小さな一歩から始めてみるのはいかがでしょうか。
- 年始の挨拶をきっかけに、その人の仕草や口癖などを観察して真似してみる
- 「今年もよろしくお願いします。なにか手伝えることはありますか?」のように、一緒に仕事ができる機会をつくってみる
- 身近にいない場合は、書籍やインタビュー動画でその人の思考や言動をなぞる
「観察する」「仕事のなかで関わる」「真似る」を繰り返していくうちに、「もってる人」の思考・行動パターンが自分のものとなっていくのです。

***
「行動」「『自分』のとらえ方」「人間関係」――この3つを意識的に取り組み、「引き」を強めていきましょう。
新年という特別なタイミングを味方につければ、「もってる人」への第一歩を踏み出しやすくなるはずです。
📚 もっと読みたい
チャンスをものにする「行動力」は4つの習慣で高めるよくある質問(FAQ)
Q1. 「もってる人」は生まれつき運がいい人のことですか?
A. いいえ。本記事で紹介しているように、「もってる人」は生まれつきではなく、思考や行動の習慣によって運を引き寄せている人です。積極的な行動や自己イメージのもち方を変えることで、誰でも近づくことができます。
Q2. なぜ1月が「もってる人」になるチャンスなのですか?
A. 新年という区切りがあり、新しい行動や考え方を始めやすい時期だからです。周囲も変化に前向きなため、小さな挑戦や人との接点を増やしやすく、運につながる行動量を自然に増やせます。
Q3. 「初めて」を5つ経験すると、なぜ運がよくなるのですか?
A. 新しい行動を重ねることで成功体験が増え、自己イメージが高まるからです。自己イメージが上がると行動が前向きになり、結果としてチャンスに出会う確率も高まります。
Q4. リフレーミングが苦手でもできますか?
A. はい。難しく考える必要はありません。「不安」や「失敗」をそのまま頭のなかで処理するのではなく、紙に書き出して別の見方ができないか考えるだけでも十分です。
Q5. 身近に「もってる人」がいない場合はどうすればいいですか?
A. 直接の知人でなくても問題ありません。書籍やインタビュー記事、動画などを通じて「もってる人」の考え方や行動を観察し、真似ることでも効果があります。
※引用の太字は編集部が施した
*1 リンネル.jp|【運のいい人】ってどんな人?「運は自分でコントロールできる」 脳科学の視点から中野信子さんが解説
*2 クーリエ・ジャポン|行動経済学は「運がいい人っているの?」という問いにこう答えた──話題の翻訳書、訳者が語る! 第3回『アリエリー教授の人生相談室』
*3 婦人公論.jp|脳科学者・中野信子 科学的に証明された<運をよくするコツ>とは?「根拠のない自信」で成功確率はグッと高まる【2023編集部セレクション】
*4 STUDY HACKER|「ノートに書く」と脳内が整理される2つの理由。すべての情報は1冊にまとめよ
*5 マネー現代|脳科学がつきとめた「運がいい人」になるために関わるべき人の「驚きの特徴」
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。