
朝の電車で「今日こそジムに行こう」と決意したのに、気がつけば帰宅後はソファでスマホをいじっている。「毎朝5時に起きて読書する」と宣言したものの、3日目にはアラームを止めて二度寝している。「英語学習を習慣化する」と意気込んだけれど、1週間もたたずにテキストがホコリをかぶっている──。
こんな習慣化の挫折経験、あなたにも心当たりがありませんか?
「今度こそは続けるぞ」と毎回気合いを入れ直すものの、結局は三日坊主で終わってしまう。そして「自分は意志が弱いんだ」と自己嫌悪に陥る。この負のループから抜け出したいと思いながらも、どうすれば習慣を継続できるのかわからずにいる方も多いのではないでしょうか。
じつは、習慣化に失敗する原因は意志の弱さではありません。正しい仕組みづくりができていないだけなのです。
そこで今回おすすめしたいのが、週間バーチカル手帳を活用した習慣化メソッドです。一週間を見開きで俯瞰でき、縦軸に時間、横軸に曜日が並ぶこのフォーマットを使えば、習慣化の成功率を劇的に高めることができます。
なぜ週間バーチカル手帳が習慣化に最適なのか、そして挫折しがちな最初の1週間を乗り切るための具体的な使い方を、筆者の実践例とともに詳しくご紹介します。
習慣化したいなら週間バーティカル手帳がおすすめ!
習慣化の強い味方となるのが「週間バーチカル手帳」です。週間バーチカル手帳とは、一週間を見開きで表示し、縦軸に時間、横軸に曜日を並べた形式の手帳のこと。ビジネスパーソンの間で定番となっているフォーマットなので、使ったことのある方も多いのではないでしょうか。
では、なぜこのフォーマットが習慣化に最適なのでしょうか?
それにはふたつの理由があります。
1. 習慣化に必須の「If-Thenプランニング」を使える
習慣化のテクニックは数多く存在しますが、多くの専門家が口を揃えてすすめるのが「If-Thenプランニング」です。
「21時になったら(If)、スマホの電源を切る(Then)」
実際に、ある研究では、If-Thenプランニングを実践したグループの91%が運動を継続できたのに対し、実践しなかったグループは39%にとどまりました。*1 つまり、If-Thenプランニングを取り入れるだけで、習慣化の成功率が2倍以上高くなるわけです。
週間バーチカル手帳の最大の強みは、時間軸が明確に区切られていること。「毎朝8時に」「昼休みの12時30分に」「帰宅後の19時に」といった具体的な時間と行動を視覚的にセットで管理できます。これにより「いつの間にか1日が終わってしまった」「うっかりやるのを忘れてしまった」という失敗パターンを確実に防ぐことができるのです。
2. ひと目で「習慣化したい行動に最適な時間」を把握できるから
週間バーチカルが習慣化に最適なもうひとつの理由は、一週間の時間の流れを俯瞰して「習慣化したい行動に最適な時間帯」を見極められることです。これは、スマホのリマインダーや月間カレンダー、デイリー手帳では実現が困難な独自の利点と言えます。
習慣化コンサルタントの古川武士氏は、習慣化を始めた最初の一週間は「最大のハードルだと認識し、この壁を乗り越えればずっと続けられると信じて、『とにかく続ける』こと」が重要だと語っています。*2
しかし現実問題として、現代人の生活には仕事の会議、残業、家事、子育て、友人との約束など、数多くの予定がぎっしりと詰まっています。「運動を習慣化しよう」「読書時間を作ろう」と意気込んでスタートしても、忙しい日常に追われて「今日は時間がない」「明日にしよう」と先延ばしを繰り返し、結局は挫折してしまうケースが後を絶ちません。
そこで威力を発揮するのが、週間バーチカル手帳による事前の時間分析です。習慣化を始める前に一週間分の予定をすべて書き込むことで、「月曜の夜は比較的空いている」「水曜日の朝は余裕がありそう」「金曜の昼休みが狙い目」といった隙間時間のパターンが一目瞭然になります。
この視覚的な把握により、無理のない現実的な時間帯を選んで新習慣をスケジューリングできるため、最初の一週間を乗り切る確率が格段に高まります。結果として、習慣化の最も困難な初期段階をクリアし、長期継続への道筋をつけることができるのです。

効果的な週間バーチカル手帳の書き方
上記を踏まえて、週間バーチカル手帳を使って習慣化を進めるための具体的な書き方を紹介します。
仕事・プライベート問わず1週間分をすべて記載
同じ時間帯で確保できる枠を探す
場所・内容・時間を明確に設定
仕事やプライベートを含めて一週間分の予定をすべて手帳に書き込みましょう。
予定を一か所に集めれば、「どの日に余裕があるのか」「どの日は詰まっているのか」がひとめで把握できます。
ステップ1で書いたスケジュールを眺め、「習慣化したい行動を実行できる時間」を探します。
一週間を通して、できるだけ同じ時間を確保するようにしましょう。同じ時間に同じ場所で行うことで、楽に習慣化できます。
理想的な時間帯の例
行動できる時間が見つかったら、その枠に「習慣化したい行動」を書き込みます。
記入する内容
古川氏が推奨する、最初の一週間を継続するための重要なポイントをご紹介します。
❌ NG例:高すぎる目標設定
結果:少しでもうまくいかない日があると挫折してしまう
✅ OK例:ベビーステップで開始
結果:成功体験を積み重ねて自然と行動レベルが向上
週間バーチカル手帳に視覚的でシンプルな記録を残しましょう。
効果:1週間分の記録が蓄積されることで達成感と継続モチベーションが生まれます
週間バーチカル手帳で習慣化を試してみた
実際に筆者が一週間、週間バーチカル手帳を使って習慣化にチャレンジしてみました。習慣化したいのは、筋トレです。まず、一週間分の予定を以下のように書き込みました。

この段階では、あくまでも習慣化したい行動を入れる余白を探すことが目的なので、詳細は不要。「9時〜18時:仕事」「19時:夕食」といったざっくりした記載で十分です。重要なのは、自分の時間の使い方を客観視することです。
書き出した結果、17~18時と20~21時の2つの時間帯で筋トレができそうなことが判明しました。しかし、20~21時は1日の疲れがピークに達する時間帯のため「疲れてやらない可能性が高い」と予想。より確実に継続できる17時からの筋トレを選択しました。
このように週間バーチカル手帳に書き出すことで、感覚的に「時間がない」と思っていた状況でも、習慣化にぴったりのタイミングが見えやすくなります。
次に、以下のように筋トレを行なう時間を書き込みました。

手帳の枠内に行動内容や場所をすべて記入するにはスペースが限られていたため、斜線で目立つようにマークし、詳細な内容は付箋に書いて余白部分に貼り付ける工夫を採用。この方法により、一目で筋トレの時間帯が分かり、かつ具体的な内容も確認できる状態を作り出しました。
なお、時間軸が30分間隔になっている手帳を使用すると、手帳自体により詳細な情報を書き込めるためおすすめです。
行動内容は、「ベビーステップで始める」ということを意識し、数分でできる内容にしました。一週間の実践を終えた結果、無事に筋トレを継続することに成功しました。習慣化において最も困難とされる「最初の一週間の壁」をクリアできたのです。
ゆとりのある時間帯を選んだため、時間に追われることなく無理なく継続できました
「筋トレをする」ではなく「リビングでスクワット20回」という具体的な設定により、迷いなく行動に移せました
手帳を開くたびに筋トレの予定が目に入るため、「うっかり忘れる」という失敗を防げました
***
週間バーチカル手帳は、習慣化をスムーズに進めるのにうってつけのアイテム。習慣化したいことがあるなら、次の手帳は週間バーチカル手帳を選んでみませんか?
*1 Psychology Today|The Science of Success: The If-Then Solution
*2 プレジデントオンライン|「続かない人」の挫折パターンは3つある
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。