なぜ私たちは “ビッグボス” 新庄剛志監督に期待を抱かずにはいられないのか?

ビッグボスが人々を引き連れて歩く、あるいは惹きつけているイメージ

いま、リーダー像は大きく変化していると言われています。2019年5月に117名から回答を得たアンケート調査(エン ミドルの転職)では、85%のコンサルタントが企業の求めるリーダー像に変化が生じていると答えたそう。

2021年10月29日に就任が正式発表された、プロ野球チーム・北海道日本ハムファイターズのビッグボスこと新庄剛志監督にも、従来型ではないリーダーとしての注目度が高まっているのではないでしょうか。一般的なビジネスパーソンにも学べる部分があるはず。ビッグボス・新庄剛志監督にリーダーシップを学びます。

1. ワクワク感を与えてくれる

営業マネジメントの最前線で活躍する早川勝氏は、著書『死ぬ気で働くリーダーにだけ人はついてくる』(かんき出版)のなかで、ワクワクするような世界に迎え入れる姿勢こそが、強いリーダーの真骨頂だと述べています。ワクワクするような展望がないと人はついてこないのだとか。 まさに新庄監督は、このワクワク感を与えてくれるリーダーではないでしょうか。

2021年11月4日の就任会見で新庄監督は、チームを変える、日本ハムを変える、プロ野球を変える、監督像を変えると言い重ね、「変えていく」というフレーズを人々に印象づけました。ワクワク感は期待や喜びで心が騒ぐことを表す言葉。何か嬉しい変化が起こりそうという期待感にほかなりません。

また、新庄監督が沖縄・国頭秋季キャンプを視察した際に声をかけられ、意欲が湧いたという日本ハムの吉田輝星投手によれば、同チームの選手らは新庄監督のインスタグラムをチェックしたり、以前の姿をメディアで見たりしては「おもしろい、すごい」などと言っているのだそう。

吉田投手はこうしていまロッカーの空気が変わってきていること、チームの雰囲気が変わっていく期待感があることなどを伝えています。早川氏の著書にある言葉を借りれば、まさに「ビックボスのワクワクする世界へようこそ」といったところです。

プロ野球グランドアリーナのイメージイラスト

2. 可能性を信じて行動できる

コミュニケーションデザイン総合研究所が20歳~49歳の男女1,000名を対象に行なった意識調査(2015年8月24日に発表)で、好感度の高い社長ランキング第2位に輝いた京セラ創業者の稲盛和夫氏は、いまの時点で「できる・できない」を自己判断してしまうようでは、未来の新しいことや、予測不可能な困難に立ち向かうことなどできないと述べます。

自分の可能性を信じてこそ、新しいことを成し遂げられるのだとか。そして、人間の能力は、強い願望に支えられた努力で無限に広がるとのこと。

じつは新庄監督、日本ハム球団から届いた “軽い挨拶” のような1通のメールに「必ず何かある」と信じ、1年間ずっと12球団2軍選手のプレーを必死に勉強したのだとか。そのあと念願とも言える「監督オファー」がきたそうです。

わずかな可能性を信じて全力を注げたのですから、稲森氏の「新しいことを成し遂げる力」に通じるのではないでしょうか。また、コラムニストの木村隆志氏は、そんな新庄監督だからこそ「この人についていけば――」という期待感を抱かせると述べています。

大きな暗い壁の向こうにある可能性を見据えるビジネスパーソン

3. 成果を上げる自信過剰?

新庄監督は2020年の10月に、元日本ハムのチームメートで同級生の岩本勉氏ユーチューブ・チャンネルにおいて、「監督4人制」という奇抜なアイデアを発信したそうです。その際に岩本氏から “無理” という言葉が発せられたとき、「自分はこれまで “無理” をクリアしてきた」と自信満々に語っていたのだとか。 また、監督就任会見で心境を聞かれた際には「自分でいいのか?」と思う反面、「自分しかいない」と感じたことも伝えています。

じつは、シンガポール経営大学の助教授らが米国企業1,921社を対象に行なった研究(1993年~2011年)によると、自信過剰なCEOが率いる企業は従業員の離職率が低いそうです。また、従業員が会社とリーダーのビジョンを信じているため自社株の保有率が高く、従業員の労働コミットメント(※)がより強力なのだとか(※責任をもって関わろうとすること)

しかも、自信過剰なCEOには強い信念があるので、主要な仕入先や供給元も引きつけるとのこと。これらは、以前の自信過剰なCEOが優れた革新者であるといった研究結果にも整合しているそうです。“自信過剰” とまでは言わないにしても、自信満々な新庄監督が優れた成果を上げ、チーム全体を盛り上げる可能性は高いわけです。

自信過剰で優れたCEO、リーダーのイメージ

4. 正しい努力を重ねる

福岡・西日本短期大学附属高等学校の現監督であり、同校で高校時代を新庄監督とともに過ごした西村慎太郎氏によれば、当時の新庄監督はプロ野球選手になるという強い意志のもと、夜中までずっとバットを振っていたそうです。

“ジーンズが似合わなくなるから下半身トレーニングを拒んだ” という野球選手現役時代のユニークなエピソードについても、西村氏はそれがあくまでもリップサービスであり、実際にはかなり練習しているといったことも伝えています。また、前項で紹介したように、日本ハム球団から1通のメールが届いたあとには大変な努力がありました。

新庄監督の派手で奇抜な雰囲気や、突拍子もない言動の裏には絶え間ない努力があるわけです。それは前項で述べた「信じる力」や「自信」のもとでもあるはず。

「経営の原理原則」をもとに幅広く経営コンサルティング活動をしながら、年100回以上の講演を行なう小宮一慶氏によれば、成功するリーダーは正しい努力を知り、積み重ねるものなのだとか。そうしたリーダーの姿は、チームをまとめる力となるに違いありません。正しい努力を重ねる新庄監督が、優れたリーダーシップを発揮する根拠にもなるでしょう。

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新庄剛志監督に学ぶリーダーシップを紹介しました。愛すべきリーダー・ビッグボスの、これからの活躍が楽しみですね。

(参考)
高校野球ドットコム|「今まで見たことない、あんなボール投げるやつ」新庄剛志の同期が語る、新庄の知られざる素顔!【前編】
高校野球ドットコム|「天才」であり「エンターテイナー」 新庄剛志の同期が語る、新庄の知られざる素顔!【後編】
スポニチ Sponichi Annex|吉田輝星、新庄ビッグボスに「すごい。不思議な力、よしやるぞみたいな感じになる」
東スポWeb|日本ハム・新庄新監督 前代未聞の「監督4人制」実現するのか 昨年 “同志” に提唱していた
SSRN|Are Overconfident CEOs Better Leaders? Evidence from Stakeholder Commitments
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|リーダーの自信過剰は悪いことばかりではない
TECH+|社長の好感度ランキング第2位は京セラ創業者の稲盛氏、第1位は?
早川勝著(2014),『死ぬ気で働くリーダーにだけ人はついてくる』,かんき出版.
東洋経済オンライン|新庄剛志監督が就任会見で見せたリーダーの資質
エン ミドルの転職|「求められるリーダー像の変化」について
稲盛和夫 OFFICIAL SITE|人間の無限の可能性を追求する

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