タイムマネジメントのプロが教えてくれた、“本当に使える” タスク管理術!【StudyHacker Square セミナーリポート】

勉強やビジネスの世界で活躍する “その道のプロ” をお招きし、セミナーやワークショップを提供するプログラム『StudyHacker Square』。その第5弾のセミナー『タイムマネジメントで “働き方改革” を実現! プロに教わる「タスク管理術」』が、東京の品川にて開催されました。

講師としてお招きしたのは、ビズアーク時間管理術研究所代表水口和彦さん。『仕事に追われない超時間術』(中経出版) や『部下を持つ人の時間術』(実務教育出版) など著書多数。日本有数の “タイムマネジメントのプロ” として、研修や講演などでも幅広くご活躍されています。StudyHackerにおいても、全10回にわたる連載『仕事も学びも効率化 目からウロコの時間管理術』をご寄稿いただきました。

残業が常態化している。仕事に追われて心身が疲弊している。会社から残業禁止命令が下されたものの、自分の業務量は変わらないまま……。時間管理やタスクの進め方などに関して、皆さんも大なり小なり悩みを抱えていることでしょう。もしかしたら、「今の状況は変えられない」と諦めかけている方もいるかもしれませんね。

でも、“効率の良い働き方” “生産性の高い働き方” は、タイムマネジメントの本質を理解し、きちんと実践すれば、実現できます。セミナーの模様をレポートしながら、その方法を探っていきましょう。

仕事には3つのタイプがある!?

かつて、自動車部品の研究開発等を手がけるメーカーに勤務していた頃のこと。水口さんご自身も、まさに “余裕のなさ” や “残業の多さ” といった悩みを抱えていました。仕事に追われてストレスがたまる。タスク処理が期限ギリギリになる。「明日までの報告書がまだ終わっていない!」と、24時を越えて翌日未明まで仕事をしたこともあったそうです。

しかし、さまざまな試行錯誤を経て、ついに “本当に使える” タイムマネジメントの手法を確立。結果、残業時間を3分の2以下に減らすことに成功し、気持ちにも余裕を持ちながら着実に仕事を進められるようになりました。

さて、タイムマネジメントを考えるうえで最初に知っておかなければならないことがあります。それは、私たちの仕事には、大きく分けて3つの種類があるということです。

1つめは『アポイントメント』。会議や打ち合わせに代表される、“時刻が決まっている仕事” ですね。手帳やスケジュールアプリなどで管理されている方も多いはず。

2つめは『タスク』。「来週までに提出する書類」「1ヶ月後までに完成させなければいけない企画書」など、ある程度期限は決まっているものの、やるべき時刻は特に指定されていない仕事です。

そして、3つめは『予定外の仕事』。部下や後輩からの急な相談、上司からの呼び出し、電話対応などが該当しますね。役職により量には個人差がありますが、平均して全体の2割から3割程度の時間が、この予定外の仕事に割かれているそうです。

よほどの無理な残業をしない限り、私たちが1日のあいだに使える時間は限られています。この限られた時間のなかで、これら3つのタイプの仕事を整理・管理するのが本当のタイムマネジメントだと、水口さんはいいます。

「アポイントメント」を管理する、いわゆるスケジュール管理は、おそらく多くの人がすでに実践していることでしょう。でも、「タスク」や「予定外の仕事」にまで視野を広げ、行き当たりばったりに陥らない “上手な仕事の進め方” ができている人は、はたしてどれくらいいるでしょうか。

どきっとした、そこのあなた。まずは、アポイントメントの管理の仕方に、ちょっとした工夫を加えてみませんか?

使う時間に線を引け! “使える時間” を可視化できるアポイントメント管理の仕方

特にマンスリータイプの手帳をメインでお使いの方。アポイントメントを管理する際、用件と開始時刻だけを記入して終わってしまってはいませんか? でも水口さんは、週間バーティカルタイプの手帳(あるいはツール)を使用し、アポイントメントで使う時間に線を引くことをおすすめしています。

百聞は一見に如かず。実際にやってみると、こんな具合になります。一般的なWebアプリケーションツールでは、こういう表示の仕方はよく見かけますよね(例:Googleカレンダー)。これを手帳などにも応用するというわけです。

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こうすることで、アポイントメント以外の「タスク」「予定外の仕事」に使うことができる “空き時間” が一気に可視化されます。上の画像でいえば、線が何も引かれていない白い部分が、空き時間に該当しますね。

今週は〇曜日が比較的空いているようだ。〇日のこの時間帯はまとまった空き時間が取れる。こんな具合に、まずは使える時間を把握することが、次のタスク管理に進むうえでの大事なステップとなりますよ。

タスクは “実行日” に書け!

ある程度の期限は決まっているものの、やるべき日時は特に指定されていない「タスク」という仕事。「〇〇までに」という条件のせいで油断してしまい、期限ギリギリになってバタバタと慌ててしまう……。よくあることですよね。1回だけならばまだしも、こんな状況が常態化しているようでは考えもの。仕事の遅延や毎日の残業にもつながってしまいます。

そこで水口さんは、タスクを「実行日」に書くことを推奨しています。「あとでやる」「いつかやる」ではなく、あらかじめ「この日にやる」と設定しておくのです。

その際に大切なのは、アポイントメント管理の項で紹介した “空き時間の可視化” のテクニックと組み合わせながら、仕事全体を俯瞰して、ほかのタスクとのバランスも考慮してあげること。無理をして1日にたくさん詰め込む必要はありません。予定外の仕事も必ず舞い込んできます。スケジュールに余裕を持たせて、少し前倒しするぐらいの気持ちで実行日を設定しましょう。

タスク管理といえば、ToDoリストを使っている方も多いはず。でもToDoリストには、「どのタスクから手をつければいいのかわからない」「仕事量が適正かどうかを判断しづらい」「目先のことに目が向きがちで、長期的な視点を持ちづらい」といったデメリットがあります。やるべきタスクをただ羅列するだけでは、上手なタスク管理という点ではまだ不十分なのですね。

ちなみに、こうしてそれぞれの日のタスクが決まったら、取りかかりやすいものから実行していって良いそうですよ。ほかにも、タスク管理のこんなポイントを紹介していただきました。 ・タスクは “2時間以内” を目安に。長いタスクは分割しよう(「やりかけの仕事」で置いておくよりも、区切りをつけて細かく進める) ・難しい仕事や慣れていない仕事は、より細かく分割しよう(少しずつ手をつけやすくなり、先延ばしに陥らない) ・「考える」タスクは、“早めに” “短時間で” “何度か” 行なうと効果的!(アイデアの質も量も高まるし、アイデアが出なくても焦らなくて済む)

“迷い” や “二度読み” で無駄な時間が浪費される。効率的なメール処理の方法とは?

仕事をするうえで避けては通れないのが「メール対応」。1日に数十通や数百通のメールを処理しなければならない方もいるでしょう。でも、このメール対応ひとつ取っても、仕事の時間を圧迫する悪因が潜んでいる可能性があると、水口さんは指摘しています。

例えば、作業中に来たメールをその都度チェックしていませんか? そして、「いま返信しようかどうか?」と迷い、“緊急性がないから” という理由で、返信を後回しにしていませんか? そして後になってから、後回しにしたメールを受信ボックスの中から探していませんか? さらに、そのメールをもう一度読み返していませんか? これらはすべて、メールに潜む “無駄な行動” です。

水口さんは、次のようなルールを設けることを推奨しています。 ・メールの受信通知機能はオフにし、作業の区切りがつくまでメールはいっさい見ない ・不要な二度読みを防ぐため、メールを開いたら必ずその場で返信する(※どうしても後で返信したい場合は「タスク」として書き留めておく) 量が多くなりがちなメール対応だからこそ効率を高め、ほかの仕事の時間を圧迫しないようにしたいものですね。

*** 以上、セミナー内容をほんの一部だけご紹介しました。

タイムマネジメントは仕事の基本。とはいえ、上手に実行するにはコツが要ります。水口さんのタイムマネジメント手法をもっと詳しく知りたい方は、StudyHackerの連載『仕事も学びも効率化 目からウロコの時間管理術』にもぜひ目を通してくださいね。

アポイントメント管理については第4回『“空き時間” を可視化せよ! 「スケジュール管理」を「時間管理」に変えるコツ』に、タスク管理については第3回『タスクは「実行日」に書け! “本当に使える” タスク管理の方法とは?』に、メール処理については第9回『メールにひそむ3つのムダを省け! 仕事効率が圧倒的に高まる「メール対応術」』に、それぞれ詳しく書かれていますよ。

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