会話は私たちにとって絶好の学ぶ機会です。自分が知りたい事や未知の世界を教えてくれるのも、自分の夢を語る時も、全て「会話」を通じて行われます。相手から本当に聞きたい内容を聞き出すための「対話力」について、私がいつも気を遣っていること、そして対話のプロの著書からそのヒントを考えてみたいと思います。
聞く姿勢に強弱をつける
相手の深い話を引き出したいなら、「あいづちに強弱をつける」という反応は不可欠です。ムスッと黙ったままあまり表情に変化が無く聞いていては「自分の話はつまらないのかな」と相手の口もどんどん重くなっていきます。一方で話を聞いている間中、大袈裟すぎるリアクションをし続けるのも考えものです。わざとらしさを与えてしまう上に、聞き方によっては「ふざけているのではないか?」と悪印象さえ与えてしまいます。それは皆さんも実感するところでしょう。「わかりますーわかりますー」「なるほどですねー!」とスピーカーのように繰り返されては、こちらも真剣に話す気が削がれますよね。 そこで重要になってくるのが、「あいづちのメリハリ」です。
聞き上手になる、たった二つのポイント
私が実践しているものを二つ例に挙げます。これらはどちらも私が人から受けた反応のうち、ホッとして気持ちよく話せた経験があったものです。
1)話の肝心な部分に入ったと思ったら、即座に身を乗り出す! その話題に興味があり、どんな話か楽しみにする姿勢を示す最も簡単な方法です。距離的に近づくことで、こちらが心理的な親近感を覚えていることを教えてあげることができますし、話し手は「あ、この話に興味を持ってくれている!」と感じ、気持ちよく話すことができます。
2)山場の後には大きく頷き声を出す。 メインの話題を話し終わった後は、どうしても相手の反応が気になるもの。そこで「今ので納得いった!」「面白い!」ということを、言葉に出したり大きな頷きで表しましょう。自分に置き換えると分かりますが、話をしている時は頭の片隅で「この話、うけるかな」「反対の意見だったらどうしよう」など、色々な事を考えながら話を組み立てているので、相手が喜んだ反応をしてくれると、嬉しいと同時にホッとするのです。
対話のプロ「聞く力」阿川佐和子さんに学ぶ
タレント・エッセイストの阿川佐和子さんは、インタビュアーとして長きにわたって大物と対談し、話を引き出すプロとして知られています。僕も大ベストセラーとなった著書「聞く力」から、彼女のテクニックを学びました。特に驚いたのは、オウム返しで質問するという方法です。 「実は◯◯に興味があるんだけど・・・」→「◯◯に興味があるのですか?」 オウム返しは阿川さんも度々使っている手法だそうですが、このように相手の話のキーワードを繰り返して質問することで、スムーズな話の導入を助けることができます。
実はこれはコーチングで話を聞きだす時によく使われる手法です。何か悩みがあったり、自分自身を見つめ直したい時に利用するコーチングでなぜこの「オウム返し」が使われるのでしょう?
「繰り返し」をすることで、相手はしゃべっていることが伝わっていると安心するのです。
オウム返しは、会話中にしゃべっている相手を安心させてあげる行為なのですね。
*** いかがだったでしょうか?明日からの友人との会話にも、すぐに取り入れられると思います。一対一の対話が面白いのは、自分の反応や相槌で、相手が語ってくれる内容が変わるという点です。対話は相互作用でいくらでも面白くなります。相手が話しやすくなる聴き方で、深く掘り下げられた学びの多い対話を楽しみましょう!
参考: 認定エグゼクティブ・コーチ養成講座 /コーチング 「コーチングスキル 傾聴の重要性とスキル」 「心をひらく35のヒント 聞く力」著者阿川佐和子(文芸春秋)