あなたの言葉はなぜ伝わらないのか。誤解を生まない “賢い” コミュニケーション術。

みなさんは、周囲の人といつも気持ち良く会話をすることができますか。普段の会話において、相手の言ったことに誤解をしたり、逆に自分が誤解を招く発言をしたりしてしまったことが、もしかするとあるかもしれません。

仕事でもプライベートでも、コミュニケーションにおけるちょっとした誤解が原因で、それまで良好だった関係が壊れてしまうことはしばしば起こり得ます。そして、そうした誤解は、無意識に自己中心的な発言をしてしまったり、相手の言葉を身勝手に理解してしまったりという、独りよがりのコミュニケーションによって生まれてしまうもの。

そこで今回は、知らず知らずのうちに独りよがりのコミュニケーションを取らないようにするための方法についてお伝えします。

あなたの言葉が伝わらない理由

自分の発言の真意が相手になかなか伝わらないという状況は、なぜ起こり得るのでしょうか。その理由のひとつとして、会話中の言葉の意味について、自分と相手との間で認識の擦り合わせができていないということが挙げられます。

ごく日常的な例で考えてみましょう。相手に「飲み物は何にしますか?」と聞かれたとき、あなたが「お茶いいです」と答えた場合と、「お茶いいです」と答えた場合とでは、相手が受け取る印象は異なるはずですよね。自分は謙遜のつもりで「お茶いいです」と言っていても、相手は「特に飲みたいものがなかったから、お茶でもいいか」という意味で返事をされたように感じるかもしれません。

このように、たいていの場合は人によって物事の認識が異なっているものです。しかし、会話において互いの認識が異なったまま話を進めていると、次第に話が噛み合わなくなってきてしまいます。自分の解釈が正しいと思い込んでいると相手にそれを押し付ける形になるため、コミュニケーションが独りよがりなものになってしまうのです。お茶でいいのか、お茶がいいのか、といったささいなことですらコミュニケーションはすれ違うのですから、ビジネスなどにおける重要な場面ではなおさら注意が必要です。

良いコミュニケーションでは相手の気持ちを把握することが大切

他人とコミュニケーションを取る際には、自分のことばかり考えるのではなく相手の心情も慮るべきであると言えます。なぜならば、会話において、言葉によって表面化した情報は、実際に話し手が考えていることや事実よりも、省略されたり欠落したりしている場合が多くあるからです。

例えば「昨日、職場で上司に怒られてとても腹が立った」という話を友人から聞いたとしましょう。あなたならその友人に、どんな言葉を返しますか? もし、「腹は立つかもしれないけれど、上司を怒らせたあなたにも責任がある」と一方的に言ってしまうのなら問題です。

「友人が何かミスをしたのなら、上司が叱るのは当たり前だ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし咎められるようなことは何もなく、ただ上司の機嫌が悪かったがために理不尽に怒られたという可能性も考えられますよね。友人の言葉だけでは、上司に叱られた背景までは分からないのです。

そのようなときは、「それは大変だったね、なぜ上司はあなたに怒ったの?」などとより具体的な状況を尋ねてみてください。自分と相手の解釈を擦り合わせていけば、誤解を防ぐことができ、相手の気持ちに寄り添った適切な言葉をかけることがきっとできるはずです。

コミュニケーションで相手の気持ちを推し量る方法

では、私たちはどうすれば、独りよがりなコミュニケーションに陥ることなく、相手とうまく会話をすることができるのでしょうか。具体的な方法をいくつかご紹介します。

1. 話を途中で遮らない

まず、相手が話している途中で口を挟むなどして、相手の話の腰を折ってしまわないように注意しましょう。相手がそれまで何を話していたのかが分からなくなり、誤解を招く原因になります。

また、相手の話の最中で意見を述べたくなった場合でも、まずは相手の話を最後まで聞きましょう。特に、相手の話に反論したくなった場合は注意が必要です。これについて、気配りのテクニックに詳しいコラムニストの後田良輔氏は次のように述べています。

たとえあなたと違う意見であっても、話の途中で意見を言わず、まずは最後まで相手の話をきちんと聞いてください。話をしている時に腰を折られることほど嫌われる行為はありません。 考えや意見が浮かんだときは、相手の話が終わるのを待ってから「私はこう思うのですが」と切り返すようにしましょう。話の途中で意見をされると「話の腰を折る人」と思われ、きちんと話が終わってから意見されると「意思がある人」と思われます。

(引用元:リクナビNEXTジャーナル|会話中に「やってはいけない」7つの態度

2. 相手の嗜好を否定しない

例えば「私は〇〇が好きで、……」と相手が話し始めたときに、「本当に? 〇〇が好きだなんて!」などと否定から入ったことはありませんか。思ったことを素直に伝えるのは大切なことですが、会話のキャッチボールどころかドッジボールになってしまっては元も子もありません。

もちろん、好き嫌いは人それぞれです。しかし、「私は好きじゃない」「それはつまらないと思う」などと否定的な返事をしてくるような人と話していても楽しくありませんよね。相手は次第にコミュニケーションを取りたがらなくなってしまうでしょう。たとえ自分と好みが合わなくとも、「あなたは〇〇が好きなんだね」というように、いったんは相手の言ったことを受け止めるようにすると良いですよ。

3. 言葉の意味に制限をかける

例えば「この仕事を今週中にお願いします」と頼まれたとき、「今週の金曜日の終業まで」なのか「来週の月曜日の始業まで」であるのかどちらか悩んだ経験はありませんか。相手と認識が異なっていて、仕事に差し支えたことがある人もいるかもしれませんね。そのようなときは、「分かりました」とそのままにしておくのではなく、スケジュールにどのくらい余裕があるのか事前に尋ねるようにしましょう。「今週中」というざっくりした言葉の意味を特定するのです。

また「今度一緒にご飯でも行きましょう」と職場でそれほど親しくない人に言われた際、本気なのかただの社交辞令なのか、悩んでしまった経験はありませんか。自分だけが本気にしていて、実際には食事に行くことはなく、とてもがっかりしてしまった経験がある人もいるでしょう。がっかりするだけにはとどまらず、相手との関係が気まずくなってしまうといったケースも考えられます。そういうときには、「良いですね、いつ行きましょうか? 金曜日の仕事終わりなら空いていますよ」と「今度」の部分に制限をかけて聞いてみてください。言葉の意味を限定するのです。会話を曖昧なままで終わらせないことで、誤解を防ぐことが可能になります。

*** みなさんも、ぜひお伝えした方法を試してみてください。独りよがりなコミュニケーションに陥ることがなくなり、より良い信頼関係を築くことができるようになりますよ。

(参考) NIKKEI STYLE|あなたを「残念な人」にする「残念なひと言」とは PHP Online衆知|【ウザい話し方】話していて「疲れる人」「面倒くさい人」の口ぐせとは リクナビNEXTジャーナル|会話中に「やってはいけない」7つの態度 ITmediaエンタープライズ|「伝える」前に知ってほしい、「伝わる」コミュニケーション6つの前提 ハフィントンポスト|言葉とコミュニケーション—誤解を理解に近づける—

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