「仕事仕事!」と前のめりになりすぎて、毎日仕事のことしか考えていないという方。 一流と呼ばれる人ほど、仕事とは関係ない“どうでも良さそうな知識”のために、わざわざ時間を割いているとご存知ですか? 実は、その“どうでも良さそうな知識”とは、さまざまな知識で養われる心の豊かさ――「教養」のことなのです。さっそく説明しましょう。
いま “教養本” が売れている
政府の推進もあり、「リカレント教育(社会人の学びなおし)」という言葉をよく耳にするようになりました。元マイクロソフト日本法人社長の成毛眞氏によれば、その一方で“総合的な教養を学び直したい”というニーズも高まっているのだとか。
たとえば、デイヴィッド・S・キダー氏とノア・D・オッペンハイム氏が共著した、『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』は、アメリカでシリーズ累計100万部を突破したといいます。日本でも2018年4月に刊行され、話題になっているそう。
日本史や世界史、芸術やワインなどの教養本もよく売れているとのこと。なかでも、ワインビジネスの専門家である渡辺順子さんが著した『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』は、続々と重版されるほど好調な売れ行きなのだとか。
なぜ一流は「どうでも良さそうな知識」を仕入れるのか?
グローバルビジネスにけるコミュニケーションの場で、ワインの教養はとかく生かせる機会が多いと渡辺順子さんはいいます。そして、“ワイン”というひとつのテーマを入口に、歴史や地理、言語に科学、宗教や芸術、経済に投資へと、どんどん教養は広がっていくとのこと。
「自国の歴史を知らないと“教養がない”と見なされる」と語る、株式会社リンクCEOで人材育成コンサルタントの能町光香さんによれば、一流のリーダーほど、企業経営に関する学びを深めるだけではなく、「教養」を高める時間も大切にしているといいます。一流の人々がそうする理由について、同氏は、
なぜなら「教養」こそ、人としての「器」を大きくする、つまり、「人間力」を高めるために最も必要なものだと知っているからです。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|なぜ一流のリーダーは「教養」を重要視するのか | 秘書だけが知っている仕事ができる人、できない人 能町光香)
と述べています。
一流のリーダーではなくても、一般的なビジネスパーソンが、雑談やプレゼンテーションでふとしたところに教養がにじんだら、グンと期待値が高まるのではないでしょうか。教養の広がりに比例して、仕事も広がっていくはずです。
初心者はどう教養を身につける?
能町光香さんが、以前複数のリーダーに「教養」の身につけ方を尋ねたところ、以下の答えが返ってきたそうです。
・歴史小説を読み、実際に現場へ行って見る ・その道の大家に手紙を書き、会いに行って話を聞く ・興味のある本(ビジネス書以外のもの)を手あたり次第に読む ・偉人たちや成功者が描かれた映画を見る
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|なぜ一流のリーダーは「教養」を重要視するのか | 秘書だけが知っている仕事ができる人、できない人 能町光香)
このシンプルな内容を聞くと、教養を身につける方法は、熟練者も初心者もそう変わりないと考えてよさそうです。リーダーたちは日々忙しいにもかかわらず、移動中のすきま時間や、ある程度まとまった時間を確保できる休暇を利用して、さまざまな教養を身につけているそう。
仲間をつくって美術館や博物館に出向いたり、食を楽しんだりと、楽しみながら教養を養っていくのもいいですね。美術館のカフェ巡りなら、美味しくアートに触れらるでしょう。
教養を身につけたいなら「乱読」もおすすめ
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパンの会長兼パートナーである火浦俊彦氏は、リベラルアーツ(教養)を身につける方法のひとつとして、ランダムに本を読むことを挙げています。能町光香さんが話を聞いたリーダーたち同様、書店に出向いては、面白そうな本を手当たり次第に買うのだそう。
『思考の整理学』『乱読のセレンディピティ』で知られる外山滋比古氏も、「本があふれかえっているいまの時代、もっとも面白い読書法は乱読である」といいます。同氏が教える“乱読のコツ”は、以下のとおり。
・本をやみくもに、手当たり次第に買ってくる ・買った本で失敗しても構わない、恐れない ・ほんの軽い好奇心につられたら読む ・本は読み捨てて構わない
制作者が多くの時間をかけてリサーチし、あらゆる専門家が集まりつくられた、色々な種類の映画を観る「乱鑑」もおすすめです。
*** 一流が「人間力」を高めるために読み、足を運び、会話し、鑑賞し、食し、飲むことについて掘り下げました。ぜひ、楽しく教養を身につけてくださいね。
(参考) ダイヤモンド・オンライン|なぜ一流のリーダーは「教養」を重要視するのか | 秘書だけが知っている仕事ができる人、できない人 能町光香 文響社のプレスリリース|『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』33万部突破! HONZ|『日本史で学ぶ経済学』趣味としての教養で心豊かに NIKKEI STYLE|働き方・学び方|ワインもビジネスに必須の教養 プロが世界標準を指南 Study Hacker|セレンディピティが生まれる! 脳の編集力を強化する「乱読」の魅力