私たちを一番悩ませるもの。それは多くの場合、人間関係のはず。
「あのとき、ああ言えばよかった」
「なんでもっと上手な返答ができなかったんだろう」
と、コミュニケーション能力の低さに落ち込んだことはありませんか? そんなあなたに、コミュニケーション能力の向上に役立つ、楽しいゲームをご紹介します。
インプロゲームとは
「インプロ」という言葉を知っていますか? 英語で「即興」を意味する "improvisation" の略です。
インプロは、特に演劇の世界で使われます。台本に基づいて演じるのではなく、リアルタイムでセリフや動きを考えながら演じるのが、インプロです。
俳優養成所を運営する株式会社ASCEND FEATHERの代表取締役・別役慎司氏は、インプロを実践するメリットを次のように語っています。
「目に見える数値や理論にとらわれ、論理的な発想に縛られているビジネスパーソンの思考力を柔軟にし、『想定外』に強くなることができます。それにより、相手と感情に基づく、温かみのあるコミュニケーションを構築することができるようになります」
(引用元:まいにちdoda|デキる社会人は演技を学ぶ!? 話題の「インプロ」が仕事に役立つ5つの理由 太字による強調は編集部が施した)
ビジネスパーソンがインプロをやってみることで、コミュケーション能力を向上させられそうですね。
日常でもビジネスでも、コミュニケーションのほとんどは「即興」のはず。台本を暗記しているわけではありませんよね。
そのため、インプロのトレーニングを繰り返すことで、実際のコミュニケーションにおける「瞬時の切り返し」が上達すると考えられるのです。
そうはいっても、「即興演劇に挑戦しろ」というわけではありません。遊びの一環として複数人で楽しめる「インプロゲーム」をやってみましょう。
インプロゲームには多くの種類がありますが、ここでは4つを紹介します。
- あいうえお作文:ストーリーとしてつながるように、「あ」「い」「う」「え」「お」のそれぞれから始まるセリフを言っていく
- 最初と最後:最初と最後のセリフを決め、あいだのシーンを即興で演じる
- プレイブック:本を1冊用意する。一人は本に書いてあるセリフしか言えない。他のメンバーはそのセリフに合わせて演技を組み立てる
- スピットファイヤー:二人のうち一人がストーリーを語る。もう一人は話の合間に単語を投げかける。ストーリー担当は、その単語を取り入れて話を続ける
簡単にできそうなものも、難しそうなものもありますね。簡単なものから、家族や友だちに声をかけて挑戦してみましょう!
インプロゲームを実際にやってみよう
実際にインプロゲームをやってみると、どんな感じなのでしょうか?
「あいうえお作文」の例を見てみましょう。お題は「コンビニ強盗」です。
い:1万円しかレジにないぞ……
う:腕を上げたら、まさか撃たれないでしょ
え:えっ、ピストルをこっちに向けてる!
お:おっと、なんだ、ピストル型のおもちゃか
「あいうえお」のそれぞれで始まっていますし、内容が不自然ではありませんね。とはいえ、前の人のセリフに合わせ、一瞬で反応を返すには、かなりの機転と瞬発力が必要です。
インプロのコツは、恥ずかしがらずに全力で演じること。ノリノリでやっているうち、会話のちょっと先を見通したり自分を表現したりする能力が、自然と上がっていることに気づくはず。
インプロゲームを繰り返すことで、瞬発力や対応力、判断力などが育ち、コミュニケーション能力が鍛えられるでしょう。
インプロの黄金ルール「Yes, And」
一般社団法人・日本即興コメディ協会によると、インプロには「Yes, And」というゴールデンルールがあるそう(一般社団法人 日本即興コメディ協会|Yes, And(イエス・アンド)で心理的安全性を育むリーダーになる )。この「Yes, And」は、普段のコミュニケーションでも重要な考え方です。
インプロでは、他のメンバーが口にしたセリフやお題に合わせ、即座に反応を返します。たとえ「無茶ぶり」だと感じても、「別のやつにして」「その展開は無理だよ」とは言えません。
このように、相手が口にしたことをそのまま受け入れ、そのうえでストーリーを続けるのが、「Yes, And」の考え方です。
普段のコミュニケーションで、「いや」「でも」のような否定・反対の言葉が癖になっていませんか? 相手の言うことを常に肯定はできなくとも、このような言葉をしょっちゅう使っていると、相手を不快にさせたり、会話が止まったりしてしまいます。
いや・でもの代わりに「Yes, And」を意識してみましょう。たとえば……
「いや、そんなことなくない?」
↓
「○○って、最近人気らしいよ」
「へえ、そうなんだ。知らなかった」
つい否定したくなっても、いったん受け止めてみるといいでしょう。
「Yes, And」の精神は、会話を続けるのが苦手な人にもおすすめです。たとえば、「今度ご飯でも行こうよ」と言われ、本当は嬉しいのに「そうだね」だけで終えていませんか?
これでは相手も、「乗り気じゃないんだな」と思うのではないでしょうか。
「そうだね」
↓
「ご飯でも行こうよ」
「そうだね。居酒屋がいい? カフェ?」
このように、「Yes」で終わらせず「And」をつなげる癖をつけましょう。会話が弾み、人間関係がグッと深まるはずです。
***
インプロゲームはおもしろいだけでなく、コミュニケーション能力を育むのに役立つものです。「自然に会話できるようになりたい!」という方は、挑戦してみてはいかがでしょうか?
(参考)
まいにちdoda|デキる社会人は演技を学ぶ!? 話題の「インプロ」が仕事に役立つ5つの理由
放送作家 渡辺龍太(りょうた先生)のブログ|会議を効率化するインプロゲーム5種!発言が冴え渡ります
YouTube|【インプロTV13】再び★嵐に便乗!《最初と最後》に挑戦!
YouTube|まねきねこのインプロ プレイブック「楽屋」
YouTube|【インプロTV01】突然入る単語に対応!《スピットファイヤー》
一般社団法人 日本即興コメディ協会|Yes, And(イエス・アンド)で心理的安全性を育むリーダーになる
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STUDY HACKER 編集部
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