『教える技術』を習得せよ! リーダーは知っておきたい3つの基本 

後輩に仕事を任せたり指示したりする時、どうすればいいかお悩みの方は多いはずだ。

特に、後輩に仕事を指示することに慣れていない若手のビジネスパーソンにとっては、難しい問題だろう。例えば、初めて後輩を持つことになったり新人に業務を教えることになったりしたとき、自信がなくてしどろもどろになったことはないだろうか? あるいは逆に、「自分が新人の頃はこんなんじゃなかったのに」などと、後輩の出来の悪さに憤慨したことがある人もいるかもしれない。

ちょっと叱れば「パワハラだ」と騒がれ、数時間の残業で「ブラック企業だ」と糾弾される。自信のなさを露呈すればSNSで容易に批判される。こんな現代において、どのような姿勢で後輩と接するか、どの量の仕事を振れば適切か、引き継ぎでは何を伝えればいいか、先輩の側がしっかり考える必要があるのだ。

今回は、後輩に仕事を指示するとき、何をどのように伝えるべきか、どのような心構えでいるべきか、を考える。まだ後輩を持ったことのない人も、これから必ず、後輩や部下ができるはずだ。その時のために、一緒に考えてみてほしい。

相手の視点に立ってものごとを考える

まず考えるべきは、相手の視点に立つことだ。

後輩は何がわかっていないか、後輩に仕事を指示したらどんなことで困るだろうか、それをとことん考えてから仕事を振るようにしよう。

かのアインシュタインは、「6歳児に説明できなければ、理解したとはいえない」という言葉を残した。彼は「相対性理論」さえも、こんな風に噛み砕いて説明している。その理解力・説明力には舌を巻くばかりだ。

ある日アインシュタインが街中で小さな男の子に、「相対性理論って何なの、教えてよ!」と質問された。アインシュタインはにっこりと微笑み、こう答えたという。「もし君が、きれいな女の子と一時間並んで坐っていたとすれば、その一時間は一分のように思えるでしょう。しかし、もし君が熱いストーブのそばに一分間坐っていたら、その一分間は一時間のように感じるでしょう。これが相対性です。」

(引用元:Study Hacker|『6才児に説明できなければ、理解したとはいえない byアインシュタイン』を科学的に検証してみた

後輩が、先輩であるあなたからの指示内容を理解できないのだとしたら、それは後輩の理解力のせいではない。専門的な知識やノウハウを噛み砕けない、あなたの説明力に問題があるのだ。後輩の立場に立ち、自分の指示で十分理解させることができるか、真剣に考えよう。

「結果」ではなく「行動」ベースで指示を出す

あなたは、こんな風に指示を出していないだろうか?

「会議の議事録、書いてメールで送って!」 「来週までに報告書を仕上げておいて!」

これの何がいけないの? と思った方がいるかもしれない。しかし、これらの指示は、すべて「結果ベース」であることに気づいてほしい。議事録をまとめるのも、報告書を完成させるのも、全て結果。どのように進めるか、どのように実行するか、という過程や行動に関しては、何も言及がないのだ。

もし議事録をまとめてほしいのなら、「まずは会議中に発言者のログを取る。そして議題別に、特に取り上げられ議論が深まった発言を議事録に残す。さらに、次回の会議までのToDoが分かるように記す」というように、具体的な「行動ベース」で指示すべきなのだ。

行動科学の知見を元に組織マネジメントの方法論を教える石田淳氏は、結果だけに注目することの問題についてこう語っている。

結果だけを見る従来のマネジメントメソッドでは、目標を立てるときも行動には目を向けようとしない。(中略)目標を達成すると上司は褒めたり表彰したりするが、達成するまでのプロセスや行動について焦点を当てたマネジメントはあまり実践されていない。別の部署の助力があって達成できたのかもしれないし、経済状況が変化したことでたまたま達成できただけかもしれない。

(引用元:石田淳著(2007),『短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント』,ダイヤモンド社.)

あなたが後輩に指示を出すことになったら、結果や完成状態だけを伝えるのではなく、結果を出すまでの詳細な行動も、合わせて指示してあげよう。

行動ベースで指示を出すことによって、相手に伝わりやすくなるだけでなく、後輩は継続して同じ結果を生み出すことができるようになるはずだ。

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「背景と文脈」を徹底的に共有する

仕事において大切なのは「WHAT(何をやるか)」ではなく、「WHY(なぜやるか)」ということだ。

人は目的や目標がはっきりとしている時にやる気や使命感を感じるもの。ビジネスにおいても当然このことが当てはまる。これを示す有名な逸話に、「3人のレンガ積み」というものがある。

中世のとある町の建築現場で3人の男がレンガを積んでいた。 そこを通りかかった人が、男たちに「何をしているのか?」と尋ねた。 1人目の男は「レンガを積んでいる」と答えた。 2人目の男は「食うために働いているのさ」と言った。 3人目の男は明るく顔を上げてこう答えた。 「後世に残る町の大聖堂を造っているんだ!」と。

(引用元:ITmedia ビジネスオンライン|「目標」と「目的」の違い――あなたが働いている意味は何ですか?

「WHY(なぜやるか)」を把握している3人目のレンガ積みは、明るく意欲的に仕事に取り組んでいる。レンガ一つひとつを積む作業自体は退屈でつまらないかもしれないが、自分の仕事がどんな風に役立つのか考えるだけで、当事者意識がぐっと高まるのだ。

あなたが仕事を指示する相手に当事者意識を高めてもらうには、その仕事に共感してもらわなければならない。会社としてその仕事を進める意義は何か、どのような経緯で後輩に仕事を指示しているのか、後輩に何を期待しているのかを伝えることで、相手のやる気を引き出すことにつながる。

後輩が主体的に考え、仕事に取り組むことができるように、先輩であるあなたの側から働きかけてほしい。

(参考) Study Hacker|『6才児に説明できなければ、理解したとはいえない byアインシュタイン』を科学的に検証してみた 石田淳著(2007),『短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント』,ダイヤモンド社. ITmedia ビジネスオンライン|「目標」と「目的」の違い――あなたが働いている意味は何ですか?  Medium|ボトムアップ組織のマネジメントとは何なのか

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