自分に何が向いているかわからない? 松下村塾に学ぶ『なすべきこと』の見つけ方。

Alternative vs good girl

「わたしに何が向いているのかわからない。」 という悩みをよく聞きます。

自分にもっと向いているもの、何か別に得意なことがあるのではないかと考えてしまうのです。 一説によると、若い人で目的がはっきりしているひとはおよそ3分の1だそうです。残りの人達は、現状にモヤモヤとした気持ちを抱きつつ過ごしているということですね。

介護ロボットの分野で有名なサイバーダイン社の山海教授は、そういった悩みを抱える学生に「まず、元気のある、熱量の高い学生のそばに行きなさい。」とアドバイスするそうです。これには一体どんな意図があるのでしょうか。

badge_columns_1001711元気のある熱量の高い学生たちのそばにいくと何が起こるのか?

山海教授は、「元気のある学生のそばに行くと、その熱量に影響され、それまでモヤモヤと悩んでいた学生のエネルギー量があがってくる」と言います。ハングリーさ、根気強さが育まれチャレンジできるようになるそうです。

とても単純なことにも思えますが、その効果は見違えるほど。チャレンジできるようになると、好きなことや夢中になれること、得意なことを発見できるという訳ですね。

badge_columns_1001711なぜハングリーさが大切なのか?

著名なグローバルリーダーのひとりである藤井清孝氏によると、最近のシリコンバレーの起業家には東欧・ロシア・インド・中国などの移民系の人たちが多いとのこと。移民である彼らの、ハングリー精神や執着心が成功の要因となっているのです。

また、アメリカには、才能あるハングリーな若者をサポートしてビジネスを大きくするシステムがあります。例えば、写真投稿SNSのインスタグラムなどは、社員10名の時期におよそ1千億円の調達を果たしました。

一方日本にも、若者のハングリー精神を利用して活性化に成功した例があります。 それは、「大相撲」。近年活躍するモンゴル人力士は、その激しさ、ハングリーさ、熱量で角界を魅力ある場所にしてくれています。

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badge_columns_1001711松下村塾の「対話法」と「集団欲」

大河ドラマ「花燃ゆ」は、吉田松陰の松下村塾に集う幕末志士たちのお話。 身分や学問経験を問わず学ぶことができたその私塾から、明治維新を果たし、その後の日本を形づくった多くの偉人が輩出されました。

萩の片田舎の、どこにでもいそうな若者たちに、どうしてあんなにも大きなことができたのでしょうか。松下村塾では何が起こっていたのでしょうか。

「対話法」と「集団欲」というふたつの視点から考えてみたいと思います。

「対話法」とは、簡単にいうと、教え込むのではなく対話によって動機付けをさせること。 松陰は、「あなたは何のために生まれてきたのか」「あなたが人生で果たすべき役割は何か」と門下生に問い続けます。門下生それぞれの志を確認し、その上で「あなたの長所はこんなところだ。それを世の中にどう役立てるのだ。」と対話をしていくのです。 それは「指導」ではなく、ひとりひとりに深く考えさせるプロセスでした。前向きな気持ちを持ち、自信をつけることができるか、細かく気に掛けたそうです。いわば究極の「自己分析」をさせたのです。

対話法により、79名の門下生から2名の総理大臣、十数名の大臣を輩出します。

中でも、高杉晋作や伊藤博文は、維新の中心となる人材へと育てられました。その時の原動力は「集団欲」であったと、松陰神社の松田学芸顧問(90歳)はおっしゃっています。

よい集団の中にいれば、お互いに影響を与えあい、啓発し合い、勇気づけられます。これを「集団欲」といいます。

力が目覚めるとき。自分の中に眠り、まだ日の目をみない人望と才能。それを引き出してくれるのは、ほぼ例外なく自分の仲間になる人か、自分の師匠にあたる人物です。だからこそ、品格が高い人ほど、「誰と付き合うか」をいつも真剣に考え、激しく選んでいるのです。

引用 覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰  池田貴将

松陰の門下生は、自分が日本のために何をなすべきか、対話法を用いて問われました。 そんな門下生同士の「集団欲」によりエネルギーを満たされ、自信を深めていった塾生たちは、外国語もままならないまま、想いだけを胸に外遊します。 欧米列強に侵略されていしまった清国の轍を踏まないよう、軍備や社会制度を学んだのです。 そして彼らは、日本の明日のために幕府と戦う勢力の中心となっていきました。

*** いかがですか? 熱量の高い人のそばでみんな影響されたんですね。熱い夏に、熱い人たちを探してそばに行きましょう!

 

引用 覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰  池田貴将 グローバル・マインド 超一流の思考原理―日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか 単行本 – 2009/1/17藤井 清孝 (著)


東京大学文学部心理学科卒、サンダーバード大学MBA。国連やインテルなどグローバル企業で24年間勤務して、今年6月よりフリー。自己啓発書オタクで、学生時代からの35年間で千冊以上を読破。今も分析を続ける。グローバル変化の時代には学歴よりも学習歴が大事であることを実感。つくば在住。

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