「毎日、変化がなくてつまらない」「いつも悩んでばかりで行動に移せない」
このように停滞感を感じているのであれば、「ミーニング・ノート」を書いてみませんか?
私たちの心は毎日確実に動いています。
同僚の何気ない一言に胸が温かくなったり、電車で見かけた親子の会話に妙に心を揺さぶられたり...。
そんな「心の動き」を丁寧に拾い集めることで、いまの生活の中にも、実は確かな変化のきっかけが隠れているのかもしれません。
この記事では、日常のささやかな「心の動き」から変化を見つけ出す「ミーニングノート」という方法をご紹介します。
ミーニング・ノートとは
ミーニング・ノートは、株式会社ダイジョーブ代表取締役の山田智恵氏が発案したノート術で、ビジネスパーソンや学生のあいだで実践されています。具体的にはなにを書くのでしょうか。山田氏は以下のように述べています。
ウィークリー・ページに毎日3つのチャンスを書きます。
週末には、1週間分のチャンスを見返して、見つけ出したチャンスがどう繋がったのか、どんな意味があったのかを確認していきます。*1
日々の生活のなかから、自分にとってのチャンスを見いだし記録し続けることで、行動の糸口をつかみやすくなるというわけです。「チャンスといわれても、自分の生活にはそんなものはない」と感じる方もいるかもしれません。
山田氏によると、チャンスとは「心が動いた出来事」を指し、チャンスと聞いて多くの人が想像するような出来事だけではなく、ささいな出来事や、ネガティブな出来事も含みます。*1
ミーニング・ノートでは、これらのチャンスから「気づき」「学び」「決意」「良かったこと」「予感」のどれかを見つけ出し、書き出します。*2
たとえば、以下のように、日記の延長で学びをメモしていきます。
- 【出来事】○○さんが差し入れしてくれたお菓子がとてもおいしくて、社内で盛り上がった
- 【気づき・決意】いざというときに素敵な差し入れができるように、本当においしいものを選べるようになりたいと感じた。毎月お菓子の特集を読んで、気になるものを食べて記録してみよう
山田氏は、このように「瞬間的な感情や無意識の思考をそのままで終わらせず、意識的に価値や可能性を見つけ出すのが、意味づけスキル」であり、意味づけをして「価値・可能性を見つけると、行動が変わる」と語っています。*2
先ほどの例でいえば、「差し入れがおいしかった」で終わらせず、「おいしい差し入れができるのは素敵だな、そんな人になりたいな」という自分の思いを書き出し、そこにつながる小さな行動を書き留めています。
このように、出来事を掘り下げることで、いまの自分にできる行動が見つかるのです。
ミーニング・ノートはどんな人におすすめか
変化が欲しいがどうすればいいのかわからない人
「毎日が退屈だ」「変わりたいと思うけれど、きっかけがつかめない」
このような人に、ミーニング・ノートはおすすめです。ミーニング・ノートでは、日々のささいな出来事から得た学びを記録していきます。そうすることで、普段の生活を「どんな学びや気づきがあるだろう?」という視点で観察しながら過ごすようになるので、変化のきっかけをつかみやすくなるのです。
そのためには、一定期間記録を続け、振り返りを行なうことが大切。
そして、記録のなかに何度も出てくる事柄に注目してみましょう。たとえば、「仕事とゲームについてばかり書いている」ということに気づいたとします。変化が欲しいのであれば、このふたつ以外の要素を生活に取り入れればいいのです。記録することで、自分の注意がどこに向いているのかがわかるので、「ほかのことにも目を向けてみよう」と行動することができます。
また、複数の人に対して「あの人たちは、うまくやれていてうらやましい」と書いていたとします。そのことに気づいたら、一歩踏み込んで「この人たちがなにをうまくやれていることがうらやましいと感じたのか」を考え、共通点を洗い出してみましょう。
もしかしたら、仕事の成功でもライフステージの変化でもなく、自分の意思を貫きながらも、周囲から尊重されているという状況がうらやましいと感じているなど、根本的な部分が見えてくるかもしれません。
ノートに気づきを書くことで、「なんとなくまわりの人はうまくいっていて、自分は退屈な人生を歩んでいる」というモヤモヤの解像度を上げることができます。
いつまでも悩み続けてしまう人
「同じことについて、いつまでも悩んでしまう」という悩みをもつ方にも、ミーニング・ノートはおすすめです。このような方は、特に「よかったこと」を記録することを重視してみましょう。
脳内科医の加藤俊徳氏によると、感情を司る脳の部位は、左脳・右脳両方に存在し、それぞれ異なる働きをしています。両方のバランスが取れていることが、精神の安定につながるのですが、デジタル機器の普及により、「文字によるコミュニケーション」が主流となって左脳ばかり使われるようになってしまっているのです。*3
右脳にある、感情を司る部位を活性化させるには、「気持ちを表に出したり、いつもと違うことをしたりして感情を揺さぶる」ことがポイント。特に「自分をほめる日記を書く」のは効果があります。*3
ミーニング・ノートでよかったことを記録し続けるのは、まさに気持ちを綴ること。感情が揺さぶられることもあるでしょう。そうすれば、右脳が活性化し、脳のバランスが取れ、長期的に精神の安定が見込めるのではないでしょうか。
また、記録することで「同じことについて延々と悩み続けているな」と気づきやすくなります。気づくことさえできれば「一度そのことは忘れて、別のことに集中してみよう」「根が深いようなので、専門家に相談してみよう」など、意識して次の行動をとることができます。
もしかすると、悩みについての気づきを書き留めることで、意外なところに活路を見出せるかもしれません。
ミーニング・ノートを続けることで、悩み続けるループから抜け出すきっかけが生まれるのです。
実際にミーニング・ノートを1週間試してみた
実際に、筆者がミーニング・ノートに取り組んでみました。本来は毎日3つチャンスを書き出すのですが、なかなかチャンスが思いつかず、毎日1つだけ書き出すよう、簡略化しました。
一週間、自分にとってのチャンスを探し、そこから得た気づきや学びをノートに記録します。筆者は、1日の終わりだと思いつかないことが多かったので、気づいたらすぐスマートフォンにメモして、夜ノートに書き写すようにしました。
一週間後、学びを振り返り、今後行動に移したい学びには丸を、出来事につながりがあれば線を引きます。
特に平日は特筆すべきことがないと思っていたのですが、こうして俯瞰して見てみると、自分が偶然行なった行動が数珠つなぎのようにつながっているのがわかりました。
ミーニング・ノートを書くことで、自分では「変化のない毎日を送っている」「あまり行動できていない」と感じていても、じつは身近な出来事から気づきを得て、次の行動につなげられていることがよくわかり、自信がもてました。
「無意識でも、変化につながる行動をとれている」ことを認識できると、意識すればもっと変化が起こせるかもしれないという期待感につながり、行動力が増したように感じました。
また、「どんなことからも学びが得られる」と言うのは簡単ですが、それを実感するのは難しいものです。ミーニング・ノートを使って記録を続けると、日々の出来事に意味を見出しやすくなり、小さなチャンスに気づきやすくなると感じます。小さな変化やチャンスに気づくことは、ビジネスでの成功にもつながるはず。ビジネスパーソンのみなさんにもおすすめです。
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ミーニング・ノートは、日常の出来事をチャンスとしてとらえ、自己成長や目標達成をサポートする効果的な手法です。ぜひ、今日から始めてみてはいかがでしょうか。
※引用の太字は編集部が施した
*1 THE MEANING NOTE
*2 東洋経済オンライン|「人生いろいろ」価値ある出来事を見抜ける方法
*3 マイナビニュース|「悩みグセ」のある人は、『感情系脳番地』を徹底トレーニング! /脳内科医・加藤俊徳
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。