「ジャーナリング」に「パワーナップ」に。予定外の睡眠不足に打ち勝てる、3つの『睡眠ハック術』

「たくさん寝たほうがいいのは分かっている。だけど、睡眠時間をたっぷりとれるほどの余裕がない……」

忙しい現代社会で暮らす多くのビジネスパーソンにとって、睡眠を十分に取るのは難しいものではないでしょうか。

実は、睡眠時間と健康状態の関係性を調べた研究によると、6.5~7.4時間の睡眠が一番健康リスクが少ないという事が分かっています。この時間よりも短い睡眠が続くと、認知機能が低下し、心疾患などの発症率が上がるのだそう。一方別の調査によれば、日本のビジネスパーソンの平日の平均睡眠時間は、なんと約6時間。そして約7割もの人が6時間以下の睡眠で日々を過ごしています。

睡眠時間はたしかに減らすべきではではありません。しかし、睡眠に割り当てられる時間が多くない人がいるのも、また事実。そうした人にとっては、限られた時間の中でうまく眠気や疲れをコントロールすることが必要なのです

今回の記事では、睡眠不足にどう対処していくかについて、シチュエーション別に提案していきます。

ショートスリーパーにあなたもなれる?

様々な偉業を達成した歴史上の人物の才能は、しばしばその睡眠時間の短さと関連付けられます。その一人として有名なのは発明家のエジソンでしょう。彼は、「4時間以上の睡眠は怠惰でしかない。それ以上眠るとかえって気分が悪くなる」と語りました。

これを聞くとおそらく多くの人が、「自分ももしかしたら必要以上に寝ているだけで、睡眠時間を削ってバリバリ仕事をすることができるのかもしれない」と思うのではないでしょうか。しかし、これは実は正しくないというのが定説になりつつあります。

睡眠時間を決定する要因には、大きく分けて体質、環境、布団から出る気力の3つがあるとされます。このうち最も影響力が大きいのが、体質要因。一卵性双生児を比較した研究を通じて、必要な睡眠時間は遺伝によって6~7割ほどが決まっている、ということが明らかになったのです。

つまり、睡眠時間を削るべきでない体質の人の場合、無理に睡眠時間を短くしてしまってはいけないということ。やはり、「短い睡眠でも大丈夫」などと自分を過信せず、しっかり眠ったほうがよさそうです。

睡眠時間が足りないときの、シーン別睡眠施策

たくさん寝たほうがよいのはわかっても、どうしても睡眠不足にならざるを得ないこともあるでしょう。そういう時は、次に紹介するような、睡眠不足に打ち勝つ方法を試してみてください。

1. 分割睡眠

仕事がなかなか片付かず、夜遅くまでかかってしまった。または、海外の本社や取引先との電話会議があり、時差の関係でまとまった時間が取れない。そんな時に活用したいのが、分割睡眠という方法です。

分割睡眠とは、その名の通り、睡眠を何回かに分けて取り、元気になるのに必要な睡眠時間を確保するというもので、ヨットの外洋横断レースの選手がよく利用する方法だそう。外洋横断レースでは、海という常に状況が変化する環境で、非常に長い時間集中を保つことが求められます。参加する選手は各々の方法でレース中に睡眠をとるのですが、結果が平均して一番よかったのが、短い睡眠を多く取った選手たちだったのだそうです。

このことより、睡眠が不足せざるを得ない状況であっても、細切れに睡眠を取ることで、パフォーマンスの極端な低下を防げるという事が示唆されます。

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2. 心のストレスを取り除く

まとまった睡眠がとれないとき、気になっていることがあり寝付けないということはありませんか。例えば、忙しい時期に少し長めの睡眠がとれる日があるものの、仕事のことが気になりなかなか眠れない。ようやく眠りについても眠りが浅く、翌朝ひどい気分で目覚める……。

そんな心のストレスによる睡眠不足は、紙とペンを使うことによって解決できるかもしれません。

1つは、自分の悩みを徹底的に書き出す「ジャーナリング」という方法です。気になっていること、悩んでいることがあるのであれば、紙にそれをひたすら書き出してみましょう。自分の悩みを客観的に見られるようになり、不思議と心に余裕が生まれますよ。落ち着いた気持ちで眠ることができるでしょう。(ジャーナリングについて、詳しくはこちら→StudyHacker|嫌なことを書きまくれ! 『ジャーナリング』でストレスから解放されよう

そしてもう1つ試したいのが、「ToDoリストを作る」というものです。終わっていない仕事のことが気になってしまうとき、心理学でいうツァイガルニク効果が働いているとされます(ツァイガルニク効果とは、未完のままの物事に対して強い印象を抱いてしまう心理現象のこと)。まだ片付いていない仕事があるときは、仕事をリストアップしていつまでにそれを終わらせるのかを紙などに記してみましょう。紙に計画を書き出すことで「自分のやることはこれだけ」と理解できれば、不思議と脳はストレスから解放されるでしょう

3. パワーナップ

あまりに忙しいために、どうしても睡眠時間自体が取れない。そのようなとき試したいのが、パワーナップという方法です。

パワーナップとは、仕事のパフォーマンスを上げることを目的におこなう昼寝のこと。午後の仕事のパフォーマンスを向上させるために昼寝を推奨する企業もあるほど、近年注目されています。

昼間にたった15分程度寝るだけで、眠気から回復できるのはもちろんのこと、睡眠不足に基づくパフォーマンスの低下は劇的に改善します。これにカフェインによる覚醒効果を組み合わせればなお良し。昼寝の前にコーヒーを淹れて飲み、飲んですぐに昼寝を開始してみてください。カフェインはおよそ30分後に効きはじめますので、昼寝の後すっきりと目覚めることができるでしょう。

昼寝とカフェインを組み合わせることで、睡眠不足が続いていてもすっきりした気分になることができるのです。

*** 睡眠が不足しがちな状況でも、ある程度パフォーマンスを保つことはできるということを今回の記事では紹介しました。しかしながら、睡眠不足があまりに長期的に続くと睡眠負債が蓄積し、心身の不調を招きます。くれぐれも無理はなさらないようにしてください。

(参考) フミナーズ|【分割睡眠とは】長く眠らなくても大丈夫なワケ|医師監修 STUDY HACKER|嫌なことを書きまくれ! 『ジャーナリング』でストレスから解放されよう  NIKKEI STYLE|遺伝と環境 睡眠時間の長さを決めるのはどっち NIKKEI STYLE|「昼寝20分」 働き方改革 午後の仕事、効率アップ NIKKEI STYLE|8時間より7時間のほうが長生き 快眠の新常識 PR TIMES|テンピュール・シーリーが「ビジネスパーソンに聞く、睡眠ライフスタイル調査」を実施 brainpickings|Thomas Edison, Power-Napper: The Great Inventor on Sleep and Success 日経ウーマンオンライン|タスク管理するとどんないいことがあるのか?

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