「ブレスト」なんてもう時代遅れ。Google式「クレイジー8」で本当にすごいアイデアが生み出せる理由

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「メンバーのアイデアをうまく活用して生産効率を上げられるようになりたい......」
「会議で話し合っても、なかなか新奇性のあるアイデアが思いつかない......」
社内プロジェクトや同僚とのミーティングなどで、よいアイデアを効率的に出せないと悩んでいる人はいませんか?

従来の方法「ブレインストーミング」でアイデアを模索しようとするのは、もう時代遅れかもしれません。この記事では、時代の最先端を行く企業Googleで実践される手法「クレイジー8」をご紹介します。

「ブレスト」はもう時代遅れ?

これまで、ブレインストーミング(以下、ブレスト)はアイデア創出に有効だとされてきました。ブレストとは、ふせんなどを使って複数人で自由にアイデアを出し合いながらお互いの発想を刺激することで、ひとりでは思いつかない独創的なアイデアを生み出す方法です。

しかし、早稲田大学大学院経営管理研究科教授の入山章栄氏によると、ブレストはじつは非効率であるということが、研究で明らかにされているのだそう。シラキュース大学のブライアン・ミューレン氏らが、ブレストに関する18本の実証研究結果を集計し分析したところ、「複数人で顔を合わせてブレストを行なうグループ」よりも「複数人が個別にアイデアを出すグループ」のほうが、より多くかつ質の高いアイデアを生み出せる傾向にあることがわかったのだとか。

従来のブレストが非効率である理由を、入山氏は2点挙げています。まずひとつめは、会議に参加しているほかのメンバーの存在に気兼ねしてしまうこと。自由に発言してよいと言われたとしても、やはりほかの人からの評価を気にしてしまうため、どうしても消極的になってしまうのです。

そしてふたつめが、複数人で話していると思考停止しやすくなってしまうこと。ほかの人が述べている意見に耳を傾けることで、自分の思考が遮られてしまう場合があるのです。「さっきまで何を考えていたんだっけ」という具合に考えが途切れると、よいアイデアにつながるきっかけが失われてしまいかねません。

以上のことから、ブレストは独創的なアイデアを生み出すには非効率であり、“時代遅れ” の手法だと言えるのです。

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アイデアを効率的に生み出すGoogle式「クレイジー8」

ブレストが時代遅れとなれば、何が代わりになるのでしょうか。それは、Google式「クレイジー8」です。クレイジー8とは、1つのアイデアから8つのバリエーションを考え出すエクササイズのこと。MITとハーバードビジネススクールのゲスト講師でありデザイナーのジェイク・ナップ氏が、Googleで勤務していた時期に編み出しました。ナップ氏が提唱する、仕事を最速で回す「スプリント(※)」という仕事術のうち、アイデア創出のステップにあたるものです。(※スプリントでは製品などのデザインから試作品のテストまでを1週間という速さで行なう)

スプリントにおける、クレイジー8を含むアイデア検討の一連の手順は次のとおり。

  1. 課題解決の参考になる情報を集め、ひとり3分ずつプレゼンする
  2. ほかのメンバーのプレゼンを聞いたあと、アイデアを「ひとりで」練り、8つのマスに各1分で書く
  3. 各メンバーのソリューションを匿名で批評・検討し、ベストを決める

ブレストと大きく違うのはステップ2です。メンバー全員で一緒にアイデアを考えず、ひとりでアイデアを練ります。ナップ氏によれば、各自で取り組んだほうが、最良のアイデアを得られるのだそうです。

では、詳しい進め方について具体例とともにご紹介しましょう。

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クリエイティブなアイデアの創出方法

1. 課題解決の参考になる情報を集め、ひとり3分ずつプレゼンする

例として、文房具の新商品開発プロジェクトにおいてアイデアを検討していくとしましょう。まずは、アイデア創出の参考になりそうな情報を収集。全員がそれを終えたら、ひとり3分のもち時間で、その時点での案をプレゼンします。

  • 修正液を使わずにボールペンのインクを消せる
  • 変わった形の線を引ける
  • 折り畳んで小さく収納できる

などですね。プレゼンを聞いているあいだは、自分のアイデアに活かせそうな情報をしっかりとメモしておきます。

2. ほかのメンバーのプレゼンを聞いたあと、アイデアを「ひとりで」練り、8つのマスに各1分で書く

次は、クレイジー8のメインとなるステップです。

A4用紙の長辺を2回、短辺を1回折り、8つのマスをつくってください。そして自分が集めた情報やほかのメンバーから聞いた情報に基づいて、メンバーそれぞれが「個別に」アイデアを8つ考え、それぞれのマスへ書いていきます。このとき、1つめのマスに書いたアイデアを出発点に、全部で8つになるまでアイデアを膨らませましょう。ここで重要なのは「ひとつのマスにつき1分」で書くこと。1分という超短時間でアイデアを捻出することから、“クレイジー” と呼ばれているのです。

  • 消しゴムで消せるため、修正液が不要
  • 四角で囲うため、文字にラインがかからず見やすさを保てる
  • ペンを持ったときに伝わる静電気を防止する
  • マーカーの色をカスタマイズできるようにする etc.

といったようなアイデアを、わかりやすい言葉や簡単な絵を使いながら、下の例のようにして8つのマスに書き込みます。

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3. 各メンバーのソリューションを匿名で批評・検討し、ベストを決める

最後のステップでは、考えたアイデアを「匿名」で共有し、メンバー間で批評します。8つのうちいくつかのアイデアを選んで共有しても、すべてを共有してもかまいません。匿名で批評することで、メンバーの自由な発言が促され、最高のアイデアが生まれる可能性が高くなります。

上の例であれば、ある人の「消しゴムで消せるインク」というアイデアに対し、「こすると消えるボールペンはすでにあるため、インクを消しゴムで消せてもあまり顧客へのアピールにはならない」といった正直な批評が出てくるかもしれません。

このように批評しながら、メンバーそれぞれのアイデアを全員でひとつひとつ検討していくことで、最終的にオリジナルでクリエイティブなアイデアに至ることができるというわけです。従来のブレストとは違い、クレイジー8なら発言時の気兼ねも思考停止もなくプロセスを進められますよ。

***
Google式「クレイジー8」を実践すれば、効率的によりよいアイデアへたどり着けます。これまでブレストがうまくいっていなかったビジネスパーソンの方は、ぜひ参考にしてみてください。

(参考)
日経ビジネス電子版|「ブレスト」のアイデア出しは、実は効率が悪い!
ダイヤモンド・オンライン|グーグル式仕事術「スプリント」を今すぐあなたがやるべき理由
ダイヤモンド・オンライン|グーグル式仕事術が「ブレスト」を嫌悪する理由

【ライタープロフィール】
YOTA
大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。

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