「本当に頭のいい人」がしている3つの思考習慣。あなたの頭のなかとは “ここ” が違う

本当に頭のいい人の思考習慣

「頭のいい人になるにはどうしたらいいのだろう?」
「成功している人とそうでない人にはどんな違いがあるのだろう?」

今回はそんな疑問にお答えします。

「本当に頭のいい人」たちは、日々どんなことを考えているのでしょう。成功しているコンサルタント、経営者、脳科学者、哲学者、心理学者などが提唱する「考え方」をご紹介します。

1. 本当に頭のいい人は「自分がいかにわかっていないか」を自覚している

「私は生きている人間の中で最も賢い人間だ、なぜなら私は自分が何も知らないことを知っているから」

これは、古代ギリシアの哲学者プラトンの有名な言葉です。プラトンは「無知の知」を提唱したソクラテスの弟子としても知られています。無知の知とは「自分が無知であることを知っている(自覚している)ことが重要だ」という意味。

ビジネスコンサルタントの細谷功氏も「知らないこと」よりも「知らないことを知らないこと」のほうが罪深い、と述べています。細谷氏いわく、自分がどれくらいわかっていないのかを自覚するための手段のひとつは、「常に自責であること」

仕事でも日常生活でも、うまくいかないことがあったときに他人や環境のせいにするのは簡単ですが、それは思考停止とも言えます。一方で、常に自責である人は「学ぶべきは自分」「どうすればいいか考えよう」と前向きに知識を得ようとするもの。上司に提案した企画が通らなかったときに、「上司は別の案を気に入ったのだから仕方がない」と考えるか、「自分の企画に欠けていたところはどこだろう」と考えるか。成長していくのは、言うまでもなく後者ですよね。

「自分はたくさん知っている」とおごらずに「自分は知らないことのほうが圧倒的に多い、だから学びたい」と知に対して謙虚かつ貪欲である人が、結果的に頭のいい人になっていくのです。

「本当に頭のいい人」は日頃何を考えているのか?02

2. 本当に頭のいい人は、目的や合理性にこだわらない

社会人として忙しい日々を過ごしていると「常に合理的に動き、無駄なことはしたくない」と考えるかもしれません。しかし、頭のいい人は、一見無駄のように思えることも切り捨てずに熱中する傾向にあります。

たとえばスティーブ・ジョブズが生み出したMacは、発売当初、ほかのコンピューターにはなかった美しいフォントが画期的でした。じつはその10年前、ジョブズは通っていたリード大学を退学したものの、こっそりカリグラフィー(文字を美しく見せるための手法)の授業に潜り込んでいたのだそう。それが、のちに革命的な商品を生み出すヒントになったとのこと。

ジョブズは、1997年にWIREDのインタビューで、クリエイティビティについて次のように語っています。

Creativity is just connecting things. When you ask creative people how they did something, they feel a little guilty because they didn't really do it, they just saw something. It seemed obvious to them after a while. That's because they were able to connect experiences they've had and synthesize new things. And the reason they were able to do that was that they've had more experiences or they have thought more about their experiences than other people.

(クリエイティビティは点と点をつなげるだけのこと。クリエイティブな人が「どうやってアイディアを生み出したのか」と質問されると、みな少し後ろめたい気持ちになる。別に生み出したわけではなく、単純にいろいろなものを見て、経験してきたことをつなげただけ。なぜ斬新な発想ができたのかというと、経験が多かったか、もしくはほかの人たちよりも経験したことについて深く考えたから

(引用元:WIRED|Steve Jobs: The Next Insanely Great Thing ※カッコ内の和訳は筆者が補った)

アイディアは、空から降ってくるわけではありません。天才と呼ばれる人たちは、とにかく行動し、経験を通して斬新な発想を生んでいるということ。そこに、目的や合理性へのこだわりはないのです。

脳科学者の茂木健一郎氏いわく、革新的なアイディアの源となる「セレンディピティ(偶然の幸運)」を生み出すには、以下の3つのAのサイクルを回すことが重要なのだそう。

  • アクション(Action):何かをやっていること
  • アウェアネス(Awareness):周辺で起きていることに意識を向けること、視野を狭くせずに全体をやわらかく見ること
  • アクセプタンス(Acceptance):受容すること、いままでの成功体験にこだわらず新しい価値観も受け入れること

本当に頭のいい人は、「これはなんの役に立つのだろう?」「こんなことをしても無駄かもしれないな」などと考えすぎることはしません。足踏みしていては、何も生まれないからです。

ですから、みなさんもまずはアクションを起こしましょう。本屋に行って気になった本を手に取ってみる、散歩をしながら景色を観察する、新しいことを勉強する……など、なんでもいいのです。少しでも興味のあることや、苦ではないことを選び、経験を増やしてはどうでしょうか。

「本当に頭のいい人」は日頃何を考えているのか?03

3. 本当に頭のいい人は、失敗を怖いことだとは思わない

本当に頭のいい人は、いつでも勇気を出して一歩前に踏み出し、挑戦を続けます。それは、失敗するほど成功する確率が上がることを知っているからです。

心理学者スーザン・ジェファーズ氏は35か国語に翻訳されたベストセラー著書『Feel the Fear . . . and Do It Anyway』のなかで、「生きて成長している限りは、不安は消えないけれど、無力感から生まれてくる不安とともに生きるより、不安の壁を打ち破るほうがずっと怖くない」と述べています。

また同氏は、「失敗」という言葉に否定的。結果がたとえ望ましくないものであったとしても、そこからは学ぶことができるのだから、その結果は決して失敗ではないと言います。つまり、挑戦したぶんだけ成功に近づけるということなのです。

このことは、多くの数学者が研究を重ねて証明してきた「Law of large numbers(大数の法則)」という考え方によっても説明ができます。これは「何かを行なった回数が多ければ多いほど、予期した結果に近づく」という法則のこと。

たとえば、あなたが営業の仕事をしているとしましょう。ある商品を買いたがる人が全人口の1%だった場合、20人に声をかけただけでは、買ってくれる人を見つけるのは困難です。しかし、200人に声をかければ2人くらいは買ってくれると考えられます。最初の20人に拒絶されることで心折れてしまう人には、結果は出せませんよね。また、全人口の5%が「本当はいらないけれど、営業次第ではつい買ってしまう」タイプだった場合、200人に声をかけているうちに営業の実力が上がり、1%だった想定結果が5%に上がるかもしれません。行動した数だけ、成功の可能性が高まるのです。

これはどんなことにも言えること。就職活動中の人なら、応募した会社の数が多いほうが、自分を必要とする企業にめぐり合える確率は上がるでしょう。デザイナーなら、作品を1件でも多く売り込んだほうが、選ばれる可能性は上がっていくものです。

頭のいい人でも、拒絶されたら傷つきますし、怖い気持ちもあるはず。それでも、行動し続けられるのは、挑戦の数だけ経験値が上がり、成功する確率も上がっていくことを知っているからです。

***
「成長したい」「頭のいい人になりたい」という願いのある人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

(参考)
Ladders News|Highly intelligent people do these 8 things differently
ダイヤモンド・オンライン|「無知の知」を知っていますか?
WIRED|Steve Jobs: The Next Insanely Great Thing
The New York Times|Rev. Robert Palladino, Scribe Who Shaped Apple’s Fonts, Dies at 83
YouTube|Steve Jobs' 2005 Stanford Commencement Address
GLOBIS 知見録|イノベーションの源泉「偶然の幸運」を引き寄せる3つのAとは?~茂木健一郎ダイジェスト(2)
茂木健一郎(2009),『セレンディピティの時代 偶然の幸運に出会う方法』, 講談社文庫.
Susan Jeffers (2006), Feel the Fear . . . and Do It Anyway, New York, Ballantine Books.
Investopedia|Law Of Large Numbers
Wikipedia|Law of large numbers

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