「やらなければならないことがあるのに、つい怠けてしまう……」
「TO DOリストを作っても、結局その通りに進められない……」
このように、タイムマネジメントが苦手な方は、多いのではないでしょうか?
時間の管理は、ビジネスパーソンや学生にとって必須とも言えるスキル。しかし、怠けたい気持ちに打ち勝つのはなかなか難しいですよね。
今回ご紹介するのは、「やらなければならないことを思うように進められない」という方にぜひ試していただきたい「未来日記」です。一体どのようなものなのでしょうか? 実際に、筆者が1週間「未来日記」を試してみました。
未来日記とは?
「未来日記」は、「1日のはじめに、今日するべき事柄を日記形式で書き出す」というものです。手帳にスケジュールを書くこととの違いは、“これからする予定の事柄を「〜〜した」と過去形で書く”という点。
未来日記は、脳の「自分の中で一度事実としたことを守ろうとする」習性を利用したものです。社会心理学ではこれを「認知的不協和」と呼びます。
認知的不協和とは、人が2つ以上の矛盾する認知を同時に抱えた際に覚える不快感のこと。人は、この不快感を解消するために、自身の態度や行動を変更する習性があるのです。
そのため、未来日記に「既に起きた事実」として書いた内容は、本当に事実になるように脳が働き、ただスケジュールやTO DOリストを書くよりも実現されやすくなります。これを勉強や仕事に生かせば、「やるべきことが終わらなかった」という事態を防ぐことができるでしょう。
未来日記の書き方
未来日記の具体的な書き方は以下の通りです。
●やるべきことのリストアップ
1日のはじめに、今日やるべきことを書き出しましょう。このとき、今日やるべきことを具体的に確認していきます。やるべきことを確認し、書き出すことで、今日やる必要のないことも明確になりますよね。不要なことに中途半端に取り掛かって、今日やるべきことが終わらないという状態を防ぐ効果もあります。
●スケジューリング
今日中にやるべきことを決めたら、それぞれの作業時間を決めましょう。内容や分量をよく考え、必要な時間を計算します。
●未来日記の記入
上記をノートに書き込みます。コツは、日記を書くのと同じように過去形で書くこと。「資料を作る」「●●さんに連絡」などTODOリストのような書き方にしてしまうと、強制力も弱くなってしまいます。事前に既成事実として書いてしまうことで、やらなきゃいけないという思いを強くすることが大切。「資料を作り終えた」「●●さんに連絡した」のように断定的に書くのです。
未来日記を書いてみた
本当に、未来日記を書くだけで予定通りの行動ができるのでしょうか? 実際に筆者が1週間(平日のみ)、1日のスタート時に未来日記を書いて行動してみました。 未来日記に記入した1日と、実際に過ごした1日、どちらもご紹介します。
1日目〜2日目
1日目(7月12日):急用が入ったためジムには行けなかったのですが、それ以外は予定通りに進みました。郵便局などの雑務はついつい後回しにしてしまうのですが、予定に組み込むことですぐにこなすことができ助かります。
2日目(7月15日):予定をあまり詰め込まなかったので、日記通りのスケジュールを滞りなく進められました。
3日目〜4日目
3日目(7月16日):病院が長引いたため、予定が後ろ倒しになり、ジムへは行かないことに。やるべきことが多かったのですが、あらかじめ未来日記でシュミレーションができていたので、ジム以外は達成することができました。
4日目(7月17日):休憩の時間をスケジュールに入れ忘れていたため、20時からの資格勉強はせずに、昨日行けなかったジムへ行きました。
5日目〜6日目
5日目(7月18日):夜の読書の時間のみ少しずれてしまいましたが、それ以外のスケジュールは計画通りに進みました。未来日記に慣れてきたのか、ちょうど良いスケジューリングができるようになってきたと感じます。最近取りかかれていなかった趣味の読書をスケジュールに入れることができたのも嬉しいです。これから習慣にしたいと思います。
6日目(7月19日):予定通りに進みました。
実際にやってみた感想
今まで、資格の勉強を忘れてしまったり怠けてしまうことが多かったのですが、未来日記を書いたことで、既に未来が確定したように感じ、自然と机に向かうことができました。さらに、1週間の終わりに日記を振り返ると、勉強時間の合計も確認できるため、達成感が得られ、モチベーションが上がります。
緊急の用事で計画通りにならないこともありましたが、紙に書いてあることで「今日できなかったこと」が明確になり、焦ることはありませんでした。細かいTODOに関しては、1週間単位で調整すれば良いのではないでしょうか。例えば、資格の勉強ができなかった日があれば、翌日に時間を長めにとって調整するなどが良いでしょう。
タスクをこなすことが容易になる点のほか、後から見返したときに、「どれほどのことができたか・できなかったか」が、明確になるのも未来日記のメリットだと感じます。
それを生かして翌日以降の計画も立てられるため、タスクを取りこぼすことなく達成できます。また、「未来日記を書く」という行為によって、その日にやることを一度シミレーションできたため、1日の流れをスムーズに進めることができました。
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「やらなければならないことを思うように進められない」「ついつい怠けてしまう」という方は、ぜひ未来日記を試してみてくださいね。
(参考)
NIKKEI STYLE|不都合な事実は都合良く解釈 なぜ職場は問題を先送り
藤沢優月著(2011), 『未来日記 心の中の本当のあなたと出会う日記』, 武田ランダムハウスジャパン.
佐藤富雄著(2003), 『あなたの夢をかなえる「未来日記」 “思い通りの人生”を手に入れる14日間トレーニング』, PHP研究所.
小林惠智著(2002), 『一日5分奇跡を起こす4行日記―成功者になる!「未来日記」のつくり方』, オーエス出版.
【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。