ここ何回かにわたり、「手書きで想いを伝えること」をご紹介してきました。メールやLINEのスタンプだけで簡単に気持ちを伝えることができる今だからこそ、送る相手を思い浮かべながら便箋を選び、切手を貼って出すというその手間が、とても心の通う行為に思えます。 古くからの文化である「文(ふみ)をしたためる」ことに焦点をあて、2015年6月にワンフロア全てを手紙コーナーにリニューアルした、銀座・伊東屋を訪ねました。
今回うかがったのは、2階の『SHARE』。紹介にはこのように書かれています。
「感謝と喜びを伝える。人とのつながりをかたちにする場所。おすすめの便箋や封筒・はがきなど、手紙のまわりの品々はもちろん、郵送することができるプチギフトや慶弔品などを揃えました。Write&Postでは銀座通郵便局の協力のもと、購入した便箋で手紙をその場で書き、伊東屋オリジナルデザイン切手を貼って投函することができます」 <Write&Post> 想いをすぐに伝えたいから。お買い上げいただいたはがきや便箋に、その場で手紙を書いて店内のポストに投函できます。筆記具の貸出もいたします。
引用元 伊東屋ホームページ
フロアに美しく並べられているのは、便箋封筒だけでおよそ1,500種類。季節のデザインのものから外国人に喜ばれそうな和風柄、「手紙初心者はこれを使えば間違いない」という定番のものまで、用途もデザインも実にさまざま。
「最近の若い人は、『手紙を書いたのは、就職活動のお礼状が初めてだった』というくらい手紙に馴染みがないので、書き方の本やサンプルを多く置いています」(銀座・伊東屋 広報 市原美子さん)というだけあり、ほとんどの便箋には文例が添えられています。各メーカーさんによる手書きの文例は微笑ましく、見ているだけでこちらが幸せな気分になるほど。改めて「手紙って、もらったら嬉しいんだな」と感じます。
手紙よりもっと手軽に送れるカード類も豊富。子供向けのポップなバースデーカードから海外に送るのにぴったりな和風デザインのカード、ぜひ使って欲しいというたくさんの種類の「Thank youカード」など。日常使いができる手のひらサイズのカードには、なんと各都道府県のご当地アイテムも。ついクスッとしてしまう可愛らしさです。
また銀座・伊東屋では「書くこと」にも力を入れていて、「手紙を書く時にはぜひ万年筆を使って欲しい」と、高級万年筆はもちろん、一本千円ほどの初心者向けのものまでさまざまな種類を取り扱っています。「書いてみると字が全然違うんですよ」(市原さん)と言う通り、筆圧がしっかりと伝わるため“止め”や“はらい”などの感覚がボールペンとは全く違います。それでいて余計な力は必要のない書きやすさに、驚かされました。
もう一つ、「書くアイテム」として力を入れているのがガラスペン。なんと美しいアイテムなのでしょうか。
インクの瓶にペン先を入れてインクをつけながら書いていきます。ペン先の溝にインクをためておけるため、はがき1枚くらいなら一度瓶につけただけで書き上げられるそうです。お値段も、見た目の印象よりはとても手頃で、贈り物にもぴったり。こんなに素敵なアイテムで手紙を書くなんて、それだけで非日常の喜びを感じられそうですね。
筆記具の貸出もしてくれるので、お気に入りの便箋やカードを見つけたらお好きなペンを借りて、あとは銀座を行き交う人々を眺めながら心をこめて手紙を書くだけ。普段は浮かんでこないような感謝の気持ちや「伝えたい」という気持ちがあふれてきそうですね。
最後は、伊東屋オリジナルの切手を貼りポストに投函すれば、あなたの気持は数日後にはしっかり届けられます。銀座の新しい過ごし方として、ゆっくり時間をかけて文をしたためてみてはいかがでしょうか。