「スキルはある」のに「評価してもらえない」人の特徴3つ。話すときの “あの癖” はかなりマズい

スキルはあるのに誤解されやすい・評価されにくい人の特徴01

「社会人経験を積み、スキルが高くなってきたと実感する」
「個人での実績を着実に出しているし、自信もついてきた」
——なのに、それほどいい評価は得られていない……。

実力はあるはずなのに、「上司や同僚などから十分に認められていない」と感じてしまうのは、あなたが誤解を生む言動をしているせいかもしれません。

今回は、スキルはあるのに誤解されやすく、評価してもらえない人の特徴を3つ取りあげます。思い当たる点がないか、ご確認ください。

1.「正論」を鋭く言いがち

たとえ正論でもストレートすぎる言い方をすると、評価してもらえなくなるかもしれません。

株式会社クレディセゾン取締役の小野和俊氏は、「何かを変えようと思うなら、正論を振りかざすのはNG」だと言います。

こんなシーンを思い浮かべてみてください。

――対面での会議を好む上司に対してあなたが、「対面での会議は非効率です。オンラインを導入すべきですよ」と、会議のデジタル化を主張する――

このようなコミュニケーションは、相手の考えを完全に無視している点と、言い方が強すぎる点でNG。仮に意見が通ったとしても、上司や周囲はあなたに対し不快感を抱き、「今度からあの人の意見には賛成したくない」と思いかねません。いくらあなたが、知識や実力のある人材であったとしてもです。

スキルはあるのに誤解されやすい・評価されにくい人の特徴02

株式会社グロービスで論理思考系科目の講師経験がある御代貴子氏によると、正論を突きつけて相手を追い詰めることを「ロジカルハラスメント」と呼ぶのだそう。

ただし意見を論理的に述べること自体は、ハラスメントではありません。むしろ論理的な意見は、ビジネスコミュニケーションを円滑にするうえで重要なもの。問題なのは、相手の感情や状況に配慮せず、正論で圧力をかけることなのです。

たとえば、後輩から対人関係の悩みを相談されたとき、「要するにあなたの問題点は頼みを断れないことでしょ。アサーティブに断れば解決する」などと言ったらどうなるでしょう? 後輩はあなたの話を頭では理解できても、「そう簡単には……」と感情面では納得しないかもしれません。

御代氏によれば、会話をする前提条件は「相手の感情を否定しない」こと。正論を述べる前に、相手の立場や感情を想像してみてください。「あなたはそう考えているのですね」と理解した態度を示すように心がけましょう。

スキルはあるのに誤解されやすい・評価されにくい人の特徴03

 

2.「批判」する癖がある

自分に自信があるがゆえ、「部下は何かと問題が多くて困る」「上司は本当に融通が利かないよな」などと人を批判する癖がある人は、周囲から「面倒くさい人」だと認定されてしまう――心理カウンセラーの石原加受子氏は、こう指摘しています。

もちろん、部下が行なった業務へのフィードバックや、改善が目的の建設的な批判であれば、問題ないことも多いでしょう。

注意が必要だと石原氏が言うのは、仕事とは関係のないダメ出し。たとえば、同僚のSNS投稿を見て「もっとこうしたらいいのに」などと、本人の前であら探しをするような行動が、それに当てはまります。

スキルはあるのに誤解されやすい・評価されにくい人の特徴04

では仕事上のダメ出しであればどう行なってもよいかと言うと、そうではありません。ぜひ知っておきたいのが、「本人のいないところで批判する」という行為には大きなリスクがあるということ。

産業・組織心理学者の山浦一保氏が、社会人300名を対象に実施した調査があります。それによれば、「職場での信頼関係崩壊を経験したことがある」と答えた194名が、信頼が壊れた理由として挙げたもののうち、最も多かったのが「辛辣でネガティブな言動を人づてに聞いた」というものでした。

山浦氏によると、これは「ウィンザー効果」によって説明がつくそうです。ウィンザー効果とは、面と向かって聞く「直接的な情報」よりも、第三者を通して伝わる「間接的な情報」のほうをより信頼する、という心理的傾向のこと。

たとえば、もしもあなたが第三者を通じて「〇〇さんが、あなたのミスが多くて使えないと言っていたよ」と伝えられたら、とても失望するでしょう。「どうして陰で言うんだろう。直接言ってくれたらいいのに」と、不信感も募らせるはずです。それと同じようなことを他者へしてしまわないよう、注意しなければなりません。

仕事仲間との信頼関係を崩さないために、批判の仕方には注意を払いましょう。前出の石原氏によれば、批判や意見を述べるべきタイミングは、アドバイスを求められてから。相手は自分の意見を欲しがっているのかどうか、先に確認する癖をつけるとよいとのことです。

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3.「自分の成果」に目が向きすぎている

経験を重ねるうち「もっと実績を上げて高い評価をもらおう」と、より強い向上心をもつようになる人も多いでしょう。その向上心は間違っていませんが、「自分の成果」しか見ていないようだと、周囲から敬遠されてしまうかもしれません。

多摩大学大学院名誉教授の田坂広志氏は、仕事ができる優秀な人が突き当たる壁として「感情の壁」を挙げています。これは、「実績を上げたい!」という感情に支配され、周囲の心がわからなくなってしまう状態のこと。以下のような状況がその一例です。

  • 企画会議で、自分の案を通したい気持ちが強く、他人の意見に耳を傾けない
  • 商談で、商品の魅力を伝えたいあまり、客の気持ちを考えず一方的に商品の説明をする
  • リーダーが「チームの成績を上げたい」と考え、無理なスケジュールをメンバーに要求する

田坂氏によれば、「感情の壁」に突き当たるビジネスパーソンは、仕事に対する意欲も責任感もあるとのこと。ところが、「評価されたい」「早く実績を上げたい」という向上心が強いあまり、自分のことしか見えず、周囲への配慮が欠けてしまうというのです。

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また、コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子氏によれば、ビジネスで成功するには “有能さ” よりも “好感度” のほうが重要とのこと。その根拠は、2005年に『Harvard Business Review』に掲載された調査です。行動心理学者が10,000件に及ぶデータをもとに、組織内にいる以下4タイプのうち、どのタイプが「一緒に働きたい」と思われやすいかを調べたそう。

  1. 「愛されるスター」……好感度が高く、仕事もできる
  2. 「無能で嫌な人」……好感度が低く、仕事もできない
  3. 「愛される愚か者」……好感度は高いが、仕事はできない
  4. 「有能で嫌な人」……好感度は低いが、仕事はできる

「愛されるスター」が好かれ、「無能で嫌な人」が避けられるのは、言うまでもありませんが……驚くことに、残り2タイプを比べると、「有能で嫌な人」より「愛される愚か者」のほうが、一緒に働きたいと思われやすいことがわかったのです。

この結果が示唆しているのは、いくら実績がよくても対人関係能力がいまひとつだと、なかなか評価は得られないということ。これをふまえ岡本氏は、ビジネスの成功には「人たらし力」が鍵になると言います。

たとえば会話は、自分の知識を披露するよりも、相手の考えや関心事に耳を傾け “相手主役” で進めるといいとのこと。自分が発言する中身は、「相手に関することを8割:自分に関することを2割」にするのが目安だと言います。そして、やっぱり笑顔が重要だそうですよ!

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今回の記事を参考に、コミュニケーションを工夫してみてください。経験を積んだあなたが、本来の評価を得られることを願っています。

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|「意識は高いけど、品質が低い人」の残念な習慣
GLOBIS CAREER NOTE|相手を追い詰めるロジハラが起きる原因と、ロジハラをされた時の対処法
Precious.jp|「面倒くさい人」認定されるのでやめた方がいい発言&行動7選
ダイヤモンド・オンライン|職場で信頼されなくなってしまう人の何気ない行動【リーダーのための心理学】
KAKEN|23730593 研究成果報告書
ダイヤモンド・オンライン|「悪口」は本人の耳へ必ず入るもの!それは「ほめ言葉」も一緒
ダイヤモンド・オンライン|「仕事はできるが、人の気持ちが分からない人」はいつか必ず転ぶ
東洋経済オンライン|頭の良さより「好感度」で人生が決まる納得理由
Harvard Business Review|Competent Jerks, Lovable Fools, and the Formation of Social Networks
東洋経済オンライン|孫社長の卓越した「コミュ力」の秘密とは?

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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