まわりから好かれる人には、どんな特徴があるのでしょう? 飛び抜けたルックスや特技があるわけではないのに、その人がいるだけで気分が華やいだり、場の雰囲気が和んだり。
そばにいると心地いい人には、つい好感をもってしまいますよね。周囲に人が集まるのもうなずけます。「自分も、好感度が高い人になりたい!」と思いませんか?
好かれる人にはどんな特徴があるのか、好感をもたれる人間になる具体的な方法とともにご紹介しますね。
まわりから好かれる人の特徴
まずは、不思議と周囲から好かれる人の特徴を説明していきます。
聞き上手
聞き上手な人は、好かれやすいものです。相づちを打ちながら、興味深そうにじっと耳を傾けてくれる……そんな人がいたら嬉しくなり、つい語りすぎてしまうかも。
世界的ベストセラー『人を動かす』の著者、デール・カーネギー氏は、「人に好かれる原則」のひとつに「聞き手に回る」を挙げました。カーネギー氏自身の体験が根拠です。
カーネギー氏自身はほとんどしゃべらず、一心に傾聴しただけ。話を聞いてもらった相手は、ほかの人にカーネギー氏のことをさんざんほめちぎったそうです。
聞き役に回るだけで、なぜ好印象を与えられたのでしょう? カーネギー氏によると、話に心から興味をもっていることが伝わる聞き方は、「私たちが誰にでも与えることのできる最高の賛辞」なのだとか。
聞き上手な人は、「この人は自分を認めてくれる」と信頼され、好感をもたれやすいのです。
名前を覚えるのが得意
名前を覚えるのが得意なため、好印象をもたれる人もいます。一度会っただけの相手に名前を呼んでもらえたら、「覚えてくれていたんだ!」と嬉しくなりますよね。
カーネギー氏は、人に好かれる原則のひとつに「名前を覚える」を挙げ、次のように説いています。
自分の名前を覚えていて、それを呼んでくれるということは、まことに気分のいいもので、つまらぬお世辞よりもよほど効果がある。逆に、相手の名を忘れたり、間違えて書いたりすると、厄介なことが起こる。
(引用元:デール・カーネギー 著, 山口博 訳(2016),『人を動かす(文庫版)』, 創元社. 太字による強調は編集部が施した)
「名前は当人にとって最も快い、最も大切な響きを持つ言葉であることを忘れない」ことが大切なのだとか。人間にとって名前はとても大事なもの。自分の名前を覚えてもらうことで、存在が尊重されているように感じるのです。
感謝の気持ちを伝える
ちょっとした親切にも「ありがとう」と言ってくれる人がいたら、心がポッと温かくなりませんか?
周囲に好かれる人は、相手が自分にしてくれたことを記憶し、心から感謝の気持ちを伝えるものです。「ありがとうございました」とそっけなく言うだけでは、社交辞令とみなされ、相手に響かないかもしれません。
コミュニケーションの専門家・桑野麻衣氏によると、感じのいい人は伝え方を工夫しているのだとか。誰に・何を感謝するのか明確にし、そのときだけでなく過去のぶんの感謝も加えるそうです。
「〇〇さん、この前メールした件も対応してくれてありがとうございました。いつも助かってます!」と言われたら、感謝の気持ちが伝わってきますよね。昔のことまで覚えていてくれる相手を、「いい人だな」と感じるのではないでしょうか。
好かれる人は、誰かに感謝した出来事をちゃんと覚えていて、まめに「ありがとう」と伝えるよう心がけているのです。
清潔感がある
清潔感がある外見だと、好感を抱かれやすいもの。脳科学者の中野信子氏は、「見た目が少しでもいいほうが得」な理由として「ハロー効果」を挙げ、次のように説明しています。
外見や経歴が、性格などの内面的な要素と直接の関係があるわけではないのに、その人の評価に意外なほど影響を与えてしまうという心理効果です。
(引用元:中野信子(2012),『世界で通用する人がいつもやっていること―世界で活躍する脳科学者が教える!』, アスコム.)
ハロー効果の根拠は、アメリカの心理学者、レオナルド・ビックマン氏による実験です。
- 電話ボックス内に10セント硬貨を置いておく
- 誰かがボックスに入ったあと、「10セント硬貨がなかったか?」と尋ねる
ちゃんと応答して10セントを返してくれた割合は、質問者の身なりによって大きく変わりました。身なりがきちんとしていた場合は8割弱、汚なかった場合は3割強だったのです。清潔感のある外見だと、「きちんとした人だ」と判断され安心感を与えるため、好意的に接してもらえるのでしょう。
好かれる人には、近くにいるだけで嬉しくなったりリラックスできたりなど、周囲をポジティブな気分にしてくれるという特徴があるのですね。
好かれる人間になるには
「好かれる人の特徴」を4つご紹介しました。これらの特徴を身につけるには、どうすればいいでしょう? ここからは、好かれる人間になる方法を解説していきます。
相づちを工夫する
好かれる人は、聞き上手です。「人の話を聞くのが苦手……」という方は、相づちを工夫してみませんか?
フリーアナウンサーの魚住りえ氏によると、「聞くのが上手な人」と「そうでない人」の違いは、相づち。魚住氏は、好感度が上がる相づちのパターンを次のように紹介しています。適宜使い分けてみてください。
- 話を盛り上げたいときは「高く速く」、相手を落ち着かせるときは「低くゆっくり」
- 黙って相手の目をしっかり見、うなずく
- 相手が言い終わってから1秒待ち、相づちを打つ
【例】「~と思ったんですよね」
「(1秒待って)……なるほど」 - 相手の言葉を言い換えて繰り返す
- 感情をシンクロさせて聞く
- なるべく否定しない。反論するなら「そうですね」といったん受け止めてから
魚住氏によると、「自分の相づちの傾向を知ることは、上手な聞き方の第一歩」。許可を得て会話を録音してみましょう。自分の相づちを把握し、上のパターンと異なる点があれば直していきます。
「ちゃんと自分の話を聞いてくれる人だ」と相手から信頼され、好かれる人になるために、「相づち磨き」をしていきましょう。
名前と見た目の印象を結びつける
人の名前を覚えられるようになれば、好感度をアップさせられます。でも、顔と名前を一致させるのは意外と難しいですよね。
記憶力競技の日本記録保持者・平田直也氏によると、人の顔と名前が覚えにくいのは「その顔の人がその名前である必然性がないから」。そんな平田氏が編み出した記憶術が「タグづけ法」です。
タグとは、相手の印象をひとことで表すもの。タグづけ法とは、見た目の印象と名前を結びつけて覚えるテクニックです。
1. 見た目の印象をひとことで表す
まず、相手の外見の印象から「タグ」を考えます。
【例】
名前:白井さん
タグ:色白、背が高い、〇〇さんに似ている
複数考えたタグから、ひとつに決めましょう。「もう一度その人に会ったら、再び同じタグをつけるだろう」と思うものを選んでください。
2. ストーリー法でタグと名前を結びつける
「ストーリー法」とは、覚えたいものを物語にし、まとめて記憶するテクニック。連想ゲームの要領で進めます。
スタート(タグ)→ゴール(名前)が一本道なら、どんな連想でもかまわないそうです。
【例】
色白な人
↓
色が白いといえば、白井さん
3. タグを思い出し、ストーリーを再生する
次に会ったときは、相手の外見を見て、タグづけしたかどうか思い出しましょう。タグづけした覚えがあれば、相手の印象をひとことで表してみます。
最初につけたタグと同じ印象をもてれば、自動的にストーリーが再生され、名前を思い出せるというわけです。
【例】
「色白の人だな……。あ、色が白いといえば白井さんだ!」
以上が、見た目の印象と名前を結びつけて記憶するテクニックです。人の名前を覚えるのが苦手なら、ぜひお試しください。
感謝の伝え方を工夫する
うまく感謝の気持ちを伝えられる人は、好かれやすいもの。目を合わせて笑顔で「ありがとう」と言われたり、「先日の〇〇の件、ありがとうございました」と過去のことまで感謝されたりしたら、「気遣いのできる人だなあ」と感じますよね。
前出の桑野氏によると、感じよく思われるには、相手の心に届くよう感謝を表現する必要があるのだとか。対面でもメールでも、「誰に」「何を」感謝しているのか明確に表現するのが重要だそうです。
桑野氏自身、仕事のメールで「〇〇さん、お忙しいなかご対応いただき、誠にありがとうございました」と伝えていたのだとか。すると、メールのやり取りのみだった人から、「会う前から、桑野さんはとても丁寧な人だなと思っていましたよ」と好意的な言葉をかけてもらえたそうです。
対面やメール、電話でも、「誰に」「何を」感謝しているのか伝えることで、「ありがとう」が血の通った言葉になります。好感をもたれる人は、相手の心に響くよう感謝を表現しているのです。
外見の印象をよくする
人に好かれたいのなら、外見の印象にも気を配りましょう。清潔感のある身なりをすることで、「きちんとした人」だと認められ、信用されやすくなります。
前出の中野氏によれば、「実力が同じだったら外見がいいほうが勝ち」。自分がよく見える髪型・服装を研究したり、魅力的に見える表情を鏡の前で練習したりするといいそうです。
中野氏自身、20代前半は、自分の外見が好感をもたれないと悩んでいたのだとか。感じよくする方法を考えるうち、「相手の求める人物像」を目指し始めたそうです。
「あの人が信頼するのは、どんな外見の人間だろう?」と考えてみましょう。「誠実で賢そうな人」だと想定したなら、シンプルで清潔感のある服装・髪型が効果的ではないでしょうか。華美な服装は避けたほうがよさそうですよね。
「もしかして、外見で損しているかも……?」と感じたら、「好かれる人の特徴」をまねてみてはいかがでしょう?
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「好かれる人」の特徴は、さりげない気遣いで安心感や信頼感を与え、周囲の人を心地よくさせること。この記事を参考に、振る舞いや身だしなみを工夫してみてくださいね。
中野信子(2012),『世界で通用する人がいつもやっていること―世界で活躍する脳科学者が教える!』, アスコム.
デール・カーネギー 著, 山口博 訳(2016),『人を動かす(文庫版)』, 創元社.
鈴木勝彦 編(2017),『人に好かれる心理テクニック―心を操るプロに学ぶ 恋愛でも仕事でも気になる人を振り向かせる』, プレジデント社.
魚住りえ(2017),『たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる聞く力の教科書』, 東洋経済新報社.
桑野麻衣(2018),『好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい―思わずマネしたくなる』, インプレス.
平田直也(2019),『世界最強記憶術 場所法』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.
東洋経済オンライン|「名前」をなかなか覚えられない人へ記憶のコツ
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。