正しく伝えて、正しく実行してもらう。『伝えるコツ』を7つに分解してみた。

皆さんは、自分の意図を正しく伝えられますか? 指示した内容と違っていて二度手間になってしまった、という経験のある方もいるのではないでしょうか。正しく伝えられないと、相手も自分も不利益を被ってしまいますよね。そこで今回は、相手に意図を正しく伝えるための方法を考えてみます。

 「意図を伝える」ってどういうこと?

日本経済団体連合会が2016年に行った新卒採用に関するアンケートによると、企業が採用選考をする際に重視した点では、コミュニケーション能力が13年連続で1位を取りました。ビジネスにおいて、コミュニケーション能力は非常に重要視されているのです。

では、コミュニケーション能力とは何なのでしょうか。人材育成や研修等を行っているGlobaLinkの代表取締役である大串亜由美氏は、ビジネスコミュニケーションについて、「大切なのは、理路整然であることよりも会話の目的が分かっているかどうか」だと述べています。

つまり、ビジネスにおいてコミュニケーション能力があるとは、「自分の意図を他者に対して過不足なく伝えられる」という意味なのです。しかし、多くの方が「自分の意図を伝える」ということを勘違いしています。

誰かに伝える際に、「相手に何をしてほしいのかを伝える」だけで終わってはいませんか。実際には、相手が内容を正しく理解し、正しく実行して初めて「伝わった」と言えるのです。この「相手に正しく理解してもらうこと」、そして「相手に正しく実行してもらうこと」が達成できなくては、意図が正しく伝わったことにはなりません。

 なぜ、正しく伝わらないのか

相手に正しく伝わらなかった時、「こんなことも理解できないなんて!」と聞く側を責めてしまう方がいますが、意図が伝わらないのは伝わる側の責任です。正しく伝わらない原因は、以下のようなものが考えられます。

・自分の要望しか伝えていない 要望を伝えるだけでは、相手に正しく伝わりません。意図を伝えるということは、相手の話を聞くことでもあります。相手が知りたい情報を提供できないと、納期に間に合わないなんて可能性も。引継ぎは必要か、スケジュール的に問題はないか……、そういった相手の都合を無視しては、こちらの意図は正しく伝わりません。

・早口で話している 話す時に緊張して早口になる方もいるかと思います。しかし、まくしたてるように話してしまうと、余計に理解しづらくなってしまいます。また、緊張によって話が前後したり混在したりすると、相手が正しく理解できない可能性が高まるのです。

このような伝え方では、先ほど大切だと述べた「正しく理解してもらうこと」「正しく実行してもらうこと」はできません。では、この2つを達成するにはどうすればいいのでしょうか。次に、それぞれのコツをご紹介します。

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 相手に正しく理解してもらうコツ

1. 伝える前に相手の都合を確認する 必ず、用件を話す前に相手の都合を確認しましょう。いきなり本題に入られては、相手は咄嗟に反応できないかもしれません。

もし社内でスケジュールが共有されている等して相手の予定が分かるなら、会議前のような忙しい時間は避けるべきです。予定が分からない場合にも、すぐに用件を話すのではなく、まずは都合を聞くようにしましょう。また、相手が忙しそうな場合には「〇〇の件でご相談です。お時間ある時にお声がけください」とメモを置くのがおすすめ。所要時間等をあらかじめ伝えておくと、相手はさらに対応しやすくなりますね。

2. 分かりやすい伝え方を心がける 分かりやすい伝え方を心がければ、相手に誤解なく伝えられるようになります。どんな内容でも最初に結論を話し、次に理由や根拠を説明するようにしましょう。他にも、短い文章にまとめたり、例え話は誰もが知っているものを用いたりすると、相手が理解しやすくなりますよ。

3. ゆっくり、堂々と話す 指示を迅速に伝えるためには、いかに確実に相手に理解してもらうかが重要です。緊張してつい早口になってしまうという方は、相手の頷き等、動きを見るようにするとゆっくり喋れるようになりますよ。

他にも、話が長くなる場合には、途中で確認を入れるとペースが落ち着くため、自分は話しやすく、相手も理解しやすくなります。

4. 曖昧な表現は避ける 人によって定義の違う言葉は注意が必要です。例えば「良い品質のものを作りましょう」と言った場合。ある人はコストをかけて素晴らしいものを作るべきだと考え、またある人はできるだけ少ないコストで品質を守れるものを作るべきだと考えるかもしれません。

こういった曖昧な言葉を使う場合には、必ず「具体的にどういうものを目指しているのか」といったように定義を確認するようにしましょう。

 相手に正しく実行してもらうコツ

1. 相手に確認・判断してもらう 正しく実行してもらうには、一方的に伝えるだけで終わらせずに、相手に確認・判断してもらう必要があります。

何か頼み事がある場合には、「〇〇してほしいのですがいつまでにできそうですか?」等、相手に疑問を投げかけるような表現にしましょう。質問すれば相手の注意を引けるため、相手も具体的な行動をイメージしやすく、すれ違いを防げますよ。

2. できるだけ明確に伝える 例えば、「なるべく早めに」と「今日の13時までに」とでは、相手の受ける印象が違いますよね。急ぎでない場合にも「今週中に終われば大丈夫です」と伝えておけば、相手は余裕をもって取り組めます。

他にも、終わったら誰に報告するのか、予定を変更する場合はその理由は何なのか等、相手が疑問に思いそうな箇所を先読みして伝えるようにすると、相手もスムーズに理解できます。相手のためにも自分のためにも、できるだけ具体的な表現を使いましょう。

3. 相手が理解できているのかを確認する 実際に相手が取り組み始めた後、余裕があれば少し相手の行動を確認してみてください。逐一チェックせずとも、休憩時間に軽く声をかけてみるだけでもかまいません。

そうやって気にかけていることが伝わると、何か疑問やトラブルが生じても、相手が相談しやすくなります。もし相手が正しく理解できていないようであれば、「この後の計画を教えてください」と相手に説明してもらったり、再度別の言い方で説明し直したりしましょう。

*** 意図が正しく伝わるようになれば、相手もより迅速に対応でき、信頼関係が築けるはず。今回ご紹介したコツを取り入れて、意図を伝える力を磨きましょう。

(参考) 日経Bizアカデミー|第12回 あなたの言葉は、確実に相手に伝わっていますか? NIKKEI STYLE|話が「伝わる人」と「伝わらない人」、7つの違い NLP Field|コミュニケーションの意図は相手の反応でわかる TRIVECTOR|大切なのは「自分が何を言ったか」よりも「相手にどう伝わったか」ということ Keidanren|2016年度 新卒採用に関するアンケート調査結果の概要 GlobaLink|大串亜由美プロフィール

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