自分は頑張って仕事をしているつもりなのに、いつも周りとしゃべってばかりの職場の同期のほうが、自分よりも早く出世してゆく。そんなとき、ふと頭をよぎる「自分には才能がないのだろうか」「あの人は上司のお気に入りだから」という思い。努力が報われないと、自分の力ではどうにもならないものに原因を求めたくなりますよね。

しかしながら、ライバルとの差を“努力ではどうにもならないもの”のせいにしていては、いつまでもその差は埋まりません。むしろ、あなたの考えかたや行動次第で、この差は埋められるのです。カギになるのは、「疑問を常に持っているかどうか」

今回は、疑問を持ち続け、確実に自分の成長へとつなげる力について考えてみたいと思います。

成長のためには「無知の知」が必要

私たちの成長速度を決めているのは何なのでしょう。このことについて、ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正さんは、次のように述べています。

先に課題ありき。そのために何が必要か、それが発見できたら動く。そうやって成長し続けていかなくてはならない。

(引用元:朝日新聞DIGITAL|「自分の行き着く所まで行け」 柳井 正が語る仕事―1

つまり、私たちは課題がなければ成長できないということ。私たちの成長速度は、どれだけ自分の課題を発見できるかによって決まるのです。

問題点が分かっていれば、問題点を克服するために行動することができます。しかし、問題点が分からなければ、改善のしようがありません。例えば、教材を読んだり問題集を解いたりして勉強するときについて考えてみましょう。どれだけ真面目に勉強していても、自分が苦手とする範囲を勉強しなければ、いつまで経っても成績は向上しませんよね。だから私たちは、模試や問題演習などの結果を通じて自分の弱点を把握しながら勉強するのです。

勉強においては、このようにして自分の問題点を発見し、成長の糸口をつかむことができます。しかしながら、文章力や営業トークのスキル、発想力などといった、ビジネスパーソンの皆さんが伸ばしたいと願うであろう現実のスキルには、勉強でいうところの模試がありません。そのため、自分が抱える問題点が把握しづらいもの。だから、スキルアップに直結する行動をとるのが難しいのですね。

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問題を発見するためのQuestion Matrix

上でお伝えした通り、仕事に役立つさまざまなスキルを向上させ成果へとつなげるには、自分が改善すべき問題点を発見する必要があります。そこでおすすめなのが、Question Matrixという表を作ってみるという方法です。

この表は、学生向けに思考を深める方法を説いた書籍『Cooperative Learning & Higher Level Thinking: The Q-Matrix w/Question Manipulatives』のなかで紹介されているもの。あるテーマに関してこの表を作成すれば、そのテーマについてたくさんの疑問を簡単に生み出すことができます。疑問を多く持てば持つほど、特に重視すべき重要な問題を発見することができる確率も上がるというわけです。

Question Matrixの使い方は簡単です。テーマを決め、項目にそって疑問文を書いてゆきましょう。例えば、「文章を速く書けるようになりたいが、どうすればいいか」というテーマについて考えるときは、このようになります。

(筆者にて作成)

同様の表をもう一枚用意し、疑問に対する答えを書くと、行動につながります。文章を速く書くためには何をすべきかが見えてくるので、具体的な行動を起こしやすく、より成長を早められるでしょう。

(筆者にて作成)

問題は行動によって改善できる

もちろん、成長をめざすうえで、問題点を出すことはゴールではありません。ここで出てきた問題点を克服するため、確実に行動することが大切です。柳井さんは次のようにも述べています。

仕事というのは、動くこと、進むこと、やってみることの連続なのです。本を読んだり、セミナーに出たりして、自分の頭の中で納得しても現実は何ひとつ変わらないし、動きません。学んだら、それを生かせる機会を考え続け、いつどのように実践するか真剣にならなくてはいけないと思う。

(引用元:朝日新聞DIGITAL|「自分の行き着く所まで行け」 柳井 正が語る仕事―1

Question Matrixによって改善すべき問題点を把握し、そこから実際に行動を起こす際は、なるべく簡単にできることから始めるとよいでしょう。いきなり難しいことをしようとしても、なかなか達成できず、最終的にやる気がなくなってしまうことが多いからです。“思考の整理術”という独自のテクニックを用いて人材育成などを行っている、経営コンサルタントの鈴木進介さんは次のように述べます。

どんな目標もベイビーステップ思考を持ち、瞬時に小さな一歩目に変換できるなら、常に不安や面倒くささが介在することもなく、目標達成まで行動の挫折を避けることが可能になります。

(引用元:GetNaviweb|「モチベだだ下がり」な人に! 行動を加速させる「ベイビーステップ思考」のススメ

例えば筆者は、先ほどのQuestion Matrixで、「執筆と推敲以外に執筆速度に関わっていることはあるか?」という疑問から「タイピングの速度」という問題点を導き出しました。そこで、タイピング速度を向上させる方法について考えてみるとします。

まずは、なるべく簡単にできること、具体的には「自分が少し努力すればできるレベルのこと」、例えば「あ行の文字を手元を見ず、正確に打てるようになること」を目標にします。この目標が達成できたら、同じように次の目標を立てます。これを繰り返すことで、最終的に「タイピングが遅い」という問題を克服することができるでしょう。

Question Matrixで見出した大きな問題点をいきなり克服しようとするのではなく、焦らず一歩一歩小さな目標を達成してゆきましょう。

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相対性理論を完成させたアルバート・アインシュタインは次のような言葉を残しています。

過去から学び、今日のために生き、未来に対して希望をもつ。大切なことは、何も疑問を持たない状態に陥らないことである。

(引用元:名言+Quotes|アインシュタインの名言

アインシュタインは常に疑問を持ち続けたからこそ、難解な相対性理論を発見できたのかもしれませんね。
みなさんもぜひ、Question Matrixを使い、疑問を持って毎日を過ごしてみてください。
きっと、びっくりするほど成長できると思いますよ。

(参考)
朝日新聞DIGITAL|「自分の行き着く所まで行け」 柳井 正が語る仕事―1
MAG2NEWS|リーマンよ、疑問を抱け。仕事を「鵜呑み」にすることで成長は止まる
キャリタスLINQマガジン|【サイバーエージェント】“自分が何を知らないか”を知ることが成長の第一歩~ゆとり世代の神々 第12回~
名言+Quotes|アインシュタインの名言
Assessment for Learning|Question matrix
CENTRAL BUCKS SCHOOL DISTRICT|Q-Matrix
Jerome Kagan (2008), “In Defense of Qualitative Changes in Development”, CHILD DEVELOPMENT, Vol. 79, Issue 6, pp. 1606-1624. 
GetNaviweb|「モチベだだ下がり」な人に! 行動を加速させる「ベイビーステップ思考」のススメ