アイデアに詰まったら「退屈」になろう。海外研究で明らかになった “退屈な時間” の意外すぎる効能。

先進5ヵ国を対象にアドビシステムズが行った2012年の調査によると、日本の印象は「もっともクリエイティブな国」だったそう。――にもかかわらず、「自分自身を表す言葉」で“クリエイティブ”を選択した人は、日本がもっとも少なかったのだとか。

この結果は、自分には創造力がないと思い込む日本人が多いことを示しています。自信が持てないと、本来ある力も発揮できませんよね。とはいえ、「もっと自信を持っていいんですよ!」と励ますだけでは、意識を変えられないでしょう。

そこで今回は、創造意欲を高める意外な方法「退屈」について、3つの研究とともに説明します。

研究1:【シンガポール】退屈になるとアイデア生成タスクが捗る

シンガポール・マネージメント大学、南洋理工大学の研究者らは、退屈な時間の、創造性に対する利点を特定するため、複数の実験的研究を行ったそう(2018年7月26日『Academy of Management』でオンライン公開)。

その結果、退屈によってアイデア生成タスクの生産性が向上するとわかったのだとか。また、退屈は、退屈感を増加させるだけで、ネガティブな感情(怒り・欲求不満)は増加させないことも示されたそうです。

ただし、この研究では、退屈感が例外なく創造性を向上させるわけではない、ともわかっています。高い学習目標指向性があり、課題遂行への動機づけ(認知欲求)が強く、知的好奇心が強い(高い経験への開放性)、自己解決型の人が、退屈を感じたとき、創造性の有意な増加を示したそうです。頑張る意識が強い人ほど、退屈な時間に「早く何か生み出したい!」という気持ちを強めるのかもしれません。

これらの発見は、退屈感を「多様な感情を駆り立てるもの」として捉えるための、実証的根拠と理論的な動機づけを示していると、研究者は述べています。

研究2:【イギリス】退屈すると「白昼夢効果」が促進する

英セントラル・ランカシャー大学の Sandi Mann 氏と Rebekah Cadman 氏は、80人の参加者を2つのグループに分け、片方のグループだけに、電話帳の電話番号を書き写していくという退屈な作業を行ってもらったそうです(2014年5月8日『Creativity Research Journal』でオンライン公開)。

その後、創造性に関わる課題を参加者全員に与えたところ、退屈な作業を行った参加者のほうが、より多くのアイデアを思いついたのだそう。

また、もうひとつの実験として、90人の参加者たちを、「退屈な作業をしないグループ」、「電話帳の数字を書き写す退屈な作業を行うグループ」、「もっとも退屈な電話帳を読むだけのグループ」という、3つのグループに分け、そのあと創造性が必要となる課題を全員に行ってもらったところ、もっとも退屈だったグループが、最高の創造性を発揮したそうです。

研究者らは、退屈が「白昼夢効果」を促進し、創造力に作用すると考えているそう。その退屈さが受動的であればあるほど、空想が大きく広がり、創造性が高まるようです。

研究3:【アメリカ】「退屈を紛らわせたい」気持ちが創造力に

米ペンシルベニア州立大学の KarenGasper 氏と Brianna L.Middlewood 氏は、参加者に、高揚・リラックス・苦痛・退屈といった感覚を、意図的に誘発する映像を見せたあと、創造的思考力に関係するテストを行ってもらったそう(2013年12月29日に『Journal of Experimental Social Psychology』でオンライン公開)。

その結果、「退屈」な感覚を誘発された参加者グループが、もっとも優れた成績を上げたのだとか。この結果について研究者らは、「退屈さを紛らわせたい」と望む気持ちが、創造性を高めると話しています。

退屈するほど反動が強くなり、創造的モチベーションが高まるわけです。

創造性を高める、正しい「退屈」とは?

「そんなに創造性が高まるなら、さっそく何もしない時間を設けよう!」と、スマートフォンを片手にのんびりしても、創造性は高まりません。

おびただしい量の情報、SNSの記事に“いいね!”がつく、新しいフォロワーが増える、インスタグラムに誰かの新しい写真がアップされるといった状況が、脳内に快感物質を分泌させるため、むしろ退屈とはほど遠い時間になってしまうからです。

創造性を高めてくれる、おすすめの「退屈」は、退屈をしのぐいつもの行動を制御することです。具体的な例を挙げると……、

・自宅にいるときテレビをつけない ・音楽を聴かずにウォーキングする ・本もPCも持たずにカフェへ行く ・待ち時間はスマートフォンを見ない

といった具合です。15分~30分といった短い時間でも、こうした時間を設けるのと設けないのとでは、ずいぶん変わるはず。「あ~、退屈!」のあとにわきあがる創造的意欲が、思わぬアイデアをもたらしてくれるでしょう。

*** 創造性を高める意外な方法「退屈な時間を設けること」について、3つの研究とともに説明しました。ぜひ、日々のちょっとした合間に取り入れてみてくださいね。

(参考) Academy of Management Discoveries|Why boredom might not be a bad thing after all Creativity Research Journal|Does Being Bored Make Us More Creative? ScienceDirect|Approaching novel thoughts: Understanding why elation and boredom promote associative thought more than distress and relaxation DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|HBR.ORG翻訳マネジメント記事|「退屈」は創造性を高める ダイヤモンド・オンライン|SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術|スマホはパフォーマンス管理の最大の敵 東洋経済オンライン|学校・受験|ジョブズは「創造性とは繋ぐ力」と考えていた

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