デスクで考え続ける「自称 “思考家”」な人ほど、良いアイデアを生み出せないワケ。

あなたは、自分にクリエイティビティがあると思いますか? 決められた仕事をこなすのは容易でも、何か新しいものを考える作業、例えば新製品のアイデアを出したり、課題の解決策を探ったりするのは苦手だと思う人は多いかもしれません。自分で考えようとしてもすぐに行き詰まってしまい、いわゆる「アイデアマン」がなぜあんなに斬新なことを思いつけるのかわからない……。そんな思いをしていないでしょうか。

クリエイティビティに乏しいという悩み。実は、あなた自身の力で打開することができるのです。

今、クリエイティビティが必要とされる理由

現代の社会では、ビジネスシーンに限らずさまざまな場面で、人間の創造性が必要とされています。テクノロジーの進化により、近い将来人工知能が人間の仕事の大半を奪うと言われているなか、言われたことを単純にこなすだけの人材は、すぐに機械に取って代わられてしまいます。そのような状況において、ビジネスパーソンが今後も能力を発揮し続けるための武器となるのが、クリエイティビティなのです。

「だったら、もともと発想力が豊かな人が有利ではないか。自分はダメだ」と思っていませんか? 諦めるには早すぎます。クリエイティビティは必ずしも生まれつきの才能により決まるものではありません。努力や行動次第で、あなたも「発想力豊かな人」になることができるのです。その方法を2つ、お伝えしましょう。

幅広い知識を得る

クリエイティビティを得る1つ目の方法は、さまざまな分野の知識をできるだけ多くつけることです。その理由は、バラエティに富んだ知識がアイデアの創出につながるから。

「アイデアを考える」とは、全く新しいものをゼロから考え出すことだ、というイメージを抱いていませんか? そんなことはありません。アイデアを創造するということは、得てきた知識を新しい方法で組み合わせることなのです。

文豪・夏目漱石にこんな逸話があります。「小説家になりたい」と言う学生に、漱石は「君はウインドウショッピングが好きかね?」と尋ねました。学生が「そんな暇があったら読書をする」と答えると、漱石はこう言ったのです。「君は小説家に向かないからやめておきなさい」

ウインドウショッピングは、小説にとっては雑多で一見関連のなさそうなことです。しかし小説は、小説についてだけ知っていれば書けるものではありません。社会や人生の様々な知識の中からこそ生まれるものです。ウインドウショッピングを含むさまざまな経験や知識が、小説に役立つような新しいアイデアを得る源泉になるのだ、ということを、漱石は学生に教えたのです。

また、アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズ氏には、次のような名言があります。「創造力とは、物事を結びつける力に過ぎない」。アップル社の斬新で偉大な発明はどれも、何もないところから生み出されたものではありません。ジョブズ氏は、既存の知識をつなげて、これらの大ヒット商品を生み出したのですね。

漱石の教え、ジョブズ氏の発明に学べば、私たちが発想力を得るためにすべきことは明白です。自分の専門分野とは関係のない知識も積極的に吸収しましょう。例えば、電化製品の営業をしている人が、新たな営業のテクニックを考案し身につけたいと考えているとしたら。製品に関する知識ばかりをつけるのではなく、心理学の手法を学んでみれば、顧客への新たな売り込み方を見出せるでしょう。顧客の要望を聞き取りやすくなり、新たな製品のアイデアにつながるヒントまでも得られるかもしれません。

このように、新しいアイデアを生みたいなら多くの知識の獲得が不可欠です。幅広い知識を得ておくことで、視野も可能性も広がっていくのです。

出会いを求める

クリエイティビティを得る方法の2つ目は、多くの人と出会うことです。多くの人との出会いが、発想を加速させます

世界の最先端をゆく斬新なアイデアが生み出されるIT企業の集積地、アメリカ・シリコンバレー。ここでは、スタンフォード大学や名だたるIT企業を中心に、人的交流が盛んに行われているのだそう。シリコンバレーに勤める人たちは、自社の人とだけ関わるのではなく、シリコンバレーという地域の一員として他社の人とも積極的に交流しています。その背景にあるのが、多くの人との出会いやコミュニケーションが、クリエイティビティ創出とイノベーション実現につながるという考えです。

この考え方は、ひとつのオフィスの中においても当てはめることができます。仕事中にひとりで悶々と考え続けたり、自部署の人と会話するだけにとどめたりするのではなく、部署や立場の違う社員とも積極的に関わるようにすれば、新たな発想が生まれやすくなるのです。

この考えに基づき、近頃では社員の発想力を育むオフィス=「クリエイティブ・オフィス」というものも多数作られ、注目されているのだそう。クリエイティブ・オフィスは、個人の席を固定せずフロア全体を共同使用スペースにしたり、社員がフロアを歩き回るように個人席をジグザグに配置したりした斬新なオフィスデザインが特徴。

クリエイティブ・オフィスのデザインの構築を手掛ける富士ビジネスは、社員が多くの人と関わりながら仕事をすることについて以下のように説明しています。

アイディアは、デスクに座っていて出てくるものではありません。移動中に目にしたものや、人と話をしたことなど、様々なことが紐付けされて、1つのアイディアとしてまとまっていくものでしょう。ですから、コミュニケーションをとりやすい環境を作ることは非常に大切です。 ……(中略)…… コミュニケーションが活発化することにより、ノウハウが共有され、新たな気づきが生まれやすくなる。それらが紐付いて、アイディアが沸くことも増えるでしょう。そうした積み重ねが創造性につながっていきます。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|社員の創造性を育む仕掛けをちりばめる「クリエイティブ・オフィス」の作り方

自分の職場にはクリエイティブ・オフィスのような仕掛けはないという人でも、積極的に社内を歩き、気軽に他部署の社員と話し意見を交わしましょう。社内にとどまらず、社外に出て違う業界で働く人とコミュニケーションしてみるのも効果的です。さまざまな立場や意見、価値観を知ることで、自分ひとりでは思いつくことのできなかったアイデアがわいてくるはずです。

*** クリエイティビティは天賦の才能ではありません。多くの知識を得て、多くの人と出会う。こうした積極的な努力と行動で、創造性を伸ばせることがおわかりいただけたでしょうか。ぜひお伝えしたことを実践して、クリエイティブな人を目指してください。

(参考) ダイヤモンド・オンライン|できる人ほど「情報収集」しない。「知識の正しい増やし方」は漱石に学べ! Forbes JAPAN|「アイデアの流れ」を理解すれば、発想力は高まる アゴラ|創造性は詰め込みの産物 COSMOPOLITAN|心理学者による「クリエイティブな力」を上げる方法6 日本経済新聞 電子版特集|「場」の創造から生まれる新しい企業価値〜創造性に満ちたオフィスと街をどうデザインするか〜 jin-jour|アイデアの芽を早く育てるオフィス環境へ(後編)【働きがいを生むオフィス】 ダイヤモンド・オンライン|社員の創造性を育む仕掛けをちりばめる「クリエイティブ・オフィス」の作り方 

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