創造性は「忘れっぽい人」から生まれる? 自由な発想のための "固執しない" 脳の使い方

私たちは常にクリエイティブでありたいと願っています。なにかと創造性が求められるこの時代において、クリエイティブな発想をするということは、至上命令のようなものでしょう。

とはいえ、創造的であれと願う一方で、意外と従来型で終始してしまうことも事実です。クリエイティブなアイデアを出したい、創造力あふれる企画で周囲をあっと言わせたい、などと意気込んでも、期待したほどのものが生まれないというのはよくあること。

今回は、創造的であるための条件を紹介します。実は、物忘れの激しさが創造性に寄与しているという驚きの研究結果があるそうですよ。

「創造的になろう」と意識しない

創造的になる最も簡単な方法は、「創造的になろう」と意識しないことです。

私たちは何か新しいアイデアやものを生み出そうとする際、どうしても意識して創造的になろうとしてしまいますが、往々にしてそういう時には創造性に富んだものは生まれません。

おそらく大半の人が経験しているように、むしろお風呂やトイレの最中など、他のことに集中していたりぼーっとしたりしている時の方が、創造性は高まるのです。

Mr.Childrenのボーカル桜井和寿さんは、自身の作曲について以下のように言っています。

曲は水回りが多くて、お風呂場とかトイレとか、あんまり曲を作ろうと思っていると出来なくて、すごくリラックスした時の方が出来るんですかね。サウナとか、熱くてもう何にも考えられないときに詩がぼーっと浮かんで来たりとか。

(引用元:『Talking Rock!』,43,2004年06号.)

仕事でクリエイティブなアイデアを出したいときは、机にかじりついて頭を抱えていても、良いものは生まれません。そのうち思いつくかも、くらいのリラックスした気持ちでいれば、面白くてユニークなアイデアがひらめくでしょう。

ひとつのアイデアに固執しない

また、創造的であるためには、ひとつのアイデアや解法に固執しないということも大切です。

アイデアがひとつ浮かぶたびに「これは本当に良いのだろうか」と集中的に考えるのではなく、生まれてくるあらゆる考えに対して寛容的でなくてはなりません。

議論の方法としてよく知られるものに、ブレインストーミングがあります。

ブレインストーミングとは、集団でアイデアを出し合うことによって相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法である。 人数に制限はないが、5 - 7名、場合によっては10名程度が好ましく、議題は予め周知しておくべきである。

(引用元:Wikipedia|ブレインストーミング

会社で新しい企画やサービスなどについて話し合う際によく取られる方法で、ビジネスパーソンの多くが一度は行ったことがあると思います。このブレインストーミングは、とにかくアイデアをたくさん出すことだけを求めます。そのアイデアに対する良否を議論したり、アイデアを採用するかどうか結論を出したりすることはしません。また、できるだけ自由な発想が好まれるため、現実性を強く意識したり常識の範疇にとらわれたりする必要もありません。

ブレインストーミングは、ただひたすらに質よりも量を求める方法。ですから、ひとつの考えに固執してはならないのです。

創造性が欲しいときは、自分自身でブレインストーミングを行うイメージを持ってみましょう。過去の事例や常識などはさておき、思いつくまま次々にアイデアを出していきます。出たアイデアに検討する価値があるかどうかは、ブレインストーミングのあとで考えればよいことです。

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忘れっぽさは創造性の味方

カリフォルニア大学が行った実験で、実は忘れっぽい人の方が創造的であることが明らかになりました。

上述した通り、「創造的であろう」と意識しないことや、ひとつの考えに固執しないことが創造的であるためには肝要。忘れっぽい人にとっては、これらの項目は簡単にクリアできてしまうからなのです。

また、創造的であるための障害としてよく挙げられるのが固定観念。忘れっぽい人は固定観念すらも忘れてしまうため、既存の価値観にとらわれることなく自由な発想でもって物事を考えることができます。

例えば、新聞紙の斬新な用途を挙げるよう求められているとしましょう。新聞とは「読むもの」「包むもの」「敷くもの」であると定義を狭めてしまっては、斬新な用途など思いつきません。固定観念の有無は発想に大きな違いを生みます。

忘れっぽさは、こうした「〇〇とは××するものだ」という固定観念を鑑みずに自由に考えることを促す性質であるため、創造性に一役買っているわけです。

*** 創造的であることは、簡単なように見えて実はとても難しいのです。私たちは、知らず知らずのうちに、見えない固定観念によって考えを狭められているため、まずはその考えを取っ払うことが大切でしょう。

創造的であることは忘れっぽさと同義であると言っても過言ではありません。忘れやすいことを自認している人は、その創造性をぜひ活かしてみてください。また、特段忘れっぽくない人であれば、ちょっとくらい忘れてもいいんだ、常識にとらわれなくてもいいんだ、と気楽な気持ちでいれば、クリエイティブなアイデアが生まれることでしょう。

(参考) Co. Design|How A Forgetful Mind Can Be A More Creative Mind Benjamin C Storm (2014) “Forgetting as a consequence and enabler of creative thinking,” Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, Vol. 40, No. 6, pp. 1594-1609. 『Talking Rock!』,43,2004年06号. Wikipedia|ブレインストーミング

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