「最近、集中できていないな…」 「仕事や勉強の効率が上がらない」
そんな悩みを抱えていませんか?
集中力は私たちの仕事や学習に大きな影響を与えます。パフォーマンスを最大限に引き出すためには、まず自分の集中力の状態を知り、適切な対策を取ることが大切です。
では、あなたの集中力は今どんな状態でしょうか? まずは以下のチェックリストで確認してみましょう。
💡 あなたの集中力診断チェックリスト
以下の項目について、当てはまるものにチェックを入れてください。
チェックが6個以上ある場合は、集中力が低下している可能性があります。
📊 仕事・勉強中の状態をチェック
🖥️ 作業環境をチェック
⏰ 生活習慣をチェック
※チェックした項目が多いほど、集中力低下のリスクが高まります。
この記事で紹介する改善方法を実践してみましょう。
いかがでしょうか?
チェックが6個以上ついた方は、集中力が低下している可能性があります。でも、ご安心ください。集中力は、正しい方法で適切にケアすることで、誰でも向上させることができます。
そこで今回は、科学的な根拠に基づいた集中力向上の方法を5つご紹介します。チェックリストで気になる項目が多かった方は、ぜひ実践してみてください。
- 💡 あなたの集中力診断チェックリスト
- 集中力向上法1:音と情報を遮断する
- 集中力向上法2:深呼吸する
- 集中力向上法3:マインドフルネス
- 集中力向上法4:ポモドーロ・テクニック
- 集中力向上法5:タイムバッチング
- ⏰ タイムバッチング実践ガイド
集中力向上法1:音と情報を遮断する
集中力を高めるには、そのための環境を整えることが大切です。作業をする場所や周囲に置くものなどを工夫して、集中しやすい環境をつくりましょう。
脳科学者の中野信子氏は「本来、脳というものは、集中できる環境を作ってやると、勝手にそのことに集中してしまう」と述べ、「脳が集中しやすい環境作りをすること」をすすめています。*1
具体的な方法は、次のふたつです。
- 音の刺激を減らす
- メールチェックをしない
ひとつめの「音の刺激を減らす」について、中野氏は「人の脳は、雑音や騒音があると、そちらに注意が向いてしま」うと言います。*1 たとえば、音楽や話し声が気になって集中できない経験は誰にでもあるでしょう。
そのため、注意を向ける音が少ない環境で作業をすることが効果的です。たとえば、カフェではなく自宅で勉強したり、集中したいときにはイヤホンをつけたりするといった工夫ができます。
さらに、ふたつめの「メールチェックをしない」について、「メールやメッセージを処理するのに1分程度で済んだとしても、頭をもとの集中状態に戻すのに30分以上かかることも」あると、中野氏は言います。*1
集中力を高めるためには、メールやチャットは決まった時間にまとめてチェックするのがおすすめです。集中したい時間帯は、パソコンやスマートフォンの通知をオフにして、注意がそれないようにしましょう。
集中力向上法2:深呼吸する
集中できないとき、決まってあくびをしていませんか? これは脳が酸欠状態になっているサインかもしれません。
医師の成田亜希子氏は、脳の酸欠によって「だるい、疲れやすい」「集中力が続かない」といった症状が出やすいと指摘しています。脳の酸欠は、閉め切った部屋のほか「満員電車や狭い部屋などに多くの人が密集する」など、密閉された空間で起こりやすくなるそうです。*2
つまり、職場や自宅などで、決まった場所にこもって作業をしていると、酸欠状態になる可能性があるのです。これを改善するためには、深呼吸が効果的。成田氏がすすめる方法は次のとおりです。*2
ゆっくりと息を鼻から吸ってお腹をたっぷり膨らませ、またゆっくりと口から息を吐き出し、お腹をへこませていきましょう。(中略)
朝晩に加え、仕事の合間などの気分転換に、お腹までたっぷり息を吸い込む深呼吸を10回程度繰り返してみてください。身体に酸素が行き渡り、酸欠状態の改善を助けます。
深呼吸なら座ったままできますし、場所も選びません。集中できないときに取り入れるのはもちろん、作業前のルーティンにするのもおすすめです。
集中力向上法3:マインドフルネス
上でご紹介した深呼吸と一緒に取り入れたいのが、マインドフルネスです。
予防医学者の石川善樹氏によると、マインドフルネスとは「注意をいまこの瞬間に向け、感情の乱れをコントロールする手法」です。*3
まず、集中力には4つの要素があります。
- 継続的集中力:特定のものに集中を持続させる力。
- 選択的集中力:さまざまな情報から価値あるものを選び、注意を向ける力。
- 実行集中力 :複数のタスクに集中力をバランス良く分散させる力。
- 切り替え能力:マルチタスクをこなす際、あるタスクから別のタスクへと軽やかに集中を切り替える能力。
*3を参考に筆者がまとめた
「この4つは脳の異なる部分が担う」ものの、マインドフルネスによって「脳のこの4部位が一緒に賦活化」すると言う石川氏。*3 つまり、集中力が総合的に高まるというわけです。
マインドフルネスの実践方法はいくつかありますが、精神科医の久賀谷亮氏は「静かな場所でリラックスして座り、目をつぶって注意を呼吸に向け」る簡単な方法をすすめています。*4
最初は、注意を呼吸に向けるのが難しいかもしれません。筆者は数を数えると意識を向けやすいので、息を吸うたびにカウントすることにしています。
久賀谷氏は、これを「毎日5〜10分やるといい」と言います。仕事前や休憩中などに実践すれば、落ち着いて集中力を高められるでしょう。
集中力向上法4:ポモドーロ・テクニック
「長時間、集中力を保てない」という人は、時間を区切ってみてはいかがでしょうか。タイマーを使って簡単にできる「ポモドーロ・テクニック」がおすすめです。
『ライフハック大全―人生と仕事を変える小さな習慣250』などの著者である堀正岳氏は、ポモドーロ・テクニックを「集中する時間と休憩時間を繰り返すことで、仕事のペースを生み出す時間管理術の一つ」と説明しています。*3
ポモドーロ・テクニックのやり方は、以下のとおり。*5
- タイマーを25分に設定して作業を開始する
- タイマーが鳴ったら、3~5分の休憩をとる
- 4~5回に1回は、15~30分の長めの休憩をとる
この方法のメリットは「時間を区切ってタスクを絞ることで、集中できる→余計な気がかりが消えてストレスが下がる→心の負荷が少ない分、生産性が上がるというプラスのスパイラルを生み出」すことだと言う堀氏。*5
たしかに、複数のタスクを抱えたまま漠然と作業を始めると、「あれもやらなきゃ」と注意があっちこっちにいってしまいます。決められた時間のなかでタスクに取り組むことで、ほかの作業に意識を向けることなく集中できるようになるでしょう。
集中力向上法5:タイムバッチング
メールチェックや資料作成、会議にプレゼンと、仕事ではさまざまな業務に取り組みます。別の仕事へ移るときに集中力が切れてしまいがちな人は、似ている作業をまとめる「タイムバッチング」を試してみましょう。
ビジネス書の執筆や講演などを行なうマーク・マーフィー氏によると、タイムバッチングとは「似ている作業をまとめ、20分でもよいのでその作業だけに集中する時間を確保すること」です。*6
タイムバッチングのメリットは、作業の切り替え回数を減らすことで集中力を保てる点です。マーフィー氏は「異なる作業の間を行ったり来たりすればするほど、その仕事に適した頭にするためにより多くの精神的エネルギーを費やさなければならないし、ミスの数も増える」と指摘しています。*6
たとえば、データ入力と企画立案では、必要な思考が大きく異なります。このように種類の違う仕事を切り替えるたびに、頭の使い方を変える必要があり、それが集中力を奪う原因となるのです。
そこで、確認をしながら行なうデータ入力や会計業務、ひとりでじっくり考える企画考案や執筆、人と話す打ち合わせやプレゼンといったように、仕事をグループ分けしましょう。似ている作業をまとめれば、切り替えの回数を減らすことができ、集中力が向上するのです。
【仕事をグループ分けして、切り替えの回数を減らしましょう】
⏰ タイムバッチング実践ガイド
🔄 処理系タスク
午前中に集中
- ・データ入力
- ・経費精算
- ・メール処理
💡 思考系タスク
午後前半に集中
- ・企画立案
- ・資料作成
- ・調査・分析
💬 コミュニケーション系
午後後半に集中
- ・会議
- ・打ち合わせ
- ・プレゼン
✅ タイムバッチングのコツ
- 時間帯による配置
午前中は頭が冴えているため、処理系タスクを効率的にこなしましょう。午後前半は思考系タスク、後半はコミュニケーション系タスクが効果的です。 - バッファの確保
各タスク間に15分程度の切り替え時間を設定し、予定外の割り込みにも備えて30分の予備時間を確保しましょう。 - 効果的な組み合わせ
処理系→思考系→コミュニケーション系の流れで、自然なリズムを作ることができます。
***
今回ご紹介した集中力向上法は、どれも簡単ですぐに実践できます。ぜひ、日々の仕事や勉強に取り入れて、集中力の向上を実感してください。
※引用部分の太字は編集部が施した
*1 PHPオンライン|脳科学者・中野信子が「集中力は身につけるものではない」と語るワケ
*2 女の転職type| あくびが止まらないのは病気? 生あくびの対処法は?「酸欠状態」から脱する3つの原因と対処法【医師監修】
*3 Tarzan|集中力を高める仕組みとその実践法! 脳の4部位を活性化するマインドフルネス
*4 新R25|医学博士が語る「瞑想」の驚くべき効果。オススメのやり方や時間についても教えてもらった
*5 リクナビNEXTジャーナル|生産性がグングン上がる!「ポモドーロ・テクニック」って知ってる?
*6 Forbes JAPAN|生産性と幸福度を短期間で上げる「タイムバッチング」とは?
藤真唯
大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいて分かりやすく伝えることを得意とする。