1日3分×3週間の「できたことノート」習慣で、自己肯定感とやる気がぐんと高まった話

できたことノートを3週間続けてみた01

「今日はこれしか勉強できなかった、まわりはもっと頑張っているのに」
「仕事で成果を挙げられない日がずっと続いている」

このように、消化不良のまま1日を終えることにうんざりしていませんか? 思い当たる人に試してほしいのが、人材育成プログラムを数多く手がける永谷研一氏が考案した「できたことノート」です。

「できたことノート」は、1日たった3分でできるシンプルなノート術。とはいえ、前向きな気持ちになれる脳科学的な裏づけがあります。ではさっそく、具体的な書き方と筆者が実践してみた結果について説明しましょう。

脳はダメなところに目が行きがち。

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突然ですが、こちらの六角形の画像を見てどこが気になりましたか? 多くの人が、右上の欠けたところと答えることでしょう。それもそのはず、永谷氏によると、脳には物事の欠けたところに目が行く特性があるのだそうです。

欠けた部分(=ダメなところ)に目が行く脳の特性は、日々のさまざまなシーンで確認できます。たとえばテストで95点とっても、友人が98点とったことのほうが気になってしまったり、仕事でのとるに足らないミスをクヨクヨと考え続けてしまったり……。

自然なこととはいえ、これを放置しておくと、自分を否定しがちになり人間としての成長が阻害されるおそれがあると永谷氏は述べます。そこで登場するのが「できたことノート」というわけです。

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1日3分でOK! できたことノートの書き方

できたことノート」は、「昨日より今日、ちょっとよくなる」をコンセプトに、12,000人以上のデータや認知心理学、行動科学をベースに考案されたノート術。「できたこと」という肯定的な事柄に目を向けて1日を振り返ることで、欠けているところに目が行きがちな脳機能を補完し、前向きな気持ちを高めてくれます。その結果、「自分に自信をもてる」「物事へのやる気が湧く」といったメリットが得られるのです。

「できたことノート」の書き方は「就寝前の3分間で、今日できたことを3つ書き出す」、これが基本です。できたことの見つけ方には、3つのコツがあります。

  1. 相手の反応から自分の「できたこと」を探す
  2. 達成感を得られる数字に注目する
  3. 自分が気持ちいいことを基準にする

1なら、たとえば「同僚にお礼を言われた」「両親に喜ばれた」などが当てはまります。2は、「15分読書できた」「3日連続英語を勉強できた」などが当てはまるでしょう。3は、「ゆっくり休めた」「久々に友人に会えた」といった、スッキリしたこと、小さな幸せを感じられたことが挙げられます。

そして、月曜日~土曜日まで1日3個の「できたこと」を書き出したら、日曜日に今週の「ベストできたこと」を決めてください。「ベストできたこと」については、さらに4つのステップで掘り下げましょう。目安時間は10分、ステップは次のとおりです。

  1. 詳しい事実(いつ・どこで・誰に……など)
  2. 原因の分析(なぜやることになったのか?)
  3. 本音の感情(できた瞬間の気持ち)
  4. 次なる行動(明日からできる簡単な工夫は?)

まず「詳しい事実」では、「ベストできたこと」について、なるべく具体的に書きましょう。

次の「原因の分析」では、「ベストできたこと」をなぜやることになったのかという視点から、自分が本当に目指していることや望んでいることなどを探ります。

そして「本音の感情」には、できた瞬間の気持ちを素直に書きましょう。感情をうまく書き出せないときは、「うれしい」「ほっとした」「誇らしい」「心配だ」「びっくりした」「悲しい」「腹が立った」の7つから当てはまるものを選んで記録します。

最後の「次なる行動」では、本当の目的を達成するにはどうすればいいかという観点から、今後の行動計画を書き出しましょう。ここまでをワンセットにして、まずは3週間目安に始めることを永谷氏はすすめています。というわけで、筆者も3週間「できたことノート」を書いてみました。

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「できたことノート」を3週間、書いてみた

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筆者が書いた「できたことノート」がこちらです。1日3つ「できたこと」を1行程度の簡単な文章でまとめるだけですが、意外にも「できたこと」を見つけるのは難しく、初日は書き終えるのに10分ほどかかってしまいました。

その過程で、「できた=何か大きなことを成し遂げた」という先入観があることに気づきました。そのため、資格のテキストを読み終えられたとしても、「過去問を解いたら点数がイマイチだった」ことのほうが印象に残ってしまっていたのです。いわゆる、欠けたところに目が行ってしまっている状態でしょう。そこで仕事や勉強以外にも目を向け、「サバの水煮缶でつくった味噌汁がおいしかった」のような、「小さなできたこと」も見つけられるように意識しました

また、日曜日には「オンラインMTGでメルマガ作成のヒントを得られた」をこの週の「ベストできたこと」に選び、次の4ステップで掘り下げました。

  1. 詳しい事実:マーケティングチームのリーダーと30分間オンラインMTGを実施した。
  2. 原因の分析:リモートによるコミュニケーション不足を埋めるのが本当の目的だった。
  3. 本音の感情:作業中の孤独を解消できてほっとした。
  4. 次なる行動:文章の改善点は話し合えたので、次はビジュアル面も議論したい。

メルマガの質を上げるには、細やかなフィードバックをもらう、データを見ながら顧客の動向を探るといった、ほかのメンバーとのコミュニケーションが不可欠です。そこに今回の「できたこと」に関する本当の望みもあると感じました。オンラインMTGを行なえたこと自体よりも、リーダーのアドバイスによって視界が開けたことが、ほっとしたという感情につながっています。

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「できたことノート」でやる気がどんどん湧いてくる

以下では具体的に、「できたことノート」を実際にやってみて得られた効果と実践のポイントを3つご紹介します。

1. 「やった」じゃなく「できた」だから自己肯定感が高まる

「バランスボール運動を始めた」などとノートに書くと、ただ事実を並べるだけになってしまいます。そこで「バランスボール運動を始めることができた」のように、文末には「できた」をつけるよう意識しました。

そうすることで、運動する時間をつくるために作業の効率化を考え、集中力を高めた背景が思い起こされます。こうした忘れられがちな小さな頑張りを自分で認めていく過程で、自己肯定感(自らの感情や存在意義を肯定できる感覚)が高まるのです。「できたことノート」をこれから始める方は、文末表現にぜひ気をつけてみてください。

2. 自己肯定感が高まると、やる気が湧いてくる

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「できたこと」をノートに書いていると、やる気も湧いてきて、次々とやりたいことが浮かぶようになりました。たとえば、建築学の本でレンガ造りを学んだとき、「タイル装飾も学びたいから、さらに別の建築学の本も読もう」と思ったので、目立つように付箋に書き込みました。

やる気が湧くと、習慣化にも意欲的になります。たとえば、バランスボール運動は「まずは3日間続けたい」と思ったので、ノートに書いたあと赤線を引いて目立たせました。そして、3日後に達成できたら蛍光ペンで線を引き、次は1週間の継続を目標として書き込みました。

このように、やりたいことが浮かんだら、できたことに加えてそのつど書き残しておくことをおすすめします。やる気の高まりを可視化することで、さらに前向きな気持ちになれますよ。

3. 日曜日の振り返りで、長期的な目標が立てられる

「ベストできたこと」を日曜日に振り返って分析すると、数か月~1年後といった長期的な目標を、過度な不安を抱くことなく立てられるようになりました。長期的な目標は達成までの道のりが長いぶん、不安もあります。筆者はそれもありのままの自分だと受け入れ、「本音の感情」に書き込みました。

たとえば、メルマガの例で感じた「作業中の孤独」がそれです。こうした不安を自覚すれば、誰に相談すればいいといった対策も見えてくるでしょう。それだけでも心がきっと軽くなるはず。長期的な目標を達成したいなら、本音の感情を無視しないようにしてくださいね。

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「できたことノート」は、いまの自分に満足できない人や自分の欠点ばかりに目が行ってしまう人におすすめのノート術です。1日3分で始められるので、ぜひ試してみましょう。

(参考)
日経doors|自分を変える技術「できたことノート」を始めよう
できたことノート&手帳|はじめての方へ
ダイヤモンド・オンライン|成功する人は、毎日「○○」をメモしている
THE21オンライン|三日坊主から脱却できる!「できたこと」ノート術

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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