
「自信が持てない」「行動に移せない」「判断力に欠ける」
こんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。日々の業務をこなすだけで精一杯で、自己成長の機会を逃してしまっていませんか?
じつは、あなたの悩みを解決する鍵は、デキるビジネスパーソンが実践している「振り返り習慣」にあります。
本記事では、あなたの行動力と判断力を劇的に向上させる2つの振り返り手法をご紹介します。これらの習慣を身につければ、以下のような変化が期待できます。
- 自主的に行動できるようになる
- 予期せぬ事態にも冷静に対応できる
- 効果的な振り返りで着実に成長できる
「どうせ自分には無理」そう思っているあなたこそ、ぜひ最後までお読みください。たった2つの習慣で、あなたも職場で一目置かれる存在に生まれ変わることができるのです。
1. 「ウィークリーノート」で週1回ポジティブなことを振り返る
失敗しないか不安で自主的に行動するのが苦手な人にオススメの習慣は、「ウィークリーノート」で「週1回ポジティブなことを振り返る」こと。
ポジティブな思い出や、未来の行動計画を具体的に書き出す習慣を身につければ、不安が和らぎ行動しやすくなるかもしれません。
ここでは、『先が見えなくても、やる気が出なくても 「すぐ動ける人」の週1ノート術』(PHP研究所, 2021)の著者でメンタルコーチの大平信孝氏が提唱する、週1回5分~15分程度で振り返りをする「ウィークリーノート」で振り返り、「仮行動で軌道修正」する方法について紹介します。
ウィークリーノートを習慣化するコツは、「毎週日曜日の夜に書く」というように、曜日と時間を決めること。
また「仮行動で軌道修正」とは、とりあえずやることを仮に決めて実行し、「ちょっと違ったかな」と思ったらその都度正しい行動に軌道修正するという方法です。
大平氏は「不安に対処するには、行動量を増やすことが大切」だと述べ、以下のメリットを挙げています。
- 「行動量を増やして不安を解消できる」
- 「主体的に自分で決める姿勢を身につけられる」
- 「うまくセルフマネジメントできるようになる」
やり方はとてもシンプル。まずノートを4分割し、1週間の出来事を思い出しながら下記のステップ1〜4の項目を埋めていくだけです。*1
【ステップ2】「仮決め」→「1週間後までにやりたいことを書き出す」
【ステップ3】「現状2」→「現時点での悩みや課題・不安を書き出す」
【ステップ4】「仮行動」→「1週間でやるべき具体的な「仮行動」を決める」

実際に筆者も、毎週水曜日の夜に「ウィークリーノート」を試してみることに。水曜日を選んだのは、ほっとひと息つきたくなる週の半ばが、振り返りにちょうどよいと感じたためです。
今回は、入手しやすいB5サイズのコクヨのキャンパスノート(A罫、7mm×30行、30枚)と、ゼブラの3色ジェルボールペン(サラサクリップ3C 0.5 紺)を使用しました。3色ペンを選んだのは、色を分けた方が見やすく記憶に残りやすいと考えたからです。
まず最初に、ノートに線を引き4分割します。

(画像は筆者にて作成)
【ステップ1】左上の「現状1」に、1週間を振り返って「よかったこと、うれしかったこと、感謝したいこと」など、ポジティブなことだけを3つメモします。
大平氏によれば、不安に飲み込まれていると、ネガティブなことに意識が向きやすいため、ますます不安になるそう。その悪循環を断ち切り「正気に戻る」ため、「ネガティブなことは一度脇に置いて、まずは意図してポジティブなことだけに目を向ける」必要があるのだとか。*1
筆者は気分を上げるため、文の末尾に感嘆符「!」をつけてみました。

(画像は筆者にて作成)
【ステップ2】右上の「仮決め」に、1週間後までに「本当にやりたいこと・成し遂げたいことを3つ」書きます。

(画像は筆者にて作成)
【ステップ3】左下の「現状2」に、いま自分が抱えている課題や不安を正直に書き出します。

(画像は筆者にて作成)
【ステップ4】右下の「仮行動」に、ステップ1〜3のメモに対応した、今後の1週間でやるべきことをひとつづつ具体的に書き出します。

(画像は筆者にて作成)
筆者の場合は15分程度ですべてを書き終え、そのあと全体を読み返し、強調したいと感じたキーワードに波線を引きました。

(画像は筆者にて作成)
「ウィークリーノート」を実践してみてもっともプラスの影響を感じたのは、ポジティブな過去を意識できるようになり、以前よりも楽しい気分になる時間が増えたこと。小さな課題を少しずつクリアできるようになり、仕事やプライベートに充実感を得られるようになってきたことです。
筆者の場合は、冬のあいだ枯れたように見えた花がいつの間にか復活を遂げ、満開になっていたのを思い出して、「自分も頑張ろう!」と元気が湧いてきました。また、「昼食後に仕事の集中力が低下しがち」という悩みは、ポジティブな歌詞とメロディーでテンションが上がるJ-POPをランチ休憩中に聴くことで解消できています。
ネガティブな感情に支配されやすく、なかなか自分から動けないとお悩みの人は、ぜひ試してみてください。「ウィークリーノート」に振り返る習慣が、少しずつ行動力に繋がっていくはずです。
2. 過去の事実を「意見」「経験」「感情」「価値観」に分類する
もし「振り返る習慣はあるのに、いまひとつ手応えを感じられない……」なら、やり方を見直してみませんか? ただ漫然と過去を振り返っても効果的ではないので要注意です。
デキるビジネスパーソンが、不測の事態が起きても落ち着いて対応でき、複雑な問題を解決できるのは、振り返りの質が高いから。
振り返りというと、一般的な人は「反省」しがちなもの。反省とは「結果」に価値を置いて過去の言動を振り返ることですが、「残念」「申し訳ない」という感情を伴う反省からは、未来に役立つ学びが得られにくいのです。
一方で、できる人は「内省(リフレクション)」して自分への理解を深め、経験から学びを得て未来に備えます。
内省は「結果」ではなく「経験」に価値を置き、未来を見据えるもの。特に、失敗は大きな学びになることが多いため、常にポジティブな気持ちで振り返る姿勢が大切なのです。*2
「でも、内省ってどうやってすればいいのだろう?」とお悩みの方もいるかもしれません。そこでオススメしたいのは、自分の過去を「意見」「経験」「感情」「価値観」の4つに切り分けながら整理し振り返る「認知の4点セット」のフレームワークです。
提唱者は『リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2021)の著者で21世紀学び研究所・代表理事の熊平美香氏。
熊平氏によると、項目ごとに次のように自問自答しながら振り返りを進めていくとよいそうです。
【経験】「その意見の背景には、どのような経験や、経験を通して知っていることがありますか?」
【感情】「その経験には、どのような感情が紐づいていますか?」
【価値観】「意見、経験、感情を俯瞰して、あなたが大切にしていることが何かを明らかにしましょう。」
上記のフレームワークで次のメリットが得られると述べています。*2
- 自己理解が増す
- 自分を変える力が高まる
- 自分が何に縛られているかに気づけるようになる
- 経験から有意義な学びが得られやすくなる
ビジネス環境で抱えがちな課題を解決するのに役立ちそうですよね。
たとえば「先週、地震が起こったとき、うまく対処できなかったため、振り返りとして以下のフレームワークをやってみた」場合なら、「臨機応変に対応するのが苦手」といった弱点克服が目的ならば、自分の「願い」を言葉にして内省します。*2
具体的には、次のように自分に問いかけながらネガティブな気持ちになる動機を探っていきます。
→ 不測の事態が起きても、Gチーフのように冷静かつ的確に対処できるようになりたい
【経験】なぜそう思うのか?
→ 先日大きな地震が起きたとき、Gチーフは、穏やかな口調でお客様や従業員に声を掛けながら気持ちを落ち着かせ、状況を確認し、わかりやすく明確な指示を出して混乱が起きるのを防いでいた。
→ あのとき自分は思考停止に陥り、動くことができなかった。予期せぬ事態に対応できなかった自分を情けなく思った。
【感情】どんな気持ちになるか?
→ Gチーフの行動:頼もしい
→ 自分の行動: 頼りない
【価値観】上記の意見・経験・感情をふまえて、自分が大切だと感じることはなにか?
→ 困難な状況下でも冷静に的確に判断でき、困っている人の役に立てる人間になりたい
上記の例では、「臨機応変に対応するのが苦手だ」という気持ちを、自分の願いを軸に自問自答しながら掘り下げてゆくと、「ああ、自分は困っている人の役に立ちたいのだ」という価値観に気づくことができました。
自分の弱点を直視し心をムダにすり減らすのではなく、「人の役に立つため自分にできることはなんだろう?」と発想を転換すれば心が解き放たれ、パフォーマンスが高まるはず。
ビジネスパーソンとしてもっとレベルアップするため、過去の経験を分類し、可能性を広げる学びを得てみませんか?
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振り返りの習慣に、週1回の「ウィークリーノート」と、過去の経験を4つに分類するフレームワークを取り入れて、職場での存在感を高めていきましょう。
*1 参考・カギカッコ内引用元・画像引用元:STUDY HACKER|不安でも動けるようになる「週1回5分」の超簡単ノート術。行動を3つ決めるだけでいい
*2 参考・カギカッコ内引用元:リクナビネクスト|内省(リフレクション)とは?自身の成長とビジネスに生かせる「振り返り」の技術
参考:STUDY HACKER|デキる人の条件は「自分で決めて、動く」こと。行動量が爆上がりする「仮決め仮行動」メソッド
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。